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第二章

結局、何もわからなかったね

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 家に帰ってからテレビをつけたら、さっきの事件をニュースでやっていた。
 だけど、事件は警察と自衛隊爆発物処理班が解決した事になっていて内調の「な」の字
 も出ない。どうなってるの?
「しょうがないよ。内調のやっている事は極秘事項だ」
「でも……」
「俺達がやった事だって、報道されちゃ困るだろ」
「それはそうだけど」
 ニュースではさらにポール達を取り逃がした事が報じられていた。
 それと、変態男の素性かわかった。
 シーガーディアンの日本人協力者で、名前は緑埜みどの潤一じゅんいち。 
 会社員だそうだけど、たぶんこんな事件に関わったんだからクビだろうな。
 それはともかく……
「結局、何もわからなかったね」
「え? なにが」
「リアルの記憶」
「ああ!! あんまりいろんな事があって忘れていた」
「ふふ。でも、記憶が戻ったら人間にも戻れるのかな?」
「俺が人間に戻ったからって、惚れちゃいけないぜ」
「馬鹿」
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