私も異世界に転生してみたい ~令嬢やめて冒険者になります~

こひな

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10、留学のわけ

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「これは両国話し合いでの上の取り決めなんだけどね……」


いつの間にかしっかり人払いされた上、お兄様が一番得意としている遮断&結界魔法まで使われた話は、王国中枢でよからぬ事を画策している貴族には寝耳に水な話だった……と思う。

(あんまり政治に詳しくないし……興味がない……と言ってしまえばそれまでなんだけどね……)


そんなことを思いながら聞いたのは、隣国エルカーサ王国との永続的な相互援助と友好関係の結託だった。
まぁ、王女が他国に嫁ぐのであれば、政治的なことが絡んでいないはずもない。
けどそうであれば、王家同士の婚姻になりそうなものであるが、そこはそれ……今現在のサバトリーエ王国には継承権を持つ人物は、王子が二人に王弟である大公殿下、そして大公殿下の子供二人の合計5人目。

継承権を持たない王子殿下も二人いるが、母君の身分が低い為、王女とは釣り合いが取れず……かと言って、すでに婚約者がいる王太子殿下ではあらぬ諍いを起こす火種になり、大公殿下のお子様は年齢的なものが……ということで、色々と考えた結果お兄様との婚約となったらしい。


「あれ?我が国には一応第2王子が……」


と言いかけた時、イリヤ様の口元が引き攣ったように見えた。


「あぁ……それはね……」


苦笑いと共にお兄様の口から出た言葉は、『あの方は論外だよ』という予想以上の言葉で驚いたのだった。


「それでお兄様?それとイリヤ様の留学はどう繋がるのでございますか?王女殿下であれば理解も出来るのですが……」


この際なので思ったことを聞いてみたら、なんともまぁだいぶ先の事を見据えたイリヤ様の突っ走りのようだった。


「ジュリエッタ様、私は生涯マリエッタ様におつかいし、お子様方のこともお守りしていく所存でございます。郷に入っては郷に従え……と、聖女様が残した言葉がございますが、私とマリエッタ様は自国の教育しか受けておりません。両国の橋渡しという役割を考えれば、ルーカス様が受けたこの国の教育にも目を向けて然りかと思っております。まぁ…………幸いにも言語が違ったりすることもなく、人種という意味でも大きな違いはございませんので、さほどの違いはないかと思いますので、長期の留学は必要がないのではないのではないかと言うルーカス様のアドバイスを頂きましたので、を理解出でき納得できるまでの期間留学する運びとなりました」


……ということらしい。
今まであったことのあるご令嬢とは決意も考えも全く違うイリヤ様だけど、だいぶしっかりしている人のようだ。

この人の主人であれば、お兄様とも上手くやっていけそうだなどと、根拠の無い確信を持ちつつ、このままの流れで夕食となった。


ちなみに、今夜の夕食は私が手取り足取り指導したチキン南蛮がメインだ。
過去の転生者も日本の料理をだいぶ広めてるみたいだし、これ位では転生者だってバレないよねぇ……と思ってのことである。
楽しみ~♪
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