転生している場合じゃねぇ!

E.L.L

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「聞かれなかったからだ」

開口一番、目の前のとんでもない美形は面倒くさそうにそう言った
エルザの過去についての不完全な情報提供について文句を垂れたというのに

「うん、まぁね
そういう事を言う気がしてましたよ」

「おめでとう
予想が当たったな」

「めでたくない」

聞いてないんですけど?
というクレームは最早デフォルトになってきてしまっている俺と女神(仮)

「他に隠してることは?」

「隠したことなんてない
お前が聞かなかったんだ」

はいはい、俺が悪かったです
きっとどうせまだ沢山あるのだろう

「魔王倒させる気はあるんですか?」

「お前の女のところに戻る気はあるのか?」

「お、俺の、おおお女…」

鼻血が出そうである

「ちょっと待ってくださいよ
はぐらかされませんよ」

危ない危ない

「質問を質問で返すのはルール違反です」

「誰が決めたルールなんだ?」

どこまでも憎たらしい

「まぁいいです
情報には同価値のものが必要だし、あまり聞きすぎると支払えない」

ということで折り合いをつけよう
いちいち取り合っていたら血管が全てブチギレてしまうだろうし

「やっと理解したのか
良かった良かった」

頼む、1発殴らせてくれ
2発でもいい

「それで?
リックのところに案内したんだろ」

「ええ」

結局エルザとジルをリックの元へ案内した
でも、その後俺はガキだからという理由で強制的に寝かされた
まぁ生後1年とかそんなもんだ(と予想される)から間違ってはいない
でも気になるから盗み聞きしてやろうと思ったのに急激に眠くなり気づいたらこの章の冒頭である

「メタな発言をやめろ」

「え?」

「で、ぐーすかぴーすか寝てるお前は、結局アシュレイも見付けられず、脅しに屈して今に至るわけだな?」

「なんという悪意の籠った要約」

「間違ってないだろ」

「ぐぅ」

「音(ね)だけは出てよかったな」

「だけど、ジルの守りたい人って誰なんだろう…」

「質問か?」

「いえ、頭の整理です
貯めたストック使ってナツから遠ざけるのやめろください」

ケラケラ笑いやがって
死活問題なんだよ

「そんな人の事まで気にしてるなんて大した余裕だな
ヒーローでもめざしてんのか?」

「魔王倒したら自動的にヒーローですよ」

「うっわ」

うっわってなんだよ
マジでドン引きした顔するなよ
俺だってガラスのハート持ってるお年頃なんだぞ

「だって、あの腹黒イケメン野郎が気にかけているんですよ?
どんな美女かなって思いません?」

「なぜ美女と断定するんだ?」

「いや、何となく」

「だいたい、美醜を気にしないだろあいつは」

「あーそんな感じしますね
そういうところもいけ好かな―」

途中で女神(仮)の方を見る

「何だ?」

「知り合いなんですか?」

「は?」

「ジルと」

「…」

「ビビの時もそうでしたけど、あの世界の人たちと結構知り合いですよね
じゃなきゃあんな言い方しない」

「…お前を通して見てる」

「俺が知らないことも言ってるのに、それ通用すると思ってるんですか?
あなた誰です?
あの世界でどの立ち位置にいるんですか?」

「立ち位置…」

「あなたは神だと思ってた
けど知識が不完全だし、知りすぎている」

世界の構造を知っていて、俺と出会った人達のことも知っている
なのに、ビビの本名は知らない

女神(仮)のことを俺は何も知らない
今正に顔にうかべている苦悩も
ほとんど表情は変わらないけど、今までの関わりで多少は分かる

「…答えなくていいです
これの対価、多分払えませんから」

「…」

「…なんかできることあります?」

「は?」

「困ってそうだから」

「…お人好しだな」

「いや、まぁ…ゴマでもすっておこうかなと」

中々内面に入らせないやつだが、多少の恩はある
ちょっと…いや、だいぶ貶されたり、ドSなことばかり言うけど

「お前は魔王を―」

「倒せ、ね
分かってますよ」

「…頼む」

「え?」

その瞳が揺らぐところを見たような気がした
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