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第十四章

復活のカルル1

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 蛇型ドローンは、何事もなく砂州さすを渡りきった。

 しかし、妙だ? 帝国軍は偵察ドローンを飛ばし、レーダーやソナーを常時稼働させているのに、砂州には赤外線センサーの一つもないなんて……

 考え過ぎかな?

 パソコン画面には、蛇型ドローンから送られてくる映像が映っていた。

 日が暮れて暗くなった湾内で、帝国艦隊の各艦がかがり火をともしている光景が表示されている。それに混じって灯っているLEDらしき明かりは《アクラ》のものだろう。
 
 海岸の方にも明かりが見える。帝国軍の駐屯地のようだな。

 画面の右下に視線を移すと、「99%」という表示がある。次の瞬間、それが「100%」に変わった。

『ご主人様。蛇型ドローン、バッテリーチャージ終了しました』

 姿は見えないが、パソコンのスピーカーからPちゃんの声が流れた。

『これより、ケーブルを切り離します。二時間後に戻る予定ですが、四時間経っても戻らないときはケーブルを回収して下さい』

 その直後、画面は真っ白になる。ケーブルを切断したのだ。

 僕は右を振り向いた。

 そこでは、ミールが両目を閉じ、クッションの上で結跏趺坐けっかふざしている。

「ミール。様子はどうだい?」
「今のところ何も問題はありません。ドローンは順調に進んでいます」

 そう言ってミールは目を開いた。

「ドローンが地下施設に到着するまで、一時間はありますね。それまで、分身体は自立モードにしておきます」
「そうか」

 力は温存しておいた方がいいな。

「今のうちに、さっきのお魚をお料理しちゃいましょう」

 吸血虫を餌にして釣った魚五匹が塩焼きになった頃、ミールは分身体とのコンタクトを再開した。

「地下施設の入り口が見えてきました」
「どんな様子だ?」
「十人ほどの帝国兵が警備しています。全員銃を持っていますが、Pちゃんが言うにはカラシニコフという銃だそうです」

 AK-47か。

「地下施設に入る前に、周囲の状況を探れるかい? 防空陣地がどうなっているか知りたい」
「はい。やって見ます」

 しばらくの間、ミールは無言でいた。

 五分ほど経過して口を開く。

「防空陣地を見つけました。Pちゃんが言うには、口径三十ミリの対空機関砲という武器があります」

 三十ミリ!? 九九式の装甲は耐えられるだろうか?

 それからしばらく、ミールの口述をメモしていき、地下施設入り口の防御態勢はだいたい把握できた。

「ミール。防空陣地はもういいよ。そろそろ地下施設に向かうよう、Pちゃんに伝えてくれ」
「はーい……カイトさん。防空陣地の脇で食事中の兵士たちがいるのですが、そこに興味深い人物がいました」

 興味深い人物?

「誰だい?」
「カルル・エステスです」

 なに!? カルルがここに来ているというのか?
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