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第三章

変態警報発令

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 エンジンルームの出入り口に緑埜がいた。
「逃げ出してきたのか。悪い子だな」
「こ……来ないで!!」
「そうはいかないな。悪い子はお仕置きしないと」
 緑埜はゆっくりと歩み寄ってくる。
 あたしは周囲を見回した。
「無駄だよ。この部屋に他に出口はない」
「近づいたら人を呼ぶわよ。シーガーディアンてセクハラには厳しいんじゃなかったの?」
「そうだけどね、この船の奴らは日本語がわからないから君が何を言ったって無駄だよ」
 こうなったら。
「きゃああああ!!」
 ありたっけの声を張り上げた。
 悲鳴は万国共通語。日本語がわからない人でもこれなら来てくれる。
「よせ!! やめろ!!」
 緑埜があたしを押さえつけて黙らせようとする。
 て!? ヤダ!! こいつ胸に触っている!!
「モガモガ」
 叫ぼうにも口を抑えられて声が出ない。
 あたしは床に腹ばいに押さえつけられた。
「僕がキモイかい? いや、答えなくていいよ。女はみんなそう言うんだから」
 あたし言ってない!! 
 思ったけど、言ってないよお!! 
 緑埜はあたしの背中に乗ってきた。重い!!
「僕は何も悪いことしてないのに、なんで女の子はいつも僕を避けるんだ」
 してる!! 今、あたしに悪い事してる!!
「僕はただ女の子と仲良くしたいだけなのに」
 そういう性格だから嫌われるのよ!!
 ひ!! こいつ、あたしのGパンを下ろそうとしている。やめてえ!!
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