天を仰げば青い空

朝比奈明日未

文字の大きさ
上 下
1 / 26
本編

0

しおりを挟む
 自分の人生の決定権は誰にあるのだろう?
 僕の生きる道の選択肢はいつだって他人が決めてきた。
 たった一度しかないその瞬間を、僕は何度見ることもできずに通り過ぎて来たんだろう?
 そう思った時、僕はその場で外に出ようと決めたんだ。
 自分だけの人生を、自分で選んで自分で歩いてみたいと思った。
 自ら走り出してみると、いつもの景色が少し違って見えた。
 いつもの空が、高く遠く青く見えたあの空を見た時、心が少しだけ軽くなった気がして。
 けれど僕はいつも迷ってばかりで、あの空へ続く道をずっと探しているような気がする。
 探していないと毎日を生きることすら難しくて、呼吸も上手くできない。
 だからねぇどうか。僕の背中を押して、時には叱って、僕の事を見ていて。
 それだけで僕は、迷わないであの空を飛べると思うから。


 何も持っていないと思ってた。
 何もできないと思ってた。
 何もかもが平均で、何か特別な、自分だけのものなんてどこにもないと思ってた。
 それでいいんだって、思うことすらできなくて、毎日が、周りが、自分が、全てが嫌になった。
 どこにも行く宛の無い気持ちと、暖かい周りがかえって俺を傷つけるんだ。
 それだって、勝手に傷ついてるだけ、勝手に苛立ってるだけって、分かって余計に情けなくなる。
 俺の居場所は何処なんだ?
 俺は何処なら居てもいい?
 俺のこの心は何処へ行けば満たされる?
 お願いだから俺を空へ還してくれよ。
 それまで必死にここで生きてるから。
 願う空を何度も描いて、それでも俺は地上で居場所を探してる。
 ここに居てもいいんだって、誰か俺に言ってくれ。
しおりを挟む

処理中です...