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涙がポロリ

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「何とか言ったらどうなんですの⁉やはり姉妹は姉妹ということなのですわね?カーミラ様もそのようにして逃げてしまわれたのかしら?」


目の前には『言ってやったわ』といった感じのご令嬢。
毎度毎度のことながら良くやるわぁ……なんて思っていたら、ふわっと風が私を取り囲んだ。
そして……


『また絡んでるの?人間って暇なようだね?』


聞こえたのは王城に詰めていると思っていたシルフィの声だった。
それもかなり低めた、とてもとても機嫌が悪い声。


『セレが何も言わないからボクは何もしないんだよ?君たち……お家から色々言われなかった?』


今回婚約に発表に先駆けて、王家より各貴族に御触れが出ていたりする。
まぁ精霊さんの耳目はその辺に沢山あるからね。
精霊皆が皆、精霊王やその伴侶に対し友好的というわけではないけれど、否定的な言葉とかはなるべく言わない方が良いよね。今後助けてもらえなくなると困るしね。


『これが最後通告だよ。君たちはこれから家に帰ってよく聞いておいで?そして反省して。じゃあセレ、このまま行くよ?』


その言葉を最後に強風が吹いたかと思ったら、さっきまでその場所にいたセレーネは忽然と姿を消していた。




♢♢♢♢



ふわっと風が吹いたかと思い声がしたかと思ったらゴォッと風が吹き荒れ、気が付けば実家の門の前。
なんだそれ。いいのかシルフィ?いや……シルフィは最初からそれを推奨していた派だった。
気にしていたのは私とジルベルト様お父様の二人だった。

思わずブツブツ言いながら、結界の張られた門扉に手のひらを当て、結界の認証を解き敷地に足を踏み入れる。
シルフィは多分、私をここに送ったあとそのまま王城に戻ったのだろうと思う。
なんだかんだと言いながら、お父様の仕事は手伝っているから、もう既にいなくてはいけない人材になっているのかもしれない。


「ごめんなさい。そろそろ生まれると聞いて、いきなりだけど帰ってきてしまったのだけど」


敷地内に入ると花を摘むメイドを見かけたので話し掛ける。
あれは精霊になりたてのあの子が好きだった花……とメイドの手元を見ていると、メイドがニコニコしながら話してくれる。


「この花を近くに置くと、お腹の赤ちゃんが喜ぶそうなんです。なので安産になるようにと思って、少し多めに摘んでいます」


いきなり帰ってきても慌てることなく、ニコニコと迎えてくれる使用人。
あぁ……しばらく忘れていたけれど、人間って……家族ってこういう感じよね。
相手はメイドで結局は使用人だけど、この世界に生まれ変わる前……前世から今に至るまで否定され搾取されるのが普通だったことを思い、思わず涙が出た。


「じゃあ、出産の時はその花の匂いでお部屋を満たしてあげないとね」
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