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第十三章
フライング・トラクター2
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「芽衣ちゃん! 盾を下に向けて! フーファイターが下から狙っている」
「はい!」
盾を下に向けた直後、レーザーが照射された。
一秒遅かったら危なかったところだ。
どうやら矢納課長は、フライング・トラクターで気を引いている間に、下からレーザーで狙おうとしたようだ。そのために、フーファイターをすぐに飛び立たせなかったのだと思うが、それが返って命取り。
三号機の映像を見ていると、フーファイターのレーザー砲が突然弾け飛んだ。
ナージャの化学レーザーが命中したようだ。
完全に破壊できなかったが、かなりのダメージを与えたはず。
フーファイターは慌てて上昇するが、近くの樹木の上で待機していたミールの分身体が、上昇してくるフーファイターに投網を投げつけた。
フーファイターは網に絡め取られる。
それでも上昇しようとするが、三十メートルの高さで上昇が止まった。
網から延びているロープは大木に結びつけてある。それ以上は上昇できないのだ。
これでフーファイターは封じた。残るは……
通信が入ったのはフライング・トラクターに視線を向けたとき。
相手は矢納課長。
「どうしました? 矢納さん。まさか、降伏するとか言うのじゃないでしょうね?」
『そのまさかだ。降伏する。命だけは助けてくれ』
「できませんね。あなたは信用できない」
『まて! おまえレム神について知りたくないか?』
レム神!?
『《マカロフ》で死んだ俺は、その事を話すつもりだった』
「レム神について、あなたは何を知っているのです?」
『いろいろとある。例えば、レムの支配下にある人間を解放する方法とか』
こっちが一番知りたい情報……どうせ嘘だと思うが万が一という事もあるし……
「いいでしょう。話だけは聞きます。ただし、嘘だったら、そのときは分かっていますね?」
『何を言っている。俺が今まで嘘を言ったことがあるか?』
「あのですね……そんな言い方したら、まるで今まで嘘を付かなかった事がないみたいに聞こえるじゃないですか」
『馬鹿言うな! 俺だって、三回に一回は本当の事を言っている』
嘘の方が多いやん……
『とにかく、俺はレム神について重要な事を知っている。おまえはそれを知りたいだろう?』
「良いのですか? レムを裏切って」
『常に強い者の側に付く。それが俺の処世術だ』
このねずみ男が……
『信用できないというなら、武器を捨てる』
フライング・トラクターからバルカン砲が切り離された。
バルカン砲の砲身は、木々の間に消えていく。
元々、あんな物は九九式には効果はないけど、それでも地上にいるミール達には十分な脅威だ。
だから捨てくれる事はありがたいが……
「北村さん。私、あの人信用できません。きっと何か企んでいると思います」
芽衣ちゃん、僕もそう思うよ。
『それでも信用できないなら、車体は着陸させる』
フライング・トラクターはゆっくりと降下していく。
「芽衣ちゃん。近くまで行こう」
「はい」
至近距離まで近づいたが、フライング・トラクターの窓はスモークがかかっていて内部の様子が見えない。
こういう時、車の窓にデジカメのレンズを押し当てると車内の様子が見えると、駐車監視員をやっていた叔父さんに聞いて事があるが……
「矢納さん。運転席の窓を開けて内部の様子を見せて下さい。要求に従わない場合は、降伏の意志無しと見なして撃墜します」
『分かった。今、開くからちょっと待て』
車体右側の窓がゆっくりと開き始めた。
ん? フライング・トラクターはアメ車のはず。ならば運転席は左側。
「なぜ助手席を開くのです? 僕は運転席を開けと言ったはずです」
『細かい奴だな。運転席でも助手席でもどっちでもいいだろ』
半分ほど開いた窓から、人の掌が出てくる。
掌は輝いていた。
これは……
