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青年期編
19.第二の家族
「シー君、あちち?」
「そう。お前もキツかっただろ?だから静かにしてやれ」
「はーい」
早く治って遊ぼうね、耳元でそっと囁く言葉に意識が浮上する。
全身の気怠さを感じながら起き上がると、近くにいたウィステリアが起きたかとシショクの背中をゆっくりと支えた。
「お前あんな雨の中何してたんだ、体も痣だらけだしよ…。たまたま俺が通りかかったからよかったものの…」
びしょ濡れの服を取り替えてくれた時に見たのだろう、心配した様子でシショクに問いかける。
徐々に意識が覚醒してきたのか、アメトリンを探さないとと立ちあがろうとしたが想像以上に体に負担がかかっていたのか、足に力が入らずその場で崩れ落ちた。
「おい熱もある、安静にしとけ」
ウィステリアに支えられながら、どれくらい寝ていたのか聞けばほぼ丸一日寝ていることがわかり、どうしても家に帰らなければならないと悲痛な面持ちで訴える。
「あ?一日家開けても問題ねぇだろ、それより病人は寝ろ」
「そういうわけにいかないんだ」
「…その体じゃまともに採掘もできないだろ」
「…違う」
熱で朦朧としているはずなのに、頑なに家へと帰ろうとするシショクに何が違うのか理由を尋ねる。
「…アメを…探さないと」
「昨日も言ってたな…おい、立つな」
「だって!!!…っ」
「シー君!!!だめだよ!!」
再び立ち上がろうとふらつく足を無理やり起こす。ぐらぐらと揺れる体と霞む視界。
明らかに寝ているべき状態なのにそれでも動こうとするシショクを止めたのはレファラだった。
「レファラ!あっちに行ってろって言っただろ」
「…ごめんなさい、」
ウィステリアに叱られ落ち込むレファラの姿を見て冷静になったのかベッドに腰掛ける。
「ごめんな、俺が大きな声出したから」
「ううん…レファがパパの言いつけ守れなかったから…」
「……おい、二人でそんな顔されたら俺が悪者みたいだろ、やめろやめろ」
しょんぼりとした顔で見つめ合う二人に観念したのか大きなため息を吐くと、騒がないならここにいていいと、彼女の頭をポンと撫でる。
「とにかくお前は寝てろ、まだ熱が下がってない」
「でも…「その、アメってやつはどこにいる?」
言葉を遮るようにアメトリンの居場所を尋ねるウィステリアに首を傾げる。
「俺が探してきてやるから、お前は寝てろ」
「は、」
「お前の口から知らない名前が出るのは初めてだからな。事情は知らんが見つけたいんだろ?」
特徴は、と店の事もあるだろうに親身になって聞いてくれるウィステリアに思わず胸が熱くなる。
「ありがとう…」
「気にするな」
いつもこれくらい頼ってくれたらいいのに、と口に出そうだった言葉を飲み込む。
「…あぁ…なんだ、嫌ならいいんだが…そのアメトリンってやつとはどんな関係なんだ?」
幼少時から知っている身として、今まで恋人どころか友達の影すらなかったシショクの探し人が誰なのか気になって仕方ないらしい。
言いづらそうに、でも聞きたい欲が勝ったのかおずおずと関係性を尋ねるウィステリアに一瞬魔の抜けた顔を見せたシショクだったが、
「…家族、」
「はっ…?!!?」
「っるせ、」
「おまっ、そりゃそうなるだろ!?」
思わぬ単語に驚きのあまりこれでもかと目を見開くウィステリア。
ある程度そうなるだろう予測はしていたが、熱のせいで痛む頭には大きな声は響くもので…。
「パパ、しーーー!!」
「あ、…す、すまん」
娘に注意されてらー、とへらっと笑うシショクをお前のせいだと睨み付ける。
報告をしてくれなかったことに少しのショックを受けながらもシショクに新しい家族と呼べる存在が出来たことに喜びを感じるウィステリアはそこでふと疑問に思った。
「ん?だったら今一緒に住んでんのか?」
「まあ…でも昨日喧嘩して…出て行った」
「…はっ」
先程から出てくる内容全てに驚きまくってるウィステリアは、またしても出かけた大声を口に手を当て何とか止めた。
「もう、あいつは俺の事嫌いかもしれない」
悲しげな表情にウィステリアは眉間に皺を寄せる。
良くも悪くも感情をここまで露わにするシショクをほとんど見たことがない。
それほどアメトリンという存在が多大な影響を及ぼしている事に嬉しくもあり、同時に怒りも感じていた。
何せ彼にとってシショクは血の繋がりはなくとも家族であり、年の離れた弟のような存在。そんな弟に悲しい顔をさせるやつは一体どんなやつなのか、と。
「…だったら尚更探さないとな」
「…ん」
「とりあえず熱が下がったらいろいろ聞かせてもらうからな」
シショクが勝手に動かないように、とレファラに任せるとウィステリアは家を出ていった。
「シー君、パパになるの?」
「…ん?」
「家族って、言ってたから」
純粋なその瞳に思わず視線を逸らす。
アメトリンとの関係性を家族と表現して間違いではないが、あの濃密な時間が頭を過ぎると赤面した。あれは親と子のやる事ではない、むしろ…。
「…はぁ」
「シー君あちち!!ねんねしなきゃ!!」
「…そうだな」
