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第十七章
眠らせる
タブレットの画面に映った、銀色の円筒形物体を僕は指さした。
「あれは……ブレインレターに間違いないかな?」
古淵は、しばし考え込む。
「形状、色、大きさから言ってブレインレターと思われますが……」
歯切れの悪い言い方だが、その気持ちは分かる。
確かにあの物体はブレインレターのようだが、何か違和感があった。
おそらく古淵も違和感を覚えているのだろう。
しかし、違和感の正体が分からない。
単に僕と古淵が疑心暗鬼になっているだけかもしれない。
「橋本君。君はどう思う?」
橋本晶も少し考え込んでから答える。
「私もリトル東京の倉庫で、あれにやられかけました。あの時見た装置に似ています。似ていますが……」
「何か違和感があるのかい?」
「ええ、そうです。私の考えすぎかもしれませんが」
ううむ、猪突猛進タイプの彼女でもそう思うのか……
「北村さん」
芽衣ちゃんの方に顔を向ける。
「あれがブレインレターでないのなら何も問題はありませんが、あれがそうであるならカルル・エステスさんは、すでに接続者にされていると判断すべきかと……」
なるほど。もし、カルルが接続者にされているなら、連れ帰る途中、隠し持っていた武器で僕達が攻撃されるリスクがある。
それがなかったとしても、潜水艦に戻った後に、内部から破壊活動をするリスクが……
よし!
「これからの行動は、カルルはすでに接続者にされていると判断して行う」
「具体的に、どうされるのですか?」
「眠らせる」
古淵の質問に、僕は即答した。
眠っている間に連れ出してしまえば、レム神と接続されていても何もできないし、接続されていなくても眠らせるだけなら何も問題はない。
母艦に連れ戻したら、眠っている間に接続者かを確認すればいい。
「しかし隊長。どうやって眠らせるのです? 我々の装備に、麻酔薬は……」
そこまで言いかけて、古淵は医者に視線を向けた。
「持っていますか?」
医者はゆっくりと首を横に振る。
「家を出るときは持っていたのだが、この要塞で何度か手術をやって使い切ってしまったのだよ。カルル・エステスを手術した時には、鎮痛剤だけで済ませた」
「そうですか」
古淵は僕の方へ向き直る。
「隊長。聞いての通り、麻酔薬がありません」
「麻酔薬なら、あるじゃないか」
「え?」
古淵は少し考えてから、口を開く。
「そうでした。昆虫型ドローンに入っていましたね」
利尿剤は使ってしまったが、まだあのドローンには麻酔と毒薬が入っているはず。
間違って毒を使わないように気をつけないとな。
「北村さん」
振り向くと芽衣ちゃんはタブレット画面を僕に向けていた。
そこに表示されているのは、昆虫型ドローンのトリセツ。
それと一緒に手書きのメモが表示されている。
「昆虫型ドローンに入っている麻酔薬の、説明がメモ書きされてました」
「何か問題があったのかい?」
「麻酔薬の持続時間が短いのです」
「短い?」
「はい。ドローンに入れた麻酔薬は、即効性の睡眠導入剤ですが、量が少ないので、睡眠の持続時間は二~三十分ほどだそうです」
微妙な時間だな。
「仕方ない。カルルを眠らせてから突入しようと考えていたが、それでは時間切れになりそうだ。カルルの身柄を確保してから、眠らせよう」
事態の急変があったのは、僕達が地下室入口手前の曲がり角まで来たときのこと……
「北村さん。《はくげい》からメールが……」
「芽衣ちゃん、それで《はくげい》からは、なんと?」
「それが、ワームホールが閉じたと」
まずい! ベイス島地下施設の修復が終わってしまったようだ。
敵が再びワームホールを使い始めるぞ。
「あれは……ブレインレターに間違いないかな?」
古淵は、しばし考え込む。
「形状、色、大きさから言ってブレインレターと思われますが……」
歯切れの悪い言い方だが、その気持ちは分かる。
確かにあの物体はブレインレターのようだが、何か違和感があった。
おそらく古淵も違和感を覚えているのだろう。
しかし、違和感の正体が分からない。
単に僕と古淵が疑心暗鬼になっているだけかもしれない。
「橋本君。君はどう思う?」
橋本晶も少し考え込んでから答える。
「私もリトル東京の倉庫で、あれにやられかけました。あの時見た装置に似ています。似ていますが……」
「何か違和感があるのかい?」
「ええ、そうです。私の考えすぎかもしれませんが」
ううむ、猪突猛進タイプの彼女でもそう思うのか……
「北村さん」
芽衣ちゃんの方に顔を向ける。
「あれがブレインレターでないのなら何も問題はありませんが、あれがそうであるならカルル・エステスさんは、すでに接続者にされていると判断すべきかと……」
なるほど。もし、カルルが接続者にされているなら、連れ帰る途中、隠し持っていた武器で僕達が攻撃されるリスクがある。
それがなかったとしても、潜水艦に戻った後に、内部から破壊活動をするリスクが……
よし!
「これからの行動は、カルルはすでに接続者にされていると判断して行う」
「具体的に、どうされるのですか?」
「眠らせる」
古淵の質問に、僕は即答した。
眠っている間に連れ出してしまえば、レム神と接続されていても何もできないし、接続されていなくても眠らせるだけなら何も問題はない。
母艦に連れ戻したら、眠っている間に接続者かを確認すればいい。
「しかし隊長。どうやって眠らせるのです? 我々の装備に、麻酔薬は……」
そこまで言いかけて、古淵は医者に視線を向けた。
「持っていますか?」
医者はゆっくりと首を横に振る。
「家を出るときは持っていたのだが、この要塞で何度か手術をやって使い切ってしまったのだよ。カルル・エステスを手術した時には、鎮痛剤だけで済ませた」
「そうですか」
古淵は僕の方へ向き直る。
「隊長。聞いての通り、麻酔薬がありません」
「麻酔薬なら、あるじゃないか」
「え?」
古淵は少し考えてから、口を開く。
「そうでした。昆虫型ドローンに入っていましたね」
利尿剤は使ってしまったが、まだあのドローンには麻酔と毒薬が入っているはず。
間違って毒を使わないように気をつけないとな。
「北村さん」
振り向くと芽衣ちゃんはタブレット画面を僕に向けていた。
そこに表示されているのは、昆虫型ドローンのトリセツ。
それと一緒に手書きのメモが表示されている。
「昆虫型ドローンに入っている麻酔薬の、説明がメモ書きされてました」
「何か問題があったのかい?」
「麻酔薬の持続時間が短いのです」
「短い?」
「はい。ドローンに入れた麻酔薬は、即効性の睡眠導入剤ですが、量が少ないので、睡眠の持続時間は二~三十分ほどだそうです」
微妙な時間だな。
「仕方ない。カルルを眠らせてから突入しようと考えていたが、それでは時間切れになりそうだ。カルルの身柄を確保してから、眠らせよう」
事態の急変があったのは、僕達が地下室入口手前の曲がり角まで来たときのこと……
「北村さん。《はくげい》からメールが……」
「芽衣ちゃん、それで《はくげい》からは、なんと?」
「それが、ワームホールが閉じたと」
まずい! ベイス島地下施設の修復が終わってしまったようだ。
敵が再びワームホールを使い始めるぞ。
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