もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな

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雲隠れ

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婚約を控えたセレーネにとっての最後の学校生活は、セレーネの周辺事情に反してとても静かな始まりだった。
物理的にボッチということもあったのだけれど、ウワサに尾ひれ背びれが付いた結果ともいえる。


『決まりかけた婚約を保留にしているらしいわよ』
『いやだ……王太子殿下の側妃候補選定に向けて?』
『保留したお相手はシルヴァ様らしいけど、やっぱり地位には目がないのかしらね。王太子妃様とはご姉妹らしいじゃない?姉妹揃って……ねぇ?』


静かに一人本を読むセレーネの耳に、意図したものではないウワサが聞こえる。
きれいに否定してしまいたいのは山々なのだけれど、王家とホーグワット家両方から『正式な婚約発表はもう少し先送りして欲しい』……と要請があったから、否定できず今に至る。

人間社会が煩わしくなってきているセレーネは、精霊王であるシルフィ(人間に擬態時はシルヴァ)が人間へ気を使う必要はないはず……と言って、さっさと発表した方が良いと言ったのだけれど、それを否定したのは意外にも精霊王本人であるシルフィだった。


「人間社会と縁を切っての生活は後悔するんじゃないかい?」


ということらしい。

(そうか、シルフィは人間が好きなのか……)


率直なセレーネの気持ちだった。
当のセレーネは前世からのこともあり、はっきり言って人間嫌いに近い感情を持っているのだけれど、お世話になったジルベルト様お父様ミーヤお母様、可愛い義弟のことを考えると、あけすけにそんなことも言えず、結局要請に従ってこうしている。


(結局これって流されてるのかしら?お人よし……とかじゃないわよね?)


ため息を吐きつつ、シルヴァの代わりに付けられた護衛の魔法士の女性に視線を向ける。
ジルベルト様お父様曰く優秀な方らしいが、結局は貴族家のご令嬢。
護衛のはずなのに、私を見る目がなぜか厳しい。
親しい人以外に本音を話すつもりはなかったのだけれど、事情を分かってもらう為に口外しないよう制約付きで事情を話した。

(話して私の事情を分かって貰ったはずなのに、なぜあんな目で私を見るのかしら?)

視線を読んでいる本に戻し、再びため息を量産する。
優秀だろうが何だろうが所詮はということなのだろうと思う。


嫉妬・妬み……羨望からくる感情なのかもしれない。
けれど、何度でもいう……前世からのこともあり、こういった事はもうお腹いっぱいなのだ。
だから……

(しばらく雲隠れしておこうかしら)

そう考えてしまってもおかしくはない話だった。

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