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エピローグ
しおりを挟むそれから、あれよあれよという間に式の日取りまで決まってしまった。
王子という立場的に、家族に反対されないのかと心配だったが、それも杞憂に終わった。
レオ曰く、元々兄弟たちは応援してくれていたらしい。どうりでアンリ様が色々と話を聞いてくれたわけだ。
レオの両親である、この国の王様と妃様には「覚悟はあるのか」とは聞かれたものの、反対は全くされなかった。今の俺の素直な気持ちを伝えると、何故か気に入られたらしく、最終的にはとても賛成してくれた。
二人の賛成もあり、婚姻はすぐに結ばれることになった。
流石に式は準備に時間がかかる為すぐにとはいかないが、現在着々と準備が進められている。
それはもう規模のでかそうな式に、俺は既に不安でいっぱいである。
ちなみに、俺は今ウェディングドレスのデザイン案を見ているところだ。
一応男であるにも関わらず、当たり前のようにドレスについて話された時は流石に驚いた。俺がドレスで良いのかと確認すると、レオを含め家族全員「当たり前だろう」と言ってくれた。理解のありすぎる方々にこちらがびっくりである。
それにしても、先程から次々に出されるデザイン案に驚きを隠せない。そもそも、庶民の俺からすればドレスをオーダーメイドという時点でもうついていけてない。
(王族の結婚ってやっぱりすごいんだなあ)
凄すぎてもはや他人事になりかけた頃、レオが突然俺の上から覗き込むようにして現れた。
「これだな」
レオは俺の前に広げられた多くの案の中の一つを指差す。
そのドレスは、Aラインの純白のドレスで、フリルが豪華に使われたロングトレーンが特徴的だ。トレーンとベールには綺麗な刺繍が施されている。
上品で、とても華やかさのあるデザインのドレスだ。
(可愛い……)
「リョウならばどれも似合うだろうが、これが一番似合う」
ハッキリとそう言ったレオに、女性のデザイナーさんが小さく「まぁ」と言ったのが聞こえた。
無性に恥ずかしくなった俺は、赤くなる頰を隠すように少し俯きつつ、「これでお願いします」と言うと、それを聞いたデザイナーさんは「畏まりました」と言ってドレスの細かな部分の説明をしてくれた。
「これを着たリョウを見るのが楽しみだ」
嬉しそうに微笑むレオに恥ずかしさが増す。
結婚式の準備なんて、正直分からないことだらけで役に立たないことの方が多いが、レオがここまで楽しみにしているのを目にすると、俺も何だか楽しみになってくる。
「素敵な式にしたいね」
俺がそう言うと、レオは優しい笑みで「ああ」と返事をくれた。
夫婦になったばかりで、慣れないことも多く慌ただしく日が過ぎる。
それでも、レオと二人で過ごし、過ぎてゆく日々に、どうしようもなく幸せを感じる。
今まで以上に甘く、惜しみなく愛が囁かれる毎日を過ごし俺は少し浮かれているのかもしれない。
それでも……これからも、ずっとずっとレオと二人でいられますようにと願わずにはいられなかった。
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