40 / 49
38
しおりを挟む
(血の繋がった)おじさんとの遭遇の翌日
「まぁ食えよ」
と哺乳瓶を俺の口に突っ込む
いや、おれはもう離乳食なんだが
しかも、飲めよ、だろ、ミルクなら
力が強く哺乳瓶から逃れられない
やめろ
俺はべシッとリックの腕を叩く
「何だ?」
何だ?、じゃねぇんだよ
俺は息を整えると訴えた
「…俺は離乳食」
「…」
「…」
思ったけどさ、俺たち会話進まないね?
お互い喋るの下手なんだろうから仕方ないけどね?
「…そうか」
リックはのそのそと部屋の奥に歩いていく
街の建物に埋もれるように建っているこの家は、驚くほど存在感がなく隠れ家には最適だった
誰も建物と建物の間にある扉だけみたいな場所の奥に部屋があるなんて思わない
しかも居心地が結構いいんだよな
それなのに外観からじゃせいぜい物置みたいに思うだろう
ちょっと男心をくすぐるよなこういう秘密基地みたいのは
葉っぱを隠すには森って言うけど建物を隠すのも建物なのか
多分
せっかく用意してくれたミルクを飲まなかったのが少し申し訳なくて俺はリックを追いかけた
キッチンに到達すると鬼のような形相でリックが包丁でネギを刻んでいた
なんでネギ
鬼気迫る包丁さばきだが、ネギの完成度は芸術性を感じる
俺は音を立てないように部屋に戻った
だって邪魔しちゃ悪いだろ?
俺まで刻まれてしまいそうで怖かった訳じゃない
「…食え」
しばらくして戻ってきたリックに出されたのはホカホカのリゾットみたいなやつだ
めちゃくちゃいい匂いだ
出汁がきいてそう
俺はパチンと手を合わせた
「…何してる」
そうだった
この世界ではいただきますしないんだ
「…心の準備」
「毒は入れてねぇ」
「うん」
俺たちの話の相性は最悪だった
だけど1口料理を口に運んだ途端会話している場合ではなくなった
何だこれは
腕が止まらないぜ
スプーンですくうのももどかしく、最終的にはお皿に口をつけてかき込む
ほかほかのリゾットは名前は知らないが恐らくきのこからの出汁がよく聞いていて優しい
細かく刻まれたかしわは柔らかく、チーズはいかにも新鮮で程よい口どけだ
上にちょこんと乗ったネギが可愛らしい
リック、いい嫁になるな
見た目ゴリラだけど
「ご馳走様」
「お粗末様」
このやり取りは日本っぽい
「…おじさんは食べないの?」
「リック」
「…リック」
おじさんと呼ばれるの嫌なんだろうと察した俺は呼び直しておいた
「今から食べる」
リックはのそっとキッチンに戻っていった
ここで食べないのだろうか
まぁ顔合わせてても気まずいけどさ
しばらくしてから戻ってきたリックは俺の向かいに座った
「…お前これからどうするつもりだ」
「…どう?」
「俺はビビに言われてお前とビビを国外に連れ出す予定だった
だが、ビビはもういない
俺と国外に出るということでいいか」
「…」
こんなチビの意思を尊重してくれるなんて
妹とは大違いである
ただ、それは困る
「いや、国は出ない」
ここでやることがある
「アシュレイを探して、その後魔王を倒す」
「…アシュレイ?」
「…ビビの息子
俺の兄」
「…魔王?
現国王のことか?
勇気があるのを示したいのはいいが、その呼び方はやめておけ」
「あ、いや、別人です」
「そうか」
「うん」
「アシュレイ…」
リックが考え込むように口の中で呟いた
「何か知らない?」
「知らないことは…ない」
じゃあ教えてくれ
「まぁ食えよ」
と哺乳瓶を俺の口に突っ込む
いや、おれはもう離乳食なんだが
しかも、飲めよ、だろ、ミルクなら
力が強く哺乳瓶から逃れられない
やめろ
俺はべシッとリックの腕を叩く
「何だ?」
何だ?、じゃねぇんだよ
俺は息を整えると訴えた
「…俺は離乳食」
「…」
「…」
思ったけどさ、俺たち会話進まないね?
お互い喋るの下手なんだろうから仕方ないけどね?
「…そうか」
リックはのそのそと部屋の奥に歩いていく
街の建物に埋もれるように建っているこの家は、驚くほど存在感がなく隠れ家には最適だった
誰も建物と建物の間にある扉だけみたいな場所の奥に部屋があるなんて思わない
しかも居心地が結構いいんだよな
それなのに外観からじゃせいぜい物置みたいに思うだろう
ちょっと男心をくすぐるよなこういう秘密基地みたいのは
葉っぱを隠すには森って言うけど建物を隠すのも建物なのか
多分
せっかく用意してくれたミルクを飲まなかったのが少し申し訳なくて俺はリックを追いかけた
キッチンに到達すると鬼のような形相でリックが包丁でネギを刻んでいた
なんでネギ
鬼気迫る包丁さばきだが、ネギの完成度は芸術性を感じる
俺は音を立てないように部屋に戻った
だって邪魔しちゃ悪いだろ?
俺まで刻まれてしまいそうで怖かった訳じゃない
「…食え」
しばらくして戻ってきたリックに出されたのはホカホカのリゾットみたいなやつだ
めちゃくちゃいい匂いだ
出汁がきいてそう
俺はパチンと手を合わせた
「…何してる」
そうだった
この世界ではいただきますしないんだ
「…心の準備」
「毒は入れてねぇ」
「うん」
俺たちの話の相性は最悪だった
だけど1口料理を口に運んだ途端会話している場合ではなくなった
何だこれは
腕が止まらないぜ
スプーンですくうのももどかしく、最終的にはお皿に口をつけてかき込む
ほかほかのリゾットは名前は知らないが恐らくきのこからの出汁がよく聞いていて優しい
細かく刻まれたかしわは柔らかく、チーズはいかにも新鮮で程よい口どけだ
上にちょこんと乗ったネギが可愛らしい
リック、いい嫁になるな
見た目ゴリラだけど
「ご馳走様」
「お粗末様」
このやり取りは日本っぽい
「…おじさんは食べないの?」
「リック」
「…リック」
おじさんと呼ばれるの嫌なんだろうと察した俺は呼び直しておいた
「今から食べる」
リックはのそっとキッチンに戻っていった
ここで食べないのだろうか
まぁ顔合わせてても気まずいけどさ
しばらくしてから戻ってきたリックは俺の向かいに座った
「…お前これからどうするつもりだ」
「…どう?」
「俺はビビに言われてお前とビビを国外に連れ出す予定だった
だが、ビビはもういない
俺と国外に出るということでいいか」
「…」
こんなチビの意思を尊重してくれるなんて
妹とは大違いである
ただ、それは困る
「いや、国は出ない」
ここでやることがある
「アシュレイを探して、その後魔王を倒す」
「…アシュレイ?」
「…ビビの息子
俺の兄」
「…魔王?
現国王のことか?
勇気があるのを示したいのはいいが、その呼び方はやめておけ」
「あ、いや、別人です」
「そうか」
「うん」
「アシュレイ…」
リックが考え込むように口の中で呟いた
「何か知らない?」
「知らないことは…ない」
じゃあ教えてくれ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる