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「あの……料金は払いますから、家に戻って貰えますか?」
「かまいませんよ。しかし、猫はいいんですか?」
「わたしの猫じゃありません!」
タクシーは綾子を乗せて走り出した。
「あの……運転手さん。変なことを聞きますが……」
「なんでしょう?」
「行きの車の中では、わたしと猫だけだったのですよね?」
「そうですよ?」
「行き先も、わたしが指示したんですか?」
「他に誰がいると言うんです? もっとも、私は住所を書いたメモを渡されたので、口頭で指示されたわけじゃありませんが。それに、奥さんは私が何を聞いても、何も答えてくれなかったですし……」
「そうですか……」
車は八王子バイパスに入った。
「あの……ここは有料道路では……」
こんな時でも無駄な出費は避けたいようである。
「もうだいぶ前に無料になりましたよ。橋本に出るなら、これを使った方が断然速いです」
不意にメールの着信音が鳴った。
携帯を見る。
『金返せ』
「ひっ!」
思わず綾子は悲鳴を漏らした。
「かまいませんよ。しかし、猫はいいんですか?」
「わたしの猫じゃありません!」
タクシーは綾子を乗せて走り出した。
「あの……運転手さん。変なことを聞きますが……」
「なんでしょう?」
「行きの車の中では、わたしと猫だけだったのですよね?」
「そうですよ?」
「行き先も、わたしが指示したんですか?」
「他に誰がいると言うんです? もっとも、私は住所を書いたメモを渡されたので、口頭で指示されたわけじゃありませんが。それに、奥さんは私が何を聞いても、何も答えてくれなかったですし……」
「そうですか……」
車は八王子バイパスに入った。
「あの……ここは有料道路では……」
こんな時でも無駄な出費は避けたいようである。
「もうだいぶ前に無料になりましたよ。橋本に出るなら、これを使った方が断然速いです」
不意にメールの着信音が鳴った。
携帯を見る。
『金返せ』
「ひっ!」
思わず綾子は悲鳴を漏らした。
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