当初親と子のつもりでいたシショクにとって改めて考えるとどうなのだろうと顔の熱が暫く引かなかった。
「そう。お前もキツかっただろ?だから静かにしてやれ」
「はーい」
早く治って遊ぼうね、耳元でそっと囁く言葉に意識が浮上する。
全身の気怠さを感じながら起き上がると、近くにいたウィステリアが起きたかとシショクの背中をゆっくりと支えた。
「お前あんな雨の中何してたんだ、体も痣だらけだしよ…。たまたま俺が通りかかったからよかったものの…」
びしょ濡れの服を取り替えてくれた時に見たのだろう、心配した様子でシショクに問いかける。
徐々に意識が覚醒してきたのか、アメトリンを探さないとと立ちあがろうとしたが想像以上に体に負担がかかっていたのか、足に力が入らずその場で崩れ落ちた。
「おい熱もある、安静にしとけ」
ウィステリアに支えられながら、どれくらい寝ていたのか聞けばほぼ丸一日寝ていることがわかり、どうしても家に帰らなければならないと悲痛な面持ちで訴える。
「あ?一日家開けても問題ねぇだろ、それより病人は寝ろ」
「そういうわけにいかないんだ」
「…その体じゃまともに採掘もできないだろ」
「…違う」
熱で朦朧としているはずなのに、頑なに家へと帰ろうとするシショクに何が違うのか理由を尋ねる。
「…アメを…探さないと」
「昨日も言ってたな…おい、立つな」
「だって!!!…っ」
「シー君!!!だめだよ!!」
再び立ち上がろうとふらつく足を無理やり起こす。ぐらぐらと揺れる体と霞む視界。
明らかに寝ているべき状態なのにそれでも動こうとするシショクを止めたのはレファラだった。
「レファラ!あっちに行ってろって言っただろ」
「…ごめんなさい、」
ウィステリアに叱られ落ち込むレファラの姿を見て冷静になったのかベッドに腰掛ける。
「ごめんな、俺が大きな声出したから」
「ううん…レファがパパの言いつけ守れなかったから…」
「……おい、二人でそんな顔されたら俺が悪者みたいだろ、やめろやめろ」
しょんぼりとした顔で見つめ合う二人に観念したのか大きなため息を吐くと、騒がないならここにいていいと、彼女の頭をポンと撫でる。
「とにかくお前は寝てろ、まだ熱が下がってない」
「でも…「その、アメってやつはどこにいる?」
言葉を遮るようにアメトリンの居場所を尋ねるウィステリアに首を傾げる。
「俺が探してきてやるから、お前は寝てろ」
「は、」
「お前の口から知らない名前が出るのは初めてだからな。事情は知らんが見つけたいんだろ?」
特徴は、と店の事もあるだろうに親身になって聞いてくれるウィステリアに思わず胸が熱くなる。
「ありがとう…」
「気にするな」
いつもこれくらい頼ってくれたらいいのに、と口に出そうだった言葉を飲み込む。
「…あぁ…なんだ、嫌ならいいんだが…そのアメトリンってやつとはどんな関係なんだ?」
幼少時から知っている身として、今まで恋人どころか友達の影すらなかったシショクの探し人が誰なのか気になって仕方ないらしい。
言いづらそうに、でも聞きたい欲が勝ったのかおずおずと関係性を尋ねるウィステリアに一瞬魔の抜けた顔を見せたシショクだったが、
「…家族、」
「はっ…?!!?」
「っるせ、」
「おまっ、そりゃそうなるだろ!?」
思わぬ単語に驚きのあまりこれでもかと目を見開くウィステリア。
ある程度そうなるだろう予測はしていたが、熱のせいで痛む頭には大きな声は響くもので…。
「パパ、しーーー!!」
「あ、…す、すまん」
娘に注意されてらー、とへらっと笑うシショクをお前のせいだと睨み付ける。
報告をしてくれなかったことに少しのショックを受けながらもシショクに新しい家族と呼べる存在が出来たことに喜びを感じるウィステリアはそこでふと疑問に思った。
「ん?だったら今一緒に住んでんのか?」
「まあ…でも昨日喧嘩して…出て行った」
「…はっ」
先程から出てくる内容全てに驚きまくってるウィステリアは、またしても出かけた大声を口に手を当て何とか止めた。
「もう、あいつは俺の事嫌いかもしれない」
悲しげな表情にウィステリアは眉間に皺を寄せる。
良くも悪くも感情をここまで露わにするシショクをほとんど見たことがない。
それほどアメトリンという存在が多大な影響を及ぼしている事に嬉しくもあり、同時に怒りも感じていた。
何せ彼にとってシショクは血の繋がりはなくとも家族であり、年の離れた弟のような存在。そんな弟に悲しい顔をさせるやつは一体どんなやつなのか、と。
「…だったら尚更探さないとな」
「…ん」
「とりあえず熱が下がったらいろいろ聞かせてもらうからな」
シショクが勝手に動かないように、とレファラに任せるとウィステリアは家を出ていった。
「シー君、パパになるの?」
「…ん?」
「家族って、言ってたから」
純粋なその瞳に思わず視線を逸らす。
アメトリンとの関係性を家族と表現して間違いではないが、あの濃密な時間が頭を過ぎると赤面した。あれは親と子のやる事ではない、むしろ…。
「…はぁ」
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