696 / 897
第十六章
土産がかなり利いているようだな。
しおりを挟む
しばらくして、ドローン一号から送られてきた映像に映っていたのは帝国軍司令部で行われていた口論の様子。
口論をしている者たちの声を拾ってみた。
『少佐! 我々を騙していたのですね!』
どうやら上手くいったようだな。
『少尉。落ち着け。こんなのは敵の欺瞞情報だ。狡猾なカイト・キタムラならやりそうな事だろう』
狡猾……まあ、ほめ言葉と取っておくか。
『では、第六層のカルル・エステス隊は、なぜ上に上がって来て我々と合流しようとしないのです?』
『第六層にはプリンターがある。それを守る必要があるのだ』
『何から守るというのです? 第一層と第三層にしか出入り口がないのなら、敵が第六層にたどり着くには我々を突破する必要がある。やはり第六層に通路があるのですね』
捕虜に持たせた土産とは、外部への通路が載っている第六層の詳細な図面だったのだ。
キラの話を聞いてから、あらためて捕虜たちを尋問したところ、第六層から外部へ抜ける通路がある事を知っている者は一人もいなかった。
どうやら帝国軍の方では、第六層からの通路がある事を一部の者だけが知っていたようだが、その事実は伏せられていたらしい。
だから、第三層にいる兵士たちは、第三層の通路を潰された今、唯一の出口は第一層にしかなく、自分たちは地下施設に閉じ込められたと思いこんでいたのだ。
当然、ここから脱出するには、第一層を制圧している僕らを倒すしかない。帝国兵たちは外へ出るために、死に物狂いで戦おうと決意している事だろう。
そんなところへ、こんな図面を持ち込んだらどうなるか?
映像をドローン二号に切り替えてみた。
一般兵士たちが輪になって会話している様子が映る。
『第六層から、外へ出られるだと?』
『本当か?』
『敵の言っている事だから、あまり信用はできないけどな』
『はっきり言おう。俺は敵よりも、味方の方が信用できない』
『ああ、俺もだ』
『あたしも……特にあの大隊長。あたしたちを、消耗品としか考えていないわ』
『第一層にしか出口がないと俺たちに思わせておいて、必死で戦わせようという魂胆かもしれないぞ』
『かもしれないじゃない。実際そうなんだよ』
『しかし、このまま戦いもしないで逃げるというのも。こっちから、第二層に攻め込んではどうだ?』
『おまえは第二層の惨状を知らないから、そんな事が言えるんだ』
『え? そんな酷いのか?』
『あれは地獄だ。はっきり言おう。俺たちの装備では、勝ち目など万に一つもない』
『そんなにすごいのか? だってこっちにはロケット砲が……』
『あんなガラクタ役に立つか!』
こりゃあ、土産がかなり利いているようだな。
口論をしている者たちの声を拾ってみた。
『少佐! 我々を騙していたのですね!』
どうやら上手くいったようだな。
『少尉。落ち着け。こんなのは敵の欺瞞情報だ。狡猾なカイト・キタムラならやりそうな事だろう』
狡猾……まあ、ほめ言葉と取っておくか。
『では、第六層のカルル・エステス隊は、なぜ上に上がって来て我々と合流しようとしないのです?』
『第六層にはプリンターがある。それを守る必要があるのだ』
『何から守るというのです? 第一層と第三層にしか出入り口がないのなら、敵が第六層にたどり着くには我々を突破する必要がある。やはり第六層に通路があるのですね』
捕虜に持たせた土産とは、外部への通路が載っている第六層の詳細な図面だったのだ。
キラの話を聞いてから、あらためて捕虜たちを尋問したところ、第六層から外部へ抜ける通路がある事を知っている者は一人もいなかった。
どうやら帝国軍の方では、第六層からの通路がある事を一部の者だけが知っていたようだが、その事実は伏せられていたらしい。
だから、第三層にいる兵士たちは、第三層の通路を潰された今、唯一の出口は第一層にしかなく、自分たちは地下施設に閉じ込められたと思いこんでいたのだ。
当然、ここから脱出するには、第一層を制圧している僕らを倒すしかない。帝国兵たちは外へ出るために、死に物狂いで戦おうと決意している事だろう。
そんなところへ、こんな図面を持ち込んだらどうなるか?
映像をドローン二号に切り替えてみた。
一般兵士たちが輪になって会話している様子が映る。
『第六層から、外へ出られるだと?』
『本当か?』
『敵の言っている事だから、あまり信用はできないけどな』
『はっきり言おう。俺は敵よりも、味方の方が信用できない』
『ああ、俺もだ』
『あたしも……特にあの大隊長。あたしたちを、消耗品としか考えていないわ』
『第一層にしか出口がないと俺たちに思わせておいて、必死で戦わせようという魂胆かもしれないぞ』
『かもしれないじゃない。実際そうなんだよ』
『しかし、このまま戦いもしないで逃げるというのも。こっちから、第二層に攻め込んではどうだ?』
『おまえは第二層の惨状を知らないから、そんな事が言えるんだ』
『え? そんな酷いのか?』
『あれは地獄だ。はっきり言おう。俺たちの装備では、勝ち目など万に一つもない』
『そんなにすごいのか? だってこっちにはロケット砲が……』
『あんなガラクタ役に立つか!』
こりゃあ、土産がかなり利いているようだな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる