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第十六章

できれば、こんな奴に頼りたくないが……

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 地下施設内に動物をばらまいた目的は熱源体探知を混乱させるためと思っていたが、本当の目的は動物を通じて僕たちを見張る事だったというのか?

 勝ち目もないのに帝国軍兵士を配置していたのも、ヒツジやヤギから僕たちの目をらすため?

「ただ、わしらにはプシトロンパルスを直接観測する手段が今はない。だから、本当にヤギやヒツジがスパイに使われているかは確認できぬ。子ヤギが部屋にやってきたのも、偶然という可能性もある」

 いや、ないだろう。

 子ヤギが僕たちの部屋をノックしたのは、偶然とは思えない。

 以前に子ヤギを可愛がっていた帝国軍兵士があの部屋で暮らしていたというならありえるが、僕らが入る前、あの部屋に生活の痕跡はなかった。

 タウリ族が地下施設を放棄した後、誰もここでは暮らして居なかったのだ。

 そうなると、子ヤギはレム神に操られてやってきた可能性の方が高い。

「ジジイ。『今はない』と言ったな。今じゃなきゃ、プシトロンパルスを観測する事が可能なのか?」 

 ジジイは首を縦にふる。

「わしのオリジナル体は、プシトロンパルスを観測する機器をいくつも発明している。今でも、しかるべき設備と素材があれば作れるぞ」
「じゃあ、リトル東京なら……」
「まだ行った事はないが、恐らくリトル東京の設備なら制作可能じゃろう。ついでに言うと今まで《海龍》内に隠れていたわしが、今頃になっておまえたちの前に姿を現したのは、そろそろリトル東京はそれらの発明品を欲しがっている頃からだと踏んだからじゃ」

 このクソジジイ。最初からそうなると分かっていたのか。

「今頃、リトル東京では次の手を打てないで困っているはずじゃろうからな」

 次の手?

「次の手って、どういう事だ?」
「カルカとリトル東京の連絡が付いたのだろう。それなら、カルカから情報提供を受けたはずじゃな。レムのコンピューターセンター最後の一カ所がどこにあるのか」
「それに関しては、何も聞いていないが……」

 しかし、カルカが情報提供を拒む理由など何も無いはず。という事は、情報提供はあったのだろうな。

「情報提供を受けたのなら、リトル東京がコンピューターセンターへの攻撃を躊躇ちゅうちょするはずがない。恐らく、わしらがマオ川を下っている途中で攻撃があったはずじゃ。衛星軌道から爆撃すれば、コンピューターセンターなどひとたまりもないじゃろう。それにもかかわらず、レム神の影響が消えない」
「つまり、見つかっていないコンピューターセンターが、この惑星のどこかにあるというのか?」
「そうじゃ。それを発見するには、わしの力がどうしても必要となる。リトル東京としては、わしの到着を待ち望んでおるじゃろうな」
 
 できれば、こんな奴に頼りたくないが、この惑星を救うにはこいつの力はどうしても必要なのか。
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