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番外編
騎士様の好きな食べ物が気になります! 3
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(……はあ、どうしたものか)
オリヴィエは頭を悩ませながら、フードカバーを取る。その下にあったのは、好物である肉団子だ。
「肉? ……そうか……」
肉が食べられるようになったとうれしそうに報告していたヴィヴィアンヌを思い出し、オリヴィエの罪悪感はますます大きくなった。
(……ちゃんと、話さないといけないな)
オリヴィエは冷たくなった一人分の食事を、一人で静かに食べ始める。
ヴィヴィアンヌも同じようにここで一人きりの食事をしていたのだろう。その様子を想像しながら、オリヴィエはさらに重いため息をついた。
「……オリヴィエさま?」
「マリー」
オリヴィエがちょうど食事を終えた頃、マリーが食堂にやってきた。空になった皿を確認すると、それを下げようと動き出す。
「いいよ、マリー。これくらい」
「いえ、私の仕事ですから」
仕事と言われ、オリヴィエもそれ以上止めはしなかった。雇用主として仕事を奪うことは望ましくないだろう。
オリヴィエは食器を片づけるマリーを見送ると、部屋には戻らず、そのまま暗い食堂で一人考え込んだ。
「あら、戻られていなかったのですね」
しばらくして、片づけを終えたマリーは食堂に戻ってくる。オリヴィエはその声に困ったように眉尻を下げ、マリーに問いかけた。
「……マリー、ヴィヴィの様子はどうだった?」
「それは……」
マリーは少し躊躇したようだが、偽りなくヴィヴィアンヌの様子を話した。食事はすべて平らげたものの、わんわん泣いてかなしんだこと。オリヴィエはそれを聞いて肩を落とした。
「そうだよな……嫌いって言われたし……」
「ヴィヴィアンヌさまも、いまはかなしくて仕方がないでしょう。……わかってくださりますよ。やさしい方ですから」
「……どうだろう。ここは、ヴィヴィが知らないことが多いから……」
オリヴィエはヴィヴィアンヌがやさしいことはだれよりも知っているつもりだ。
死にかけたオリヴィエを、ヴィヴィアンヌにとって唯一で絶対だった祖母からの言いつけを破ることになるかもしれないリスクを負ってまで助けてくれたのだから。
「ヴィヴィは一人で生きてきたんだ。だから、僕のこと……許せないんじゃないかな」
オリヴィエはヴィヴィアンヌのやさしさを知っているが、彼女の無知さも知っている。他者と関わり、社会で知っていくことを、ヴィヴィアンヌはほとんど知らない。
「オリヴィエさま……」
「話をしないといけない……のに…」
オリヴィエは明日も王妃からの命があり、早くに出て遅くに帰ってくることになるだろう。話をするまでに間が空けば空くほど、ヴィヴィアンヌの心が離れてしまわないかと不安で仕方がなかった。
「オリヴィエさま、よろしければ私からヴィヴィアンヌさまにお話しいたします」
「それは……いや、頼むよ」
オリヴィエは躊躇したが、自分よりマリーから話をしたほうがヴィヴィアンヌは耳を傾けてくれるのではと思い直す。さきほどのヴィヴィアンヌの様子と言葉を思い出すと、オリヴィエはまともに話ができる自信がなかった。
(僕からだと言い訳のようだし……まあ、実際に言い訳だけど……)
理由はどうあれ、オリヴィエはヴィヴィアンヌとの約束を果たせなかった。ヴィヴィアンヌの理解とは別に、そのこと自体は変わらない。
「……このままずっと、嫌われたままだったらどうしよう」
マリーがいることを忘れ、オリヴィエは情けない声でうなだれる。それほど、ヴィヴィアンヌの嫌いという言葉にこたえた。
「オリヴィエさま、大丈夫ですよ。ヴィヴィアンヌさまなら、理解してくださいます」
マリーに慰められ、彼女の存在を思い出したと同時に恥ずかしくなったオリヴィエは片手で顔を覆った。そんなオリヴィエに、マリーはくすりと笑う。
マリーはオリヴィエが子どもの頃、ジャンヌと共にエマニュエルの元で世話になっていた頃からのつき合いだ。もう十数年のつき合いで、おたがいの考えは大体わかるのだろう。
「……マリー。負担をかけるけど、頼んだ」
「承知しました。オリヴィエさま、もうおやすみになられてください」
「……そうだな」
話しているうちに、ずいぶんと時間が経っていた。そろそろ休んでおかなければ、明日に支障が出るだろう。
オリヴィエはヴィヴィアンヌのもとに戻る勇気はなく、別の部屋で睡眠を取ろうと、気落ちしながら廊下を歩いた。
◆
翌朝、オリヴィエが朝食のために食堂に向かうと、そこにヴィヴィアンヌの姿はなかった。ヴィヴィアンヌは早く寝てしまう分、起きるのもオリヴィエより早い。
(ヴィヴィ、怒っているのか……?)
