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・7-1.夜会①
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フレッドとドレスを買いに行ってから2週間が過ぎ、今日はクロエが久しぶりに参加する夜会だ。
この夜会は王太子の誕生日パーティーのため、いつもの夜会と比べても豪華だった。
純白の壁一面に施された金の装飾が、シャンデリアの光を反射して室内を更に明るく、豪奢に見せていた。
優美な音楽が奏でられ、ダンスフロアでは男女がダンスを楽しんでいる。
柔らかなピンクや黄色など、様々な色のドレスが踊りに合わせてふわりと舞っていた。
他にも、着飾った紳士淑女たちがシャンパングラス片手に談笑しており、銘々が夜会を楽しんでいた。
だが、クロエがフレッドにエスコートされてこの華やかな会場に足を踏み入れた瞬間、人々の視線が一気に集まるのをクロエは感じた。
これは決して自意識過剰なわけではない。
その証拠に、クロエたちを見た人々のひそひそと囁き合う声がさざ波のように聞こえてくる。
一つはフレッドを称える声だ。
「フレッド様よ!」
「はぁ、いつ見てもカッコいいわぁ」
「一度お話してみたい! 声を掛けられたい! 思い切って声を掛けてみようかしら」
女性は蕩けるような表情をしてフレッドに熱い視線を向けている。
顔が赤くなっている女性もちらほら見えた。
今日のフレッドは普段は下ろしている前髪を上げているため、いつもよりも更に凛々しく見える。黒のタキシードは長身のフレッドの体つきをより精悍に見せ、いつも以上に素敵だ。
そしてもう一種類の声はクロエを揶揄する声だ。
「まぁ、またあのモグラと一緒だわ」
「可哀想に。フレッド様はまた無理にエスコートさせられてるのね」
「モグラの分際で、フレッド様と一緒に夜会に来るなんて」
「そうよね。モグラは研究室に籠っていればいいのだわ」
クロエはそんな悪意を含む言葉を聞こえないふりをしていると、クロエの耳元でフレッドが囁いた。
「気にしなくていい。お前は誰よりも綺麗だ。俺の妖精だよ」
慣れたが、やはり陰口を言われることに、傷つかないわけではない。
だけど、ここで暗い顔をしてはフレッドに心配をかけるだけだ。クロエはそう思って気にしない素振りをして微笑んだ。
「ふふふ。妖精は言い過ぎです。それにもう慣れましたから、お兄様も気になさらないで」
「……もう少し待っていてくれ。きっとお前を守るから」
フレッドはそう言ったが、その言葉の意味が分からずクロエが首を傾げていると、背後から声を掛けられた。
「よう、フレッド。ようやく来たな」
「ジョエルか。久しぶりだな」
にこやかにこちらへやってきたのは黒髪の青年だった。
身長は高く、すらりとした手足に、服の上からも引き締まった体つきであることが分かる。
切れ長の目には黒曜石のような瞳があり、唇の端には微笑みが浮かんでいた。
華やかなフレッドの魅力とはまた別の、凛々しく男性らしい魅力の持ち主だった。
そのジョエルがクロエに目を止めて笑顔を向けた。
「お? もしやこちらのレディがクロエ・ランディット嬢かな? 初めまして。俺はジョエル・ロートシル。会えて嬉しいよ」
「初めまして、クロエ・ランディットです。こちらこそお会いできて嬉しいですわ」
ジョエルは魅惑的な微笑みを浮かべたかと思うと、クロエの手を取って甲を自分の口元に運んだ。
だが、その唇が触れる直前、すっとフレッドの手がそれを阻止した。
「なんだよ。いいだろ、挨拶なんだから」
「駄目だ。というか見るな。減る」
「はぁ? お前どんだけ狭量なんだよ」
「さっさと行け」
「んなこと言うなよ」
このようにずけずけと話すフレッドは珍しい。クロエは驚きながら二人の掛け合いを聞いていると、その視線に気づいたフレッドが説明した。
「王立学園の同期なんだ」
「そうなのですね。お兄様とご学友の方がお話しているのが、なんだか新鮮です」
クロエが小さく微笑むと、ジョエルがフレッドの肩を組んで、ニカリと笑った。
その様子から、フレッドとジョエルが親しい友人であることが察せられる。
