【完結】異世界召喚されたのはこの俺で間違いない?

苔原りゐ

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地下迷宮の町:ヴェルトロンの闇

薄暗い地下迷宮の町ヴェルトロンに足を踏み入れた俺たちは、湿った空気が漂う独特な雰囲気に圧倒されていた。瓦礫が積み上がり、ならず者たちの鋭い目が行き交うこの場所では、信用できるものなど何一つないように思えた。

「こんな所で情報が得られるとは思えないわね。」エリザが低い声で呟く。

「だからこそ、怪しい場所を探すんだ。」俺は周囲を警戒しながら答えた。

リリはエリザの腕をぎゅっと掴み、「怖いよ……早く次の町に行こうよ。」と怯えた声を漏らす。

一方でユリスは静かに町の様子を見回しながら、「……ここ、危険な匂いがします、私と同じ様な匂いも少々......。」とつぶやいた。

中央広場で露店を物色していると、店主風の男が近寄ってきた。彼の目は鋭く、どこか底知れない狡猾さを感じさせた。

「旅人かい?ここで何を探しているんだ?」男はニヤリと笑いながら問いかける。

「金になる仕事と情報だ。この先にある町への情報を知りたい。」俺が簡潔に答えると、男は嬉しそうに鼻を鳴らした。

「なら、地下の闇市だな。お前さんみたいなのが好きそうな話がいくらでも転がってる。」男はそう言い、広場の隅に隠された階段を指差した。

エリザが俺の耳元で囁く。「どう見ても危険な場所よ。」

「分かってる。でも、ここで情報を得なきゃ、進めない。」俺は決意を込めて階段を降りることにした。

地下闇市に入ると、そこは混沌そのものだった。薄暗い通路の両側には怪しげな露店が並び、人々が何かを交渉している。声は基本ひそひそ話で、どこか疑念を含んだ調子だ。

「こいつら、ただの商人じゃなさそうね。」エリザが冷静に周囲を観察する。

俺たちが人混みを進んでいると、背後から低い声が聞こえた。

「おい、その獣人……逃げた奴隷じゃないのか?」

振り返ると、屈強な男たちが数人、俺たちを取り囲んでいた。その目はユリスを狙う鋭い光を宿している。

「こいつは俺たちの仲間だ。何か文句でもあるのか?」俺は剣の柄に手を掛けながら睨みつけた。

「文句?そりゃあ大ありだ。そいつ、俺たちが高値で売る予定だった商品なんだからよ。」男たちは嫌らしい笑みを浮かべながらユリスに手を伸ばした。

「それ以上近いてみろ、腕を切り落とすぞ。」俺は剣を抜き、一人の男に突き立てる。

「おぉ怖い怖い、冗談じゃないか。」男は笑いながらまるで品定めでもするかのようにユリスをガン見する。

「どけっ。」俺は男を突き飛ばした。

周囲の観衆は一瞬静まり返り、次の瞬間、ざわめきが広がった。

混乱の中、何とかその場を切り抜けた俺たちだったが、その直後にユリスの姿が見えなくなった。

「ユリス!?どこだ!?」俺が叫ぶが、返事はない。

「攫われたんだわ。」エリザが怒りに震える声で言いながら、闇市の奥に続く隠し通路を指差す。

「絶対に取り戻す。」俺は剣の柄をこれまで以上に固く握りしめ、隠し通路へと足を踏み入れた。

隠し通路を進んだ先には、大きな部屋が広がっていた。そこはどうやら闇のオークション会場のようで様々な商品が出品されているようだった。中央の舞台には布を被せられた人のようなものが手足を鎖で縛られ、無理やり立たされている。

「次の出品はこちらだ!純血の獣人の少女!美しい毛並みとその従順な性格――これ以上の逸品はない!」司会者が観衆を煽り立て布を剥がす。

それは紛れもなくユリスだった、すると観衆が瞬く間に沸き上がりすぐさま入札が始まった。

「金貨50枚だ!」誰かが叫ぶと、すぐに他の声が重なる。

「100枚!」

「俺は170枚だ!」

会場の熱気が高まる中、ユリスは怯えた表情で観衆を見渡していた。観衆からは下品な笑い声や野次が飛び交う。

「おいおい高すぎやしねえか?」

「純血の獣人なんだぞ!買い手には困らねえよ!」

値段はどんどん跳ね上がり、金貨1000枚を超えたところで俺は限界を迎えた。
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