そんなヴィヴィアンヌがいつもの時間に食堂にいないのは、怒って自分に会いたくないからかとオリヴィエは落ち込む。
しばらく待ってみてもヴィヴィアンヌがやってくる様子はなく、結局オリヴィエは一人さみしく朝食を取った。
食事を終え、支度も終えたオリヴィエは勤めに出ようと玄関ホールに向かう。そこでもしばらく待ってみたものの、ヴィヴィアンヌが見送りにくる様子はなかった。
「ヴィヴィ……」
相当こたえたオリヴィエだが、それでも王妃の騎士としての務めがある。重いため息を一つ吐きながらマリーに見送られ、重い足取りで屋敷を出ていった。
◆
「んん……あれ? もうこんな時間?」
ヴィヴィアンヌは寝室で眠い目をこすりながら目を覚ました。昨夜はなかなか寝つけなかったため、ずいぶん寝坊してしまった。
ヴィヴィアンヌは用意された水で顔を洗い、支度を終えて食堂に向かう。きょろきょろと中を見回し、オリヴィエの姿がないことに気づいて首をかしげた。
ヴィヴィアンヌは食事を運んできたマリーを見つけると、駆け寄って問いかける。
「ねえ、マリー。騎士さまは?」
「さきほど、出られました」
「あっ……そっか」
ヴィヴィアンヌはそんな時間になっていることに気づき、肩を落とす。
「ヴィヴィアンヌさま、食事にしましょう」
「……うん」
ヴィヴィアンヌは席につき、朝食の果物を食べ始める。一口サイズの大きさに切られた林檎を食べながら、憂鬱げに言葉をもらした。
「……騎士さま、私のこと嫌いになったのかな」
「えっ!? そのようなこと、けっしてありえません!」
「でも、一緒にいてくれないもん……」
いままで一緒にいる時間が長かったからこそ、最近の落差にヴィヴィアンヌは不安になっていた。嫌われてしまったらどうしたらいいのか、森の中では考えずにいられた先のことを考えてさらに不安になる。
「オリヴィエさまも、本当はヴィヴィアンヌさまとずっと一緒にいたいはずです」
「でも、いないよ……」
いま、この時もオリヴィエはそばにいない。ヴィヴィアンヌが寝坊してしまったからというのもあるが、そうでなくても仕事のため、食事を終えればすぐに出て行ってしまう。
「それは……オリヴィエさまはしっかりと働いて、お金を稼ぐ必要があるからです」
「お金って、そんなに大事なの?」
「はい。人の社会で生きていくためには……お金はとても大切なのです」
マリーは一つずつ、ゆっくりと説明していく。オリヴィエとヴィヴィアンヌが食べているもの、着ている服、住んでいる屋敷、そのすべてにお金が必要であること。さらには、雇用主としてマリーが働いた対価に支払う金も、オリヴィエが働いた金から出ていること。
野菜や家畜を育てる者、服を縫う者、家を建てる者。皆、はたらいて金を得て、受け取ったその金で同じように食料や服、家を得る。
そうやって金と物はめぐっていて、皆、金を稼ぐために働く必要があるのだ。
ヴィヴィアンヌは話を聞いたものの、いままで知らなかった大量の情報に頭を抱えた。
「うう、難しいよ……えっと、騎士さまは、私のためにも働いているってことだよね……マリーのためにも……?」
「私のことは……いえ、はい、そのとおりです。働くことにも人間関係が絡んで、どうしても思う通りにいかないこともあります」
オリヴィエは頭を悩ませながら、フードカバーを取る。その下にあったのは、好物である肉団子だ。
「肉? ……そうか……」
肉が食べられるようになったとうれしそうに報告していたヴィヴィアンヌを思い出し、オリヴィエの罪悪感はますます大きくなった。
(……ちゃんと、話さないといけないな)
オリヴィエは冷たくなった一人分の食事を、一人で静かに食べ始める。
ヴィヴィアンヌも同じようにここで一人きりの食事をしていたのだろう。その様子を想像しながら、オリヴィエはさらに重いため息をついた。
「……オリヴィエさま?」
「マリー」