「こいつさー、クロエちゃんに会わせて欲しいって言ってんのに絶対会わせてくれなかったからさ。今日クロエちゃんの顔が見れて嬉しいよ。フレッドが言ってた通り可愛いね」
「え?」
可愛いと言っていた気がするが聞き間違いだろうか。
モグラと呼ばれる自分は決して可愛い部類ではないのは自覚している。
髪は地味なキャラメル色だし、濃い緑色の目ばかりが強調され、加えて不健康な青白い肌。
可愛いとは程遠い容姿なのだ。
だから、ジョエルが言ったのはリップサービスなのだとすぐに分かった。
だがジョエルは、ニヤリと笑いながら言葉を続けた。
「こいつはいっつもクロエちゃんの話ばっかでさ。忙しいはずなのに、クロエちゃんとの茶会の日は、鬼のような形相で仕事を終わらせて帰るんだぜ。いやー、あれは愛の力だね」
「ジョエル、いい加減にしてくれ」
フレッドが強い語調でジョエルの言葉を遮った。
少し顔が赤いのは気のせいだろうか。
「フレッド!」
そんな会話をしている時、突然フレッドの名を呼ぶ女性の声がして、クロエたちはそちらを振り返った。
女性の姿を認めたジョエルは、先ほどの笑顔から一転して、苦虫を噛み潰したような表情となった。
心なしか、フレッドも顔を顰めた気もする。
「おっと、ロザリー・ナグノイアか。俺アイツ苦手だし、もう行くわ。じゃあね、クロエちゃん」
そう言ってジョエルと入れ替わりにやってきたのは一人の女性だった。
華やかな銀色の巻き毛の女性は、金色の瞳を煌めかせてフレッドを見ている。
大きな目はくっきりとしていて、意思が強そうだが、凛とした佇まいは月の女神のようにも思えた。
その美しい容姿に驚いたが、クロエが驚いたのはその容姿だけではなかった。
ロザリーが身に着けているドレスと装飾品はクロエのドレスの配色——つまりフレッドの髪と瞳の色と同じものだったのだ。
明るい空を彷彿とさせるスカイブルーのドレスに、ブルーダイアモンドがあしらわれたイヤリングがその耳元を飾っている。
胸元のネックレスは、金でできた糸を束ねたもので、繊細で上品な印象を与えるものだった。
そんなロザリーの姿を見て、クロエは動揺してしまった。
「フレッド、来ていたのなら声を掛けてちょうだい。貴方をずっと待っていたのよ」
「……ロザリー、すまない。ジョエルと話をしていた」
ロザリーと呼ばれた女性は、フレッドに蕩けるような笑みを見せたあと、不意にフレッドの傍に立つクロエに目を留めた。
そして、眉間に皺を寄せ、怪訝な表情を浮かべた。
クロエに対して、明らかに不愉快だという感情が現れているように思えた。
「この人は、どなた?」
「あぁ、紹介がまだったか。彼女がクロエだよ。クロエ、ロザリー・ナグノイア侯爵令嬢だ」
「嫌だわ、フレッド。そんな畏まった呼び方をしないで、いつもみたいにロザリーって呼んでちょうだい」
そう言ってロザリーは甘えるように、フレッドに腕を絡めた。
ロザリーが当たり前のようにフレッドに腕を絡ませ寄り添うことに、フレッドは特に何も言わない。
つまり、二人にとってこの行為は、日常的に行っていることを示唆していた。
フレッドにそのような女性がいることを知らなかったクロエは、内心の動揺を抑えつつ、笑顔を作ってロザリーに挨拶をした。
「初めまして、ロザリー様。クロエ・ランディットと申します」
そう言ってクロエは控えめにお辞儀をし、微笑んで答えたのだが、ロザリーはクロエに対して憮然とした表情を向けた。
そしてクロエのことを上から下まで舐めるように見た後、赤く妖艶な唇に微笑みを浮かべて言った。
「ふーん、あなたがフレッドが『妹のように思っている』と言っていた幼馴染、ねぇ」
言葉だけ聞くと、至って普通の会話だとは思うが、ロザリーの言葉に棘があるように感じたのは、クロエの気のせいだろうか。
ロザリーは、まるで品定めをするようにクロエを数秒ほど見つめたが、途端に興味を失ったようにフレッドに向き直った。
「じゃあ、もうジョエルはいないのだし、もちろんダンスを踊ってくれるわよね」
無言でいるフレッドに対し、ロザリーは手を差し出す。
ファーストダンスは近しい人間、例えば恋人や婚約者と踊ることが多い。
つまりロザリーはフレッドにとって特別な存在だということになる。
フレッドがチラリとこちらを見てきたが、クロエに止める権利はない。
「私の事は気にしないで」
