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第三章

「おばさん。潜入捜査官だったの?」

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「にゃあ」
 リアル=真君が足元にすり寄ってくる。
 保安官たちの前で喋るわけにはいかないからね。
 あたしはリアルを抱き上げた。
「瑠理華ちゃん」
 おばさんもこっちへ…… あ! 
「何者!?」
 保安官から銃を向けられた。
「あの、この人は悪い人じゃないんです」
「誰なんです?」
 うう……やばい!! おばさんがここでやろうしていた事知られたら……
「彼女は潜入捜査官だよ」
 その声は背後からだった。
 見ると背広姿の中年男性。
 ちょっとイケメンだけど、なんか偉い人みたい。
 他の保安官が敬礼している。
 おばさんも呆気にとられていた。
「おばさん。潜入捜査官だったの?」
「え? いえ……その」
 しどろもどろになるおばさんに不意にイケメンが顔を近づける。
「そうですよね」
 おばさんの顔に驚愕の表情が現れる。
 どうしたんだろ?
「父さん!!」
 糸魚川君がやってくる。
 え? 父さんて……
「なんで、こんなところに?」
「なんでって、私はこの作戦の指揮官だ。現場に出てきて何が悪い」
「いや……指揮官というのは、常に自分だけ安全なところにいて、部下に危険なことをやらせるのが仕事だろ」
 糸魚川君、それ偏見。
「何を言う。私は常に「謀略は誠なり」の精神でこの仕事をやっている」
「また、わけの分からないことを」
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