チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~

クロン

文字の大きさ
43 / 134
腐った既得権益 ベルガ商会編

第43話 最後の抵抗

しおりを挟む


間違えて次話を先に投稿していました。
申し訳ありません。
------------------------------------


「ど、どうするんですかギーヴ様!? 買収した山賊たちも捕らえられてしまいました!」
「もうまともな手駒はいませんよ!? 妨害も無理ですし万が一に我らと山賊団の関わりがバレたりしたら……!」
「やかましい! くそっ、あの無能どもめっ! 今まで何のために養っていたと思っている!」

 ベルガ商会本部の会議室でギーヴたちは凄まじく焦っていた。

 何せ頼みの綱だった山賊たちが、何の成果もなしに捕縛されてしまっている。

 彼らはベルガ商会の権限が通用しづらい相手に対して、非合法的に処刑するための子飼いだ。

 例えばベルガ商会に逆らおうとする民衆の集まりがあれば、それそのものを防ぐ権利をベルガ商会は持たない。

 あくまで処刑実行部隊は独占売買権を盾に動くので、それが適用されない相手には嫌がらせ程度しかできなかった。

 だがその参加者や家族はいずれにも盗賊に襲われるのだ。

 どう考えても真っ黒である。だがベルガ商会と元ルギラウ王は血縁を持っていたので、ベルガ商会と盗賊の関係に証拠があったとしても揉み消される。

 つまり表の処刑執行部隊と裏の盗賊部隊として、民衆の間では公然の秘密であった。

 そして盗賊部隊とベルガ商会は直接関係していない態を取っている。

「我らと盗賊部隊の間には他の組織を噛ませている! 関係はバレないはずだ! 今回の失敗は致命傷とまでは言えない!」

 ギーヴは強がるがこの大失敗は大きな痛手だった。

 今後はエミリへの警備も厚くされてしまい、同じ手段はもう不可能になってしまう。

「……こ、こうなれば! 奴らの配っているおにぎりとやらに毒を混ぜる!」
「ど、どうやって!?」
「奴らは商店を倉庫代わりにして、そこに米をしまっているはずだ! 毒を撒けばよい! 奴らの売った食料で人が大量に死ねば、まともな食料を売れないのだから食料関係は全てを我らに独占売買権を与えるべきだと言える!」

 商売の妨害どころか商品そのものを損壊させる手段を講じてしまう。

 そして民衆の命を大量に犠牲にしてでも利益をあげるのは、まさに死の商人と呼ぶにふさわしい存在だった。

「倉庫に忍び込ませて毒を……わかりました! すぐに手練れを放ちます!」
「うむ! 今度こそは必ず成功させろ! そうでなければ我らに未来はない! どんな犠牲を出そうが、ベルガ商会が存続するのがこの国のためだ! もし無理そうなら建物ごと燃やせ!」

 ベルガ商会の存続を望んでいるのは、ベルガ商会の関係者だけである。

 彼らは自分がこの国のガンになっていることに気づいていない。

 自分達は正しいことをしていて、大義のためには民衆の犠牲などやむなしと考えていた。

 だからこそどんな手段を取ってもよい、自らは正しいのだと平気で叫べるのだから。

「我らベルガ商会がいたからこそルギラウ国は存続したのだ! それを分からぬ女王などいずれ消し去ってくれる!」
 


---------------------------------------------



「倉庫の米を狙ってくるんですか?」
「はい、間違いありません。どうせベルガ商会なので、ここまでなってなお妨害してくるでしょう」

 ベルガ商会の野盗を街の外で捕縛した後、俺達は急いで街へと戻った。

 そして俺とエミリさんはアミズ商店の米倉庫……じゃなくて玄関口で話し込んでいた。

 ……この商店、現状は完全に米倉庫だからなぁ。

「流石のベルガ商会と言えどもそこまでやるでしょうか……?」

 エミリさんはなおもベルガ商会の善性を信じているようだ。

 だがアッシュたちを関わっていた俺は断言できる。あいつらは性根から腐っているのだ。

 救いようのない人間というのは一定数存在する。

「夜盗が俺達の襲撃に失敗したのは、早馬か何かで知らされているはずです。早々に仕掛けてくるでしょう。何せベルガ商会には後がないのだから」

 奴らはこのまま俺達が米を売り続けたら、自分たちの食料が売れずに破滅……いや破産なのだ。

 俺達の妨害を仕掛けてくるのは目に見えていた。

 以前の処刑実行部隊もやってきていたが、あれは俺達を狙って来たというよりは他の商会と同じように普段通り妨害した感じだったし。

 もう独占売買権は通用しないのは理解しただろうから、コッソリと邪魔をしてくるはず。

 そうなればここにある米に何か仕掛けてくる、と考えるのが妥当だ。

「失礼します! おにぎりを取りに来ました!」

 兵士のひとりが玄関から入ってきて米を取りに来た。

 だが……何となく怪しいな。ちょっと確認しておくか。

「待て、符を見せてもらおうか」

 俺は米に近づこうとする兵士を止める。

 現状の米はかなり貴重な代物のため、盗人が狙ってくることは十分考えられる。

 なので入る許可を与えた兵士にはその証となる符を渡していた。

「はい、これですよね!」

 兵士は自信満々に符を差し出してくる。一見すると書いてある内容にも問題はない。

 とはいえ普通の符なら偽造は可能。その対策として勘合符……一つの符を半分に切り取って、それを合わせて正しいかを証明する方法を取っていた。

 昔の日明貿易での証明で使われていた手法である。

 その符を受け取って懐にいれていたもう片方の符を合わせてみると……少しだが微妙にズレがある。

 俺はポケットのマジックボックスから、サングラスを取りだして装着すると。

「…………エミリさん、お光りください」
「え、あ、はい」
「め、めがぁぁぁぁぁ!?」

 エミリさんの建物内でのフラッシュ。

 紛れ込んだ間者の目にクリティカルヒット!

 米の倉庫内で下手に戦うと米俵が傷つけられてしまう恐れがある。例えばセレナさんの氷魔法を派手に使うと、米も巻き添えに凍らせてしまうかもしれない。

 でもエミリさんのはただの光なので米も懐も痛まない!

 急いで間者を縄でくくって外に出ると……数人の男の氷像が飾られていた。

 妙に周囲が寒いのでおそらく出来立てヒヤヒヤっぽいな。

 するとセレナさんがこちらに走って来た。

「リーズ様、無事ですか!? この者達が商店を燃やそうとしてまして……」
「は?」

 ……中に仮にも味方がいたのにそれごと燃やそうとするとは。

 ベルガ商会ヤバ過ぎるな。捕らえたこいつらから関係を洗い出して、何としても捕縛しないと。

 それに民衆が飢えているのに、更に米を燃やそうとするとは許すわけにはいかない!

「俺はアミルダ様の元にこいつらを連行する! 今後は部外者を店の周りに近づかせるな!」

 兵士に命令しつつ急いで王城へと向かうのだった。

しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...