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102、巫女VS神官
しおりを挟む婚約式の為城に向かう途中に襲撃にあった。
ソラが先に応戦してくれ、ロイス様の保護の元私は城へ、ロイス様と王太子殿下はそのまますぐ、ソラの元へと向かった……はず。
私も行って助けたいけれど、冒険者といえど補助やアシスタント系の私に戦闘は厳しいと……向かえば十中八九足手纏いだと分かるから、一足先に来ていたマリーに案内された部屋で、三人の無事を祈っていた……はずなのに……。
「神殿へ入って頂きたい」
私の目の前に座る神官様。
それも恐らく『高位の』とが付く神官様だ。
そして、三人のことが気になって落ち着かない私に向かって、ずっとずっとさっきのセリフを言っている。
(神官って普段何してんの?闇の精霊に襲われてるって言ってんのに、アンタは行かんのかいっ!)
と心の中で突っ込む。
前世読んだラノベでも、今世読んだ小説に書いてあった。魔王に立ち向かうパーティーには聖女もいたが神官もいた。そして、神官や聖女は祈りのチカラや聖魔法を使って、魔王を倒したり封印したりすると……。
この世界での神殿や神官にどういうチカラがあるのか、はっきり言って興味がなかったので知らないし分からない。けど……。
「神官様は行かないのですか?それとも行けないのですか?神官様には闇を祓うお力は無いのですか?今、王太子殿下やロイス様、私の精霊も戦っているというのに、私の祈りを中断させた挙句、神官様も祈りもせず……婚約がとうに成立している私達を引き離そうと画策している……ように見えるのですが……私の思い違いでございましょうか?」
感情を表に出さず……という高等技術は中々難しい。笑顔は無理なので無表情を装って、目の前の神官に物申す。
「私が神殿に入ったところで何処ぞの誰かの権威が強くなるだけ……誰かの道具になるだけなのではないのでしょうか……?きっとそれは創造神様の意に背くことになるかと……」
巫女がこの世界においてどんな役目を負う者なのか、ソラに聞こうと思ったことはないし、聞かされたとしても、きっと自分には荷が重い。たとえ他人より魔力が多かろうと……たとえ光の精霊の巫女になろうと、根のところで引っかかる。
(やっぱり……小説の主人公やるには根性が必要らしいしね……)
平和に楽しく……自分や自分の周囲の人が幸せであれば、自分は満足なのだ。
なので……
「王太子殿下がどのようなお話をなさったのか分かりませんが……世界の平和の為ならば私は祈ります。けれどその場所は神殿ではありません。ロイス様の隣で……です」
そうはっきり宣言し、神官様には速やかに御退場願った。
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