クロエの言葉にフレッドは戸惑いの表情を浮かべたが、ロザリーの美しい白磁のような手をゆっくり取ると、ダンスの輪へと入って行った。
この夜会は王太子の誕生日パーティーのため、いつもの夜会と比べても豪華だった。
純白の壁一面に施された金の装飾が、シャンデリアの光を反射して室内を更に明るく、豪奢に見せていた。
優美な音楽が奏でられ、ダンスフロアでは男女がダンスを楽しんでいる。
柔らかなピンクや黄色など、様々な色のドレスが踊りに合わせてふわりと舞っていた。
他にも、着飾った紳士淑女たちがシャンパングラス片手に談笑しており、銘々が夜会を楽しんでいた。
だが、クロエがフレッドにエスコートされてこの華やかな会場に足を踏み入れた瞬間、人々の視線が一気に集まるのをクロエは感じた。
これは決して自意識過剰なわけではない。
その証拠に、クロエたちを見た人々のひそひそと囁き合う声がさざ波のように聞こえてくる。
一つはフレッドを称える声だ。
「フレッド様よ!」
「はぁ、いつ見てもカッコいいわぁ」
「一度お話してみたい! 声を掛けられたい! 思い切って声を掛けてみようかしら」
女性は蕩けるような表情をしてフレッドに熱い視線を向けている。
顔が赤くなっている女性もちらほら見えた。
今日のフレッドは普段は下ろしている前髪を上げているため、いつもよりも更に凛々しく見える。黒のタキシードは長身のフレッドの体つきをより精悍に見せ、いつも以上に素敵だ。
そしてもう一種類の声はクロエを揶揄する声だ。
「まぁ、またあのモグラと一緒だわ」
「可哀想に。フレッド様はまた無理にエスコートさせられてるのね」
「モグラの分際で、フレッド様と一緒に夜会に来るなんて」
「そうよね。モグラは研究室に籠っていればいいのだわ」
クロエはそんな悪意を含む言葉を聞こえないふりをしていると、クロエの耳元でフレッドが囁いた。
「気にしなくていい。お前は誰よりも綺麗だ。俺の妖精だよ」
慣れたが、やはり陰口を言われることに、傷つかないわけではない。
だけど、ここで暗い顔をしてはフレッドに心配をかけるだけだ。クロエはそう思って気にしない素振りをして微笑んだ。
「ふふふ。妖精は言い過ぎです。それにもう慣れましたから、お兄様も気になさらないで」
「……もう少し待っていてくれ。きっとお前を守るから」
フレッドはそう言ったが、その言葉の意味が分からずクロエが首を傾げていると、背後から声を掛けられた。
「よう、フレッド。ようやく来たな」
「ジョエルか。久しぶりだな」
にこやかにこちらへやってきたのは黒髪の青年だった。
身長は高く、すらりとした手足に、服の上からも引き締まった体つきであることが分かる。
切れ長の目には黒曜石のような瞳があり、唇の端には微笑みが浮かんでいた。
華やかなフレッドの魅力とはまた別の、凛々しく男性らしい魅力の持ち主だった。
そのジョエルがクロエに目を止めて笑顔を向けた。
「お? もしやこちらのレディがクロエ・ランディット嬢かな? 初めまして。俺はジョエル・ロートシル。会えて嬉しいよ」
「初めまして、クロエ・ランディットです。こちらこそお会いできて嬉しいですわ」
ジョエルは魅惑的な微笑みを浮かべたかと思うと、クロエの手を取って甲を自分の口元に運んだ。
だが、その唇が触れる直前、すっとフレッドの手がそれを阻止した。
「なんだよ。いいだろ、挨拶なんだから」
「駄目だ。というか見るな。減る」
「はぁ? お前どんだけ狭量なんだよ」
「さっさと行け」
「んなこと言うなよ」
このようにずけずけと話すフレッドは珍しい。クロエは驚きながら二人の掛け合いを聞いていると、その視線に気づいたフレッドが説明した。
「王立学園の同期なんだ」
「そうなのですね。お兄様とご学友の方がお話しているのが、なんだか新鮮です」
クロエが小さく微笑むと、ジョエルがフレッドの肩を組んで、ニカリと笑った。
その様子から、フレッドとジョエルが親しい友人であることが察せられる。
「こいつさー、クロエちゃんに会わせて欲しいって言ってんのに絶対会わせてくれなかったからさ。今日クロエちゃんの顔が見れて嬉しいよ。フレッドが言ってた通り可愛いね」
「え?」
可愛いと言っていた気がするが聞き間違いだろうか。
モグラと呼ばれる自分は決して可愛い部類ではないのは自覚している。