オリヴィエがちょうど食事を終えた頃、マリーが食堂にやってきた。空になった皿を確認すると、それを下げようと動き出す。
「いいよ、マリー。これくらい」
「いえ、私の仕事ですから」
仕事と言われ、オリヴィエもそれ以上止めはしなかった。雇用主として仕事を奪うことは望ましくないだろう。
オリヴィエは食器を片づけるマリーを見送ると、部屋には戻らず、そのまま暗い食堂で一人考え込んだ。
「あら、戻られていなかったのですね」
しばらくして、片づけを終えたマリーは食堂に戻ってくる。オリヴィエはその声に困ったように眉尻を下げ、マリーに問いかけた。
「……マリー、ヴィヴィの様子はどうだった?」
「それは……」
マリーは少し躊躇したようだが、偽りなくヴィヴィアンヌの様子を話した。食事はすべて平らげたものの、わんわん泣いてかなしんだこと。オリヴィエはそれを聞いて肩を落とした。
「そうだよな……嫌いって言われたし……」
「ヴィヴィアンヌさまも、いまはかなしくて仕方がないでしょう。……わかってくださりますよ。やさしい方ですから」
「……どうだろう。ここは、ヴィヴィが知らないことが多いから……」
オリヴィエはヴィヴィアンヌがやさしいことはだれよりも知っているつもりだ。
死にかけたオリヴィエを、ヴィヴィアンヌにとって唯一で絶対だった祖母からの言いつけを破ることになるかもしれないリスクを負ってまで助けてくれたのだから。
「ヴィヴィは一人で生きてきたんだ。だから、僕のこと……許せないんじゃないかな」
オリヴィエはヴィヴィアンヌのやさしさを知っているが、彼女の無知さも知っている。他者と関わり、社会で知っていくことを、ヴィヴィアンヌはほとんど知らない。
「オリヴィエさま……」
「話をしないといけない……のに…」
オリヴィエは明日も王妃からの命があり、早くに出て遅くに帰ってくることになるだろう。話をするまでに間が空けば空くほど、ヴィヴィアンヌの心が離れてしまわないかと不安で仕方がなかった。
「オリヴィエさま、よろしければ私からヴィヴィアンヌさまにお話しいたします」
「それは……いや、頼むよ」
オリヴィエは躊躇したが、自分よりマリーから話をしたほうがヴィヴィアンヌは耳を傾けてくれるのではと思い直す。さきほどのヴィヴィアンヌの様子と言葉を思い出すと、オリヴィエはまともに話ができる自信がなかった。
(僕からだと言い訳のようだし……まあ、実際に言い訳だけど……)
理由はどうあれ、オリヴィエはヴィヴィアンヌとの約束を果たせなかった。ヴィヴィアンヌの理解とは別に、そのこと自体は変わらない。
「……このままずっと、嫌われたままだったらどうしよう」
マリーがいることを忘れ、オリヴィエは情けない声でうなだれる。それほど、ヴィヴィアンヌの嫌いという言葉にこたえた。
「オリヴィエさま、大丈夫ですよ。ヴィヴィアンヌさまなら、理解してくださいます」
マリーに慰められ、彼女の存在を思い出したと同時に恥ずかしくなったオリヴィエは片手で顔を覆った。そんなオリヴィエに、マリーはくすりと笑う。
マリーはオリヴィエが子どもの頃、ジャンヌと共にエマニュエルの元で世話になっていた頃からのつき合いだ。もう十数年のつき合いで、おたがいの考えは大体わかるのだろう。
「……マリー。負担をかけるけど、頼んだ」
「承知しました。オリヴィエさま、もうおやすみになられてください」
「……そうだな」
話しているうちに、ずいぶんと時間が経っていた。そろそろ休んでおかなければ、明日に支障が出るだろう。
オリヴィエはヴィヴィアンヌのもとに戻る勇気はなく、別の部屋で睡眠を取ろうと、気落ちしながら廊下を歩いた。
◆
翌朝、オリヴィエが朝食のために食堂に向かうと、そこにヴィヴィアンヌの姿はなかった。ヴィヴィアンヌは早く寝てしまう分、起きるのもオリヴィエより早い。
(ヴィヴィ、怒っているのか……?)
