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第六章
奴が来た
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低く垂れこめた雲の中に、ドローンは突入した。
視界ゼロ。
他のドローンの位置はレーダーで分かるけど……下はどうなっているのだろう?
計算通りなら、すでに城の上にいるはず。
地球と違ってGPS衛星からの誘導はできない。
通信機でミールを呼び出す。
「ミール。今、城の上空にいるはずなのだが、ドローンの音は聞こえるかい?」
『カイトさん。あれって、ドローンの音なんですか? 雷かと思いました』
そう言えば、ミールにはジェットドローンを見せた事がなかったな。
いつもは、音の静かな飛行船タイプを使っていたし……
『帝国兵たちも、驚いてみんな上を見上げています』
「ミールは今、どごにいるんだ? ダモンさんの部屋からは見えないと思うけど……」
『カイトさんがドローンで攻撃するというから、よく見えるように見張り塔へ移動したのです。見張り塔までは、ダモン様の部屋から、抜け穴が通じてましたから見つからないで行けました』
忍者屋敷か。あの城は……
『ところで、攻撃する場所ですが食糧庫と弾薬庫と言ってましたね。ただし、弾薬庫は直撃させないで、近くの燃えやすい物を狙うと』
「そうだけど」
『食糧庫はいいのですが、弾薬庫の周辺は燃えるものがありません』
「しまったあ!」
考えてみれば当然だ。弾薬庫は火気厳禁に決まっている。
『なので、分身たちを動員して、燃えるごみを弾薬庫の近くに積み上げておきました』
「おお! よくやってくれた」
『帰ったら、誉めて下さいね』
「もちろんさ。ところで僕の預けた拳銃は今持っているかい?」
『はい。肌身離さず持っています』
「拳銃に着いているレーザーポインターの使い方は分かるかい?」
『分かりますよ。面白いから、ついつい使いまくってましたが』
おいおい……バッテリーは残っているだろうな……
「それじゃあ、分身達が積み上げたゴミの山に、レーザーを照射してくれ」
『はーい』
三機のドローンのうち一機……菊花一号を手動に切り替えて機首を下げた。
高度が徐々に下がり、やがて雲を抜ける。
城が見えた。
城の見張り塔から、一本の光の筋が伸びている。
どうやら、バッテリーは切れていなかったようだ。
光の筋の先に、ボロ布やら木片やらを積み上げた山があった。
「ミール。もういいよ。レーザーを止めて」
『はーい』
レーザーは消えたが、ゴミの山がどこにあるかもう分かった。
菊花一号から空対地ミサイルを発射する。
炎の尾を引いてミサイルは進む。
吸い込まれるようにゴミの山に飛び込み爆発。
そのまま、ゴミの山は炎上する。
続いて食糧庫を狙う。
帝国兵は、慌てて集まってきて消火活動に入った。
時折、帝国兵は銃撃をしてくるが、フリントロック銃ごときでジェットドローンは落とせない。
僕はミサイルの続く限り、燃えやすそうな建物にミサイルを撃ちまくった。
ミサイルを全弾撃ち尽くした菊花一号には、自動操縦でこっちへ戻ってくるように指令する。
もちろん、攻撃の手を休める気はない。
上空で待機していた菊花二号を手動に切り替えて攻撃を継続した。
「ミール。そっちはどうだ?」
『大騒ぎです。帝国兵たちは火を消すのに必死です』
そうだろうな。弾薬庫の近くが燃えているのだから……
「ベジドラゴンの周辺は?」
『誰もいなくなりました。飼育係に化けているあたしの分身以外は』
「ちょっと待って。近くをドローンで偵察してみる」
菊花二号を、ベジドラゴン達が閉じ込められている檻の方へ向けた。
鉄の檻の傍で、一人の男がこっちに向かって手を振っている。
「今、手を振っているのは、ミールの分身だね?」
『そうですよ』
「その背後から三人の男がやってくるが、それは?」
『え?』
手を振っていた男が、背後を振り向いた。
後ろから近付いてきた男たちに銃を突き付けられる。
『こいつら、分身達がゴミを積み上げていたのを見ていたようです。『怪しい奴だ。ちょっと来い』と言ってますが』
見てはならないものを見てしまったようだな。
男の一人に狙いを定めてミサイルを発射。
男は、たちまち火だるまになる。
他の二人は、銃撃で倒した。
他に人はいないようだ。
「ミール。もう大丈夫だ。ベジドラゴンを解放して」
『はーい』
ミールの分身は檻を解放した。
ミサイルを撃ちつくした菊花二号に帰還命令を出して、菊花三号を手動に切り替えた時、Pちゃんが叫んだ。
「ご主人様。別のドローンが急速接近しています」
「なに!?」
その直後、上空に滞空して情報を集めていた飛行船タイプからの連絡が途絶えた。
落とされたのか?
という事は、そのドローンは敵?
「ご主人様。相手のドローンから通信が入っています。繋ぎますか?」
「繋いでくれ」
通信機の画面に、金髪頭を短く刈り込んだ若い男の顔が現れる。
『よお。久しぶりだな。北村海斗』
「おまえは……!」
奴が来た。
視界ゼロ。
他のドローンの位置はレーダーで分かるけど……下はどうなっているのだろう?