髪は地味なキャラメル色だし、濃い緑色の目ばかりが強調され、加えて不健康な青白い肌。
可愛いとは程遠い容姿なのだ。
だから、ジョエルが言ったのはリップサービスなのだとすぐに分かった。
だがジョエルは、ニヤリと笑いながら言葉を続けた。
「こいつはいっつもクロエちゃんの話ばっかでさ。忙しいはずなのに、クロエちゃんとの茶会の日は、鬼のような形相で仕事を終わらせて帰るんだぜ。いやー、あれは愛の力だね」
「ジョエル、いい加減にしてくれ」
フレッドが強い語調でジョエルの言葉を遮った。
少し顔が赤いのは気のせいだろうか。
「フレッド!」
そんな会話をしている時、突然フレッドの名を呼ぶ女性の声がして、クロエたちはそちらを振り返った。
女性の姿を認めたジョエルは、先ほどの笑顔から一転して、苦虫を噛み潰したような表情となった。
心なしか、フレッドも顔を顰めた気もする。
「おっと、ロザリー・ナグノイアか。俺アイツ苦手だし、もう行くわ。じゃあね、クロエちゃん」
そう言ってジョエルと入れ替わりにやってきたのは一人の女性だった。
華やかな銀色の巻き毛の女性は、金色の瞳を煌めかせてフレッドを見ている。
大きな目はくっきりとしていて、意思が強そうだが、凛とした佇まいは月の女神のようにも思えた。
その美しい容姿に驚いたが、クロエが驚いたのはその容姿だけではなかった。
ロザリーが身に着けているドレスと装飾品はクロエのドレスの配色——つまりフレッドの髪と瞳の色と同じものだったのだ。
明るい空を彷彿とさせるスカイブルーのドレスに、ブルーダイアモンドがあしらわれたイヤリングがその耳元を飾っている。
胸元のネックレスは、金でできた糸を束ねたもので、繊細で上品な印象を与えるものだった。
そんなロザリーの姿を見て、クロエは動揺してしまった。
「フレッド、来ていたのなら声を掛けてちょうだい。貴方をずっと待っていたのよ」
「……ロザリー、すまない。ジョエルと話をしていた」
ロザリーと呼ばれた女性は、フレッドに蕩けるような笑みを見せたあと、不意にフレッドの傍に立つクロエに目を留めた。
そして、眉間に皺を寄せ、怪訝な表情を浮かべた。
クロエに対して、明らかに不愉快だという感情が現れているように思えた。
「この人は、どなた?」
「あぁ、紹介がまだったか。彼女がクロエだよ。クロエ、ロザリー・ナグノイア侯爵令嬢だ」
「嫌だわ、フレッド。そんな畏まった呼び方をしないで、いつもみたいにロザリーって呼んでちょうだい」
そう言ってロザリーは甘えるように、フレッドに腕を絡めた。
ロザリーが当たり前のようにフレッドに腕を絡ませ寄り添うことに、フレッドは特に何も言わない。
つまり、二人にとってこの行為は、日常的に行っていることを示唆していた。
フレッドにそのような女性がいることを知らなかったクロエは、内心の動揺を抑えつつ、笑顔を作ってロザリーに挨拶をした。
「初めまして、ロザリー様。クロエ・ランディットと申します」
そう言ってクロエは控えめにお辞儀をし、微笑んで答えたのだが、ロザリーはクロエに対して憮然とした表情を向けた。
そしてクロエのことを上から下まで舐めるように見た後、赤く妖艶な唇に微笑みを浮かべて言った。
「ふーん、あなたがフレッドが『妹のように思っている』と言っていた幼馴染、ねぇ」
言葉だけ聞くと、至って普通の会話だとは思うが、ロザリーの言葉に棘があるように感じたのは、クロエの気のせいだろうか。
ロザリーは、まるで品定めをするようにクロエを数秒ほど見つめたが、途端に興味を失ったようにフレッドに向き直った。
「じゃあ、もうジョエルはいないのだし、もちろんダンスを踊ってくれるわよね」
無言でいるフレッドに対し、ロザリーは手を差し出す。
ファーストダンスは近しい人間、例えば恋人や婚約者と踊ることが多い。
つまりロザリーはフレッドにとって特別な存在だということになる。
フレッドがチラリとこちらを見てきたが、クロエに止める権利はない。
「私の事は気にしないで」
クロエの言葉にフレッドは戸惑いの表情を浮かべたが、ロザリーの美しい白磁のような手をゆっくり取ると、ダンスの輪へと入って行った。
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