夢見るネコの私とあなた

１２

「サクラ、今日もお留守番でごめんな」


夕方、いそいそと帰ってきて私の頭を撫でながら、いつも謝るんだよね。
別にきっと、普通の猫だって怒らないと思うんだけど、違うのか？


ここに来てどれぐらい経ったのか、時間の経過の感覚がいまいち掴めず…の毎日。
この家にはカレンダーもないし、テレビは有るけど、つけているのを見たことがない。


まぁ、いつも先輩が忙しいからだと思うけどね……。
私も少し前まではあんな生活を送っていたのかと思うと、なんだか不思議な気分。


でも先輩は、私を拾ってくれた日からはいつも私服で出掛けている。
今朝もいそいそとお出掛けして行きました。
ウチの会社は営業さんはスーツ着用義務ありだから…もしかして辞めちゃったのかな？
それに…少し前に、空いているお部屋に荷物が運び込まれたんだよね。


少し前まで考えてた、ネコとしての自立を実行に移すべきか……考えている。
荷物が運び込まれた時はやっぱりちょっとショックだったしね。
私はネコだから、先輩を好きでも不毛ってヤツだ。


毛があるのに不毛って……


なんて心の中で一人ノリツッコミをしてみる。
しょうがないことなんだけど、ネコな私は会話が出来ない。
なので、一人ノリツッコミだ。


もしかしたら、他の猫とは話ができるかもしれないけど…今のところ試してはいない。
第一に、先輩がいない時は基本、出入口が閉まっているので、外には出られないからね。
運動量的には先輩が準備してくれたキャットタワーで充分だしね。
余計なことをして、先輩の手を煩わせたくないtっていうのもあって、なんだか計画が先延ばし先延ばし。優柔不断な私で御免なさいって感じだ。ホントに。






それにしても…ひまだ。
のんびりネコ生活満喫……なんてできたのは最初の週くらいだった。

暇で暇で暇すぎて、いたずらするペット達の気持ちがちょっと分かっちゃったりする私は、すっかりネコに馴染んでいるんだろうと思うけど、悪さはしないよ。
先輩を困らせちゃいけないし、私は居候。
先輩のこと好きだけど、やっぱりネコだから。頑張って諦めようと思うんだよね。


それにしても…暇です。
あのキーキー騒ぐご令嬢が懐かしくなるくらい静かだ。


こんな時はあれだ、散策しよう！
最近先輩は、私の為に扉を完全に閉めないようにストッパーを挟んでてくれるから、あちこち行けるんだぁ～♪これも、私の普段からの行いがいいからだよねぇ～と思わず尻尾をフリフリしてたら、机の上に開いてるパソコン発見！


ン？あれ？ラッキー♪パソコンがスリープ状態になってる～。
この間、使えるか試したんだけど、電源が入れられなかったんだよね。ネコの手では。
なので、先輩には悪いけど、ちょっと使わせて貰おう。


「にゃあにゃあにゃーんにゃんにゃん♪」


鼻歌歌ったつもりが、鳴き声になっているのは許してね。
どんな歌を歌ってもこうなっちゃうんだよね～♪


と…ネットはこれで…と…ニュースをぽちっと。
これでよしっ……と……え？せんぱい？？？