「北村さん! 避けて下さい! エラ・アレンスキーです!」
芽衣ちゃんが叫んだ直後、無数のプラズマボールが僕たちに向かってきた。
「はい!」
盾を下に向けた直後、レーザーが照射された。
一秒遅かったら危なかったところだ。
どうやら矢納課長は、フライング・トラクターで気を引いている間に、下からレーザーで狙おうとしたようだ。そのために、フーファイターをすぐに飛び立たせなかったのだと思うが、それが返って命取り。
三号機の映像を見ていると、フーファイターのレーザー砲が突然弾け飛んだ。
ナージャの化学レーザーが命中したようだ。
完全に破壊できなかったが、かなりのダメージを与えたはず。
フーファイターは慌てて上昇するが、近くの樹木の上で待機していたミールの分身体が、上昇してくるフーファイターに投網を投げつけた。
フーファイターは網に絡め取られる。
それでも上昇しようとするが、三十メートルの高さで上昇が止まった。
網から延びているロープは大木に結びつけてある。それ以上は上昇できないのだ。
これでフーファイターは封じた。残るは……
通信が入ったのはフライング・トラクターに視線を向けたとき。
相手は矢納課長。
「どうしました? 矢納さん。まさか、降伏するとか言うのじゃないでしょうね?」
『そのまさかだ。降伏する。命だけは助けてくれ』
「できませんね。あなたは信用できない」
『まて! おまえレム神について知りたくないか?』
レム神!?
『《マカロフ》で死んだ俺は、その事を話すつもりだった』
「レム神について、あなたは何を知っているのです?」
『いろいろとある。例えば、レムの支配下にある人間を解放する方法とか』
こっちが一番知りたい情報……どうせ嘘だと思うが万が一という事もあるし……
「いいでしょう。話だけは聞きます。ただし、嘘だったら、そのときは分かっていますね?」
『何を言っている。俺が今まで嘘を言ったことがあるか?』
「あのですね……そんな言い方したら、まるで今まで嘘を付かなかった事がないみたいに聞こえるじゃないですか」
『馬鹿言うな! 俺だって、三回に一回は本当の事を言っている』
嘘の方が多いやん……
『とにかく、俺はレム神について重要な事を知っている。おまえはそれを知りたいだろう?』
「良いのですか? レムを裏切って」
『常に強い者の側に付く。それが俺の処世術だ』
このねずみ男が……
『信用できないというなら、武器を捨てる』
フライング・トラクターからバルカン砲が切り離された。
バルカン砲の砲身は、木々の間に消えていく。
元々、あんな物は九九式には効果はないけど、それでも地上にいるミール達には十分な脅威だ。
だから捨てくれる事はありがたいが……
「北村さん。私、あの人信用できません。きっと何か企んでいると思います」
芽衣ちゃん、僕もそう思うよ。
『それでも信用できないなら、車体は着陸させる』
フライング・トラクターはゆっくりと降下していく。
「芽衣ちゃん。近くまで行こう」
「はい」
至近距離まで近づいたが、フライング・トラクターの窓はスモークがかかっていて内部の様子が見えない。
こういう時、車の窓にデジカメのレンズを押し当てると車内の様子が見えると、駐車監視員をやっていた叔父さんに聞いて事があるが……
「矢納さん。運転席の窓を開けて内部の様子を見せて下さい。要求に従わない場合は、降伏の意志無しと見なして撃墜します」
『分かった。今、開くからちょっと待て』
車体右側の窓がゆっくりと開き始めた。
ん? フライング・トラクターはアメ車のはず。ならば運転席は左側。
「なぜ助手席を開くのです? 僕は運転席を開けと言ったはずです」
『細かい奴だな。運転席でも助手席でもどっちでもいいだろ』
半分ほど開いた窓から、人の掌が出てくる。
掌は輝いていた。
これは……
「北村さん! 避けて下さい! エラ・アレンスキーです!」
芽衣ちゃんが叫んだ直後、無数のプラズマボールが僕たちに向かってきた。
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