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8話
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娘の萌が預けられている施設は彼女の自宅の近くにあった。
玄関前のインターホンを鳴らすと、中からエプロンをした女性が現れた。
琴美は父の了解を得て萌に会いに来た旨を話した。
「あ、先程連絡がありました。中へどうぞ」
女性はそう言うと、萌のいる場所まで案内をした。
カーペットの引いた部屋におもちゃや本が沢山置いてあり、子供達がそれぞれ好きな事をして遊んでいた。
3歳位から小学校高学年位の子達だろうか。
「此処は色々な事情で親御さんと暮らせない子供達が一緒にいるんです。」
女性は琴美に説明をした。
「萌ちゃん、お客様よ」
同じ歳位の女の子と遊んでいた萌がこっちを振り向いた。
萌は髪の毛を後ろにくくっていて、色白の華奢な女の子に見えた。
琴美の近くまで来るとぺこりとお辞儀をした。
「こんにちは。あなたが萌ちゃん?」
萌は頷いた。
「突然ごめんなさいね。お姉さんね、萌ちゃんのお母さんの事でちょっとお話が聞きたくて会いに来たの」
「朝、お巡りさんも同じ事言ってた」
萌は小さな声で答えた。
「そっかぁ。びっくりしたでしょう。
あ、向こうのソファーに座ろうか?」
琴美は萌と2人きりになりたかったので、萌の手を繋いでソファーの所に行き腰を下ろした。
「早速なんだけど、萌ちゃんはお母さんが何処に行ったか心当たりある?」
琴美の質問に萌は首を横に振った。
「じゃあ、お母さんといつもハンバーガーを食べていた?萌ちゃんはオレンジジュースが好きなのかな?」
琴美は今日のハンバーガーの事を聞いてみた。
これには萌もびっくりしたような顔をした。
「お姉ちゃん、どうして私がオレンジジュースを好きな事知ってるの?」
「実はね、今日萌ちゃんのお家に行ってみたの。そうしたら丁度宅配のお兄さんがハンバーガーを持って来たの。
誰もいないって言ったらお兄さんが困っていたからそのハンバーガーを譲ってもらったの」
萌はなーんだという風に足をブラブラした。
「それでね、ハンバーガーが3つ入っていたんだけと、萌ちゃんはお母さんと2人暮らしだよね?どうして3つ入ってたのかな?って思ったの」
琴美は萌の顔を見ながら聞いてみた。
「お母さんのお友達の分」
「お友達?」
萌は頷いた。
「お母さん、お友達って言ってた。
そのお友達が来たらいつもハンバーガーを買ってくれるの」
「そうなんだ。男の人?」
「そう。優しいお兄さんだよ」
琴美は萌にどんな感じの男性か詳しく聞いてみた。
どうやら萌の母親よりも若く、いつもジーパンとスニーカーを履いていたらしい。
3人でハンバーガーを食べ終えたら、部屋に行って勉強をしていたので母親が男性と何を話していたのかは分からないとも言った。
「お姉ちゃん、お母さん何処に行っちゃったんだろ。萌いつまで此処にいたらいいのかなぁ」
萌は悲しそうな顔をした。
「萌ちゃん、お姉さんのお父さんはね、お巡りさんなの。
今でも一生懸命お母さんを探しているわ。
だから萌ちゃんは心配しないでしばらく待っていて」
琴美は彼女を励ました。
萌に会ったら飼い猫の事を話そうかと思っていた琴美だが、今は言えないと思った。
「また萌ちゃんに会いに来るから。その時は施設の人に頼んで何か食べに行こうか?」
「本当に?」
萌の目が輝いた。
2人で指切りをして琴美は施設を後にした。
(友達の男性って誰なんだろう)
せめて顔が判れば彼女に見てもらったらわかるはずなんだけど。
琴美は帰りながら考えていると携帯が鳴った。
「はい、あ、お父さん?