そんなヴィヴィアンヌがいつもの時間に食堂にいないのは、怒って自分に会いたくないからかとオリヴィエは落ち込む。
しばらく待ってみてもヴィヴィアンヌがやってくる様子はなく、結局オリヴィエは一人さみしく朝食を取った。
食事を終え、支度も終えたオリヴィエは勤めに出ようと玄関ホールに向かう。そこでもしばらく待ってみたものの、ヴィヴィアンヌが見送りにくる様子はなかった。
「ヴィヴィ……」
相当こたえたオリヴィエだが、それでも王妃の騎士としての務めがある。重いため息を一つ吐きながらマリーに見送られ、重い足取りで屋敷を出ていった。
◆
「んん……あれ? もうこんな時間?」
ヴィヴィアンヌは寝室で眠い目をこすりながら目を覚ました。昨夜はなかなか寝つけなかったため、ずいぶん寝坊してしまった。
ヴィヴィアンヌは用意された水で顔を洗い、支度を終えて食堂に向かう。きょろきょろと中を見回し、オリヴィエの姿がないことに気づいて首をかしげた。
ヴィヴィアンヌは食事を運んできたマリーを見つけると、駆け寄って問いかける。
「ねえ、マリー。騎士さまは?」
「さきほど、出られました」
「あっ……そっか」
ヴィヴィアンヌはそんな時間になっていることに気づき、肩を落とす。
「ヴィヴィアンヌさま、食事にしましょう」
「……うん」
ヴィヴィアンヌは席につき、朝食の果物を食べ始める。一口サイズの大きさに切られた林檎を食べながら、憂鬱げに言葉をもらした。
「……騎士さま、私のこと嫌いになったのかな」
「えっ!? そのようなこと、けっしてありえません!」
「でも、一緒にいてくれないもん……」
いままで一緒にいる時間が長かったからこそ、最近の落差にヴィヴィアンヌは不安になっていた。嫌われてしまったらどうしたらいいのか、森の中では考えずにいられた先のことを考えてさらに不安になる。
「オリヴィエさまも、本当はヴィヴィアンヌさまとずっと一緒にいたいはずです」
「でも、いないよ……」
いま、この時もオリヴィエはそばにいない。ヴィヴィアンヌが寝坊してしまったからというのもあるが、そうでなくても仕事のため、食事を終えればすぐに出て行ってしまう。
「それは……オリヴィエさまはしっかりと働いて、お金を稼ぐ必要があるからです」
「お金って、そんなに大事なの?」
「はい。人の社会で生きていくためには……お金はとても大切なのです」
マリーは一つずつ、ゆっくりと説明していく。オリヴィエとヴィヴィアンヌが食べているもの、着ている服、住んでいる屋敷、そのすべてにお金が必要であること。さらには、雇用主としてマリーが働いた対価に支払う金も、オリヴィエが働いた金から出ていること。
野菜や家畜を育てる者、服を縫う者、家を建てる者。皆、はたらいて金を得て、受け取ったその金で同じように食料や服、家を得る。
そうやって金と物はめぐっていて、皆、金を稼ぐために働く必要があるのだ。
ヴィヴィアンヌは話を聞いたものの、いままで知らなかった大量の情報に頭を抱えた。
「うう、難しいよ……えっと、騎士さまは、私のためにも働いているってことだよね……マリーのためにも……?」
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