夢見るネコの私とあなた

こひな

文字の大きさ
19 / 39

19

しおりを挟む


今日も先輩は病院に行く。
昨日、電話で誰かと話していたのを聞いた感じだと、病院に行って会社に行って、帰りにもう一度病院に行くという……普通そこまでしないよね?と思う程甲斐甲斐しい。


どんな理由であっても、私個人としてはとても嬉しい事なんだけど……。
どうやら、先輩にお見合いの話が出ているらしくて、それから逃げるのにわざと忙しくしているらしい。


色々と訳があって…とネコの私には詳しく話してくれなかったけれど、先輩と『私』お付き合いしている事になっているんだって。結婚の約束もしており、近々紹介するつもりだったのに……なんていう設定らしい。


お世話になっている『私』が言うのもなんだけど、それって私が目覚めた後はどうするつもりなんだろう?『私』は都合よく…なんて言ったら罰が当たるけど、ホントに先輩が好きだから、もし目覚めることが出来て、先輩に事の真相を聞いたら、喜んでお付き合い続行で!と言いそうなんだけど。


まぁ…私じゃなくたって、先輩が相手ならみんな首を縦に振ること間違いなしだろうしね。



そうそう、先輩がお出掛けしている間にかなた君のお家と、翡翠様がお仕えしているお社にも行ってきたよ。
かなた君は、いつもながら優しくて男前で…中身大人な私でも惚れ惚れするくらい。
もう既に、周囲の人をたらしまくっているのを見ると、お姉さんめちゃ心配です。


翡翠様は、まぁいつもお変わりなくって感じです。
お社に行ったのは初めてだったんだけど、想像よりすっごく大きくてビックリしちゃった。
ホントは、私が知っているような小さな稲荷神社みたいなのを予想していたのは内緒。


決して馬鹿にしてたわけじゃないけど、そう思われるのも嫌だし。
なので、言わぬが花なのです。って使い方これで良かったよね?


翡翠様に元の身体に戻りたいって言ったら、このお社にお参りに通えと言われたんだけど…これってどうすればいいんだろう……。



●○●○



「お前が翡翠が言っていったネコか」


なぜか開け放たれた本堂の入り口に鎮座する九尾の狐。
まぁ…自然界に九尾の狐さんはいらっしゃらないから、この方がここの神様なんだと思うけど…翡翠様、これってどうしたらいいの?


家庭の事情もあって、神仏信仰している暇がなかった私は、こういうのってネットの知識しかないんだけど、流石のネットも神様本人との交渉例なんて載ってなかったよ。
翡翠様も抜けてたのか、忘れていたのか…はたまたわざとなのか、こうなることをきっと予想していたはずなのに…ちょっと意地悪だな。
とりあえず……


「初めまして及川さくら…が入ったネコです。翡翠様にご紹介頂いて来たのですが…」


と、多分お見通しであろう事の経緯を話し、どうしたら戻れるのか単刀直入にきいた。
だって急がないと、身体に戻れなくなるかもしれないって翡翠さん言ってたし。


「ただではできんぞ……」


なんて言われて、お布施とかお賽銭とかかな?と思っていたら、違うと言われた。
さすが神様、エスパーだ…と思ったらまた違うと言われた。
いや、違わないよね?と思った瞬間、ごめんなさいって謝っておいたよ。心の中でね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...