計算通りなら、すでに城の上にいるはず。
地球と違ってGPS衛星からの誘導はできない。
通信機でミールを呼び出す。
「ミール。今、城の上空にいるはずなのだが、ドローンの音は聞こえるかい?」
『カイトさん。あれって、ドローンの音なんですか? 雷かと思いました』
そう言えば、ミールにはジェットドローンを見せた事がなかったな。
いつもは、音の静かな飛行船タイプを使っていたし……
『帝国兵たちも、驚いてみんな上を見上げています』
「ミールは今、どごにいるんだ? ダモンさんの部屋からは見えないと思うけど……」
『カイトさんがドローンで攻撃するというから、よく見えるように見張り塔へ移動したのです。見張り塔までは、ダモン様の部屋から、抜け穴が通じてましたから見つからないで行けました』
忍者屋敷か。あの城は……
『ところで、攻撃する場所ですが食糧庫と弾薬庫と言ってましたね。ただし、弾薬庫は直撃させないで、近くの燃えやすい物を狙うと』
「そうだけど」
『食糧庫はいいのですが、弾薬庫の周辺は燃えるものがありません』
「しまったあ!」
考えてみれば当然だ。弾薬庫は火気厳禁に決まっている。
『なので、分身たちを動員して、燃えるごみを弾薬庫の近くに積み上げておきました』
「おお! よくやってくれた」
『帰ったら、誉めて下さいね』
「もちろんさ。ところで僕の預けた拳銃は今持っているかい?」
『はい。肌身離さず持っています』
「拳銃に着いているレーザーポインターの使い方は分かるかい?」
『分かりますよ。面白いから、ついつい使いまくってましたが』
おいおい……バッテリーは残っているだろうな……
「それじゃあ、分身達が積み上げたゴミの山に、レーザーを照射してくれ」
『はーい』
三機のドローンのうち一機……菊花一号を手動に切り替えて機首を下げた。
高度が徐々に下がり、やがて雲を抜ける。
城が見えた。
城の見張り塔から、一本の光の筋が伸びている。
どうやら、バッテリーは切れていなかったようだ。
光の筋の先に、ボロ布やら木片やらを積み上げた山があった。
「ミール。もういいよ。レーザーを止めて」
『はーい』
レーザーは消えたが、ゴミの山がどこにあるかもう分かった。
菊花一号から空対地ミサイルを発射する。
炎の尾を引いてミサイルは進む。
吸い込まれるようにゴミの山に飛び込み爆発。
そのまま、ゴミの山は炎上する。
続いて食糧庫を狙う。
帝国兵は、慌てて集まってきて消火活動に入った。
時折、帝国兵は銃撃をしてくるが、フリントロック銃ごときでジェットドローンは落とせない。
僕はミサイルの続く限り、燃えやすそうな建物にミサイルを撃ちまくった。
ミサイルを全弾撃ち尽くした菊花一号には、自動操縦でこっちへ戻ってくるように指令する。
もちろん、攻撃の手を休める気はない。
上空で待機していた菊花二号を手動に切り替えて攻撃を継続した。
「ミール。そっちはどうだ?」
『大騒ぎです。帝国兵たちは火を消すのに必死です』
そうだろうな。弾薬庫の近くが燃えているのだから……
「ベジドラゴンの周辺は?」
『誰もいなくなりました。飼育係に化けているあたしの分身以外は』
「ちょっと待って。近くをドローンで偵察してみる」
菊花二号を、ベジドラゴン達が閉じ込められている檻の方へ向けた。
鉄の檻の傍で、一人の男がこっちに向かって手を振っている。
「今、手を振っているのは、ミールの分身だね?」
『そうですよ』
「その背後から三人の男がやってくるが、それは?」
『え?』
手を振っていた男が、背後を振り向いた。
後ろから近付いてきた男たちに銃を突き付けられる。
『こいつら、分身達がゴミを積み上げていたのを見ていたようです。『怪しい奴だ。ちょっと来い』と言ってますが』
見てはならないものを見てしまったようだな。
男の一人に狙いを定めてミサイルを発射。
男は、たちまち火だるまになる。
他の二人は、銃撃で倒した。
他に人はいないようだ。
「ミール。もう大丈夫だ。ベジドラゴンを解放して」
『はーい』
ミールの分身は檻を解放した。
ミサイルを撃ちつくした菊花二号に帰還命令を出して、菊花三号を手動に切り替えた時、Pちゃんが叫んだ。
「ご主人様。別のドローンが急速接近しています」
「なに!?」
その直後、上空に滞空して情報を集めていた飛行船タイプからの連絡が途絶えた。
落とされたのか?
という事は、そのドローンは敵?
「ご主人様。相手のドローンから通信が入っています。繋ぎますか?」
「繋いでくれ」
通信機の画面に、金髪頭を短く刈り込んだ若い男の顔が現れる。
『よお。久しぶりだな。北村海斗』
「おまえは……!」
奴が来た。
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