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しおりを挟む今日も先輩は病院に行く。
昨日、電話で誰かと話していたのを聞いた感じだと、病院に行って会社に行って、帰りにもう一度病院に行くという……普通そこまでしないよね?と思う程甲斐甲斐しい。
どんな理由であっても、私個人としてはとても嬉しい事なんだけど……。
どうやら、先輩にお見合いの話が出ているらしくて、それから逃げるのにわざと忙しくしているらしい。
色々と訳があって…とネコの私には詳しく話してくれなかったけれど、先輩と『私』お付き合いしている事になっているんだって。結婚の約束もしており、近々紹介するつもりだったのに……なんていう設定らしい。
お世話になっている『私』が言うのもなんだけど、それって私が目覚めた後はどうするつもりなんだろう?『私』は都合よく…なんて言ったら罰が当たるけど、ホントに先輩が好きだから、もし目覚めることが出来て、先輩に事の真相を聞いたら、喜んでお付き合い続行で!と言いそうなんだけど。
まぁ…私じゃなくたって、先輩が相手ならみんな首を縦に振ること間違いなしだろうしね。
そうそう、先輩がお出掛けしている間にかなた君のお家と、翡翠様がお仕えしているお社にも行ってきたよ。
かなた君は、いつもながら優しくて男前で…中身大人な私でも惚れ惚れするくらい。
もう既に、周囲の人をたらしまくっているのを見ると、お姉さんめちゃ心配です。
翡翠様は、まぁいつもお変わりなくって感じです。
お社に行ったのは初めてだったんだけど、想像よりすっごく大きくてビックリしちゃった。
ホントは、私が知っているような小さな稲荷神社みたいなのを予想していたのは内緒。
決して馬鹿にしてたわけじゃないけど、そう思われるのも嫌だし。
なので、言わぬが花なのです。って使い方これで良かったよね?
翡翠様に元の身体に戻りたいって言ったら、このお社にお参りに通えと言われたんだけど…これってどうすればいいんだろう……。
●○●○
「お前が翡翠が言っていったネコか」
なぜか開け放たれた本堂の入り口に鎮座する九尾の狐。
まぁ…自然界に九尾の狐さんはいらっしゃらないから、この方がここの神様なんだと思うけど…翡翠様、これってどうしたらいいの?
家庭の事情もあって、神仏信仰している暇がなかった私は、こういうのってネットの知識しかないんだけど、流石のネットも神様本人との交渉例なんて載ってなかったよ。
翡翠様も抜けてたのか、忘れていたのか…はたまたわざとなのか、こうなることをきっと予想していたはずなのに…ちょっと意地悪だな。
とりあえず……
「初めまして及川さくら…が入ったネコです。翡翠様にご紹介頂いて来たのですが…」
と、多分お見通しであろう事の経緯を話し、どうしたら戻れるのか単刀直入にきいた。
だって急がないと、身体に戻れなくなるかもしれないって翡翠さん言ってたし。
「ただではできんぞ……」
なんて言われて、お布施とかお賽銭とかかな?と思っていたら、違うと言われた。
さすが神様、エスパーだ…と思ったらまた違うと言われた。
いや、違わないよね?と思った瞬間、ごめんなさいって謝っておいたよ。心の中でね。
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