今萌ちゃんに会って来たのよ」
電話は健二からだった。
その電話の内容は琴美の態度を一変させた。
行方不明の母親が死体で見つかったという知らせだったからだ。
玄関前のインターホンを鳴らすと、中からエプロンをした女性が現れた。
琴美は父の了解を得て萌に会いに来た旨を話した。
「あ、先程連絡がありました。中へどうぞ」
女性はそう言うと、萌のいる場所まで案内をした。
カーペットの引いた部屋におもちゃや本が沢山置いてあり、子供達がそれぞれ好きな事をして遊んでいた。
3歳位から小学校高学年位の子達だろうか。
「此処は色々な事情で親御さんと暮らせない子供達が一緒にいるんです。」
女性は琴美に説明をした。
「萌ちゃん、お客様よ」
同じ歳位の女の子と遊んでいた萌がこっちを振り向いた。
萌は髪の毛を後ろにくくっていて、色白の華奢な女の子に見えた。
琴美の近くまで来るとぺこりとお辞儀をした。
「こんにちは。あなたが萌ちゃん?」
萌は頷いた。
「突然ごめんなさいね。お姉さんね、萌ちゃんのお母さんの事でちょっとお話が聞きたくて会いに来たの」
「朝、お巡りさんも同じ事言ってた」
萌は小さな声で答えた。
「そっかぁ。びっくりしたでしょう。
あ、向こうのソファーに座ろうか?」
琴美は萌と2人きりになりたかったので、萌の手を繋いでソファーの所に行き腰を下ろした。
「早速なんだけど、萌ちゃんはお母さんが何処に行ったか心当たりある?」
琴美の質問に萌は首を横に振った。
「じゃあ、お母さんといつもハンバーガーを食べていた?萌ちゃんはオレンジジュースが好きなのかな?」
琴美は今日のハンバーガーの事を聞いてみた。
これには萌もびっくりしたような顔をした。
「お姉ちゃん、どうして私がオレンジジュースを好きな事知ってるの?」
「実はね、今日萌ちゃんのお家に行ってみたの。そうしたら丁度宅配のお兄さんがハンバーガーを持って来たの。
誰もいないって言ったらお兄さんが困っていたからそのハンバーガーを譲ってもらったの」
萌はなーんだという風に足をブラブラした。
「それでね、ハンバーガーが3つ入っていたんだけと、萌ちゃんはお母さんと2人暮らしだよね?どうして3つ入ってたのかな?って思ったの」
琴美は萌の顔を見ながら聞いてみた。
「お母さんのお友達の分」
「お友達?」
萌は頷いた。
「お母さん、お友達って言ってた。
そのお友達が来たらいつもハンバーガーを買ってくれるの」
「そうなんだ。男の人?」
「そう。優しいお兄さんだよ」
琴美は萌にどんな感じの男性か詳しく聞いてみた。
どうやら萌の母親よりも若く、いつもジーパンとスニーカーを履いていたらしい。
3人でハンバーガーを食べ終えたら、部屋に行って勉強をしていたので母親が男性と何を話していたのかは分からないとも言った。
「お姉ちゃん、お母さん何処に行っちゃったんだろ。萌いつまで此処にいたらいいのかなぁ」
萌は悲しそうな顔をした。
「萌ちゃん、お姉さんのお父さんはね、お巡りさんなの。
今でも一生懸命お母さんを探しているわ。
だから萌ちゃんは心配しないでしばらく待っていて」
琴美は彼女を励ました。
萌に会ったら飼い猫の事を話そうかと思っていた琴美だが、今は言えないと思った。
「また萌ちゃんに会いに来るから。その時は施設の人に頼んで何か食べに行こうか?」
「本当に?」
萌の目が輝いた。
2人で指切りをして琴美は施設を後にした。
(友達の男性って誰なんだろう)
せめて顔が判れば彼女に見てもらったらわかるはずなんだけど。
琴美は帰りながら考えていると携帯が鳴った。
「はい、あ、お父さん?
今萌ちゃんに会って来たのよ」
電話は健二からだった。
その電話の内容は琴美の態度を一変させた。
行方不明の母親が死体で見つかったという知らせだったからだ。
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