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34 アルカインの苛立ち
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この日アルカインは、非常に苛立っていた。
久しぶり帰ってみれば、弟に笑顔で迎え入れられ、オルブライト公爵令嬢は生きていた。
どういう事だ? 私は騙されたのか?
「おい、死神。話がある」
アルカインの呼び出しで、死神はすぐに現れた。
「はい。次の依頼でしょうか?」
「違う! オルブライト公爵令嬢が生きていた。どういう事だ?」
「悪魔のいたずらですね」
「ふざけているのか」
アルカインは大きな声を上げた。
「いいえ。私との契約完了後に悪魔がいたずらをしたのです」
「オルブライト公爵令嬢は生き返ったと言う事か?」
「いいえ。この世界に身体だけ残ったのです」
「どういう事だ。分かるように説明をしろ」
「ですから、オルブライト公爵令嬢は一度亡くなったのですが、悪魔のいたずらにより別の世界で生きています。空っぽになったオルブライト公爵令嬢の体には、別の世界で亡くなった人間が現在入っております。オルブライト公爵令嬢は一度亡くなっているので、契約は完了しました」
死神は契約完了を強く言った。
「なるほど……では、今日私が会った令嬢は別の人間と言う事だな」
「そうなりますね」
「では、この事実を弟に伝えれば……」
「いえ、もうすでに知っております」
「何? オルブライト公爵令嬢が亡くなった事を知ってなお、いつも通りに過ごせているのか」
「そういう事になりますね」
「くそ。弟の弱点はオルブライト公爵令嬢だと思ったのだが……私の検討違いだったか……」
「さて、それはどうでしょうね」
引き続き契約をしたい死神は、提案を始めた。
「弟君は婚約破棄をした直後、大変落ち込まれていたようでしたが……」
「ふむ。しかし、今は意欲的だ。日常生活もままならない程に落ち込んで、そのまま落ちる所まで落ちて欲しいのだが」
「そうですねー。オルブライト公爵令嬢の中に入っている人間を中々好いているように見えますね。それが心の支えになっているのかと」
「それは、好意を持っていると言う事か?」
「好意、そうですね。恋と言うよりも守るべき対象でしょうか」
「なるほど。とにかく、オルブライト公爵令嬢はフレデリクにとってまだ、特別な存在と言う事だな?」
死神は少し考えた。
「…………まあ、そう言う事になりますね。殺しますか? お手伝いしますよ」
「いや、まだ良い。もう少し様子を見よう。無駄に寿命を縮ませたくはない」
「……そうですか。残念ですね。では、また依頼をお待ちしております」
そう言うと、死神はすっと消えた。
「くそッッ! 残りの寿命を半分も使ったと言うのに」
アルカインの苛立ちは、死神と話しても収まらなかった。
アルカインが生まれる少し前、王妃が中々懐妊せず、現在の王は側室のビアンカを迎え入れた。
そうして生まれた子どもがアルカイン。
アルカインの誕生は多くの人々に祝福された。しかし、それは長くは続かなかった。
一年後にフレデリクが生まれたからである。
王宮の中ではどっちを未来の王にするかで揉めたが、幼きアルカインとフレデリクは仲良く育った。
現在の王は、より優秀な方を未来の王太子にと言ったが、二人共十分な実力を持っていた。
当時の王が引退をした事により、現在の王が王となった。
そして、王太子をどちらにするのか話し合いが盛んになっていった。
だんだんと「王妃の子どもを未来の王に」と言う声が増えてくる。
王が一番愛していたのは王妃だから。
王は王妃との間に出来た子どもを王太子にしたかったが、口には出さなかった。
また、王妃との間に子どもが中々できずに嫁いで来てもらって、生まれたアルカインに対する後ろめたさもあった。
いつまで経っても王太子を決められない国王。いっその事、王政廃止にしようかと迷う事数年。
しかし、身近にいた者達は国王の本心に気づき、王の機嫌を取る行動に出た。
その行動は過剰になっていき、アルカインの耳にも入るようになっていった。
「王太子はフレデリク殿下で決まりだろうな」
「今のうちにフレデリク殿下にお近きになっておこう」
王となる為に生まれきたアルカインは、フレデリクの存在でその立場を脅かされる。
そして、アルカインはフレデリク失脚を目論むようになった。
死神との出会いはたまたまだった。ただ、アルカインが一番契約をしてくれそうな人間だったから、死神に付け込まれただけ。
アