宇宙桜

津嶋朋靖(つしまともやす)

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 一週間後、町内の公園に付近の住人が集まり宴会が行われていた。
 その中心では、高さ二メートルほどの桜が満開になっている。
「いやあ、見事な桜ですな」
「実に」
 一見すると普通の花見のようである。
 だが、普通の花見とは一つだけ違う点があった。
 桜の根元にはすっかり痩せ細った正の姿があったのだ。
「よお! 桜の兄ちゃんも一杯やりなよ」
 一升瓶を持ったおっさんが正の持っている杯に並々と酒を注ぐ。
「はあ……どうも」
 正は酒を一気に煽った。
 正の頭の動きに合わせて桜の木が揺れて花弁が舞い散る。
「おお! 桜吹雪じゃ!!」
「景気ええのお!!」
 正の顔はかなり不景気であったが……
 町内会役員のおばさんが小さな封筒を差し出す。
「頭山さん。拝観料です」 
「ああ、どうも」 
 正は、封筒の中のお札を数えて懐にしまう。 
「なんか疲れていませんか?」 
「はあ、首が重いのです」 
「大変ですね。それ抜けないのですか?」 
「頭皮にびっしり根を張っているので。今、会社の方で対策を考えてくれているそうですが、当てになるものやら」
「会社? そういえば頭山さんの会社ってどこでしたっけ?」
「コスモ製薬です」
 頭の木か小さいうちに出社したとき、会社の研究開発室の者たちが正の桜から細胞サンプルを採って、枯らす方法が見つかるまで会社へは来るなと言われたのだ。
 もっとも、行きたくても木がこんなに大きくなっては電車もバスも乗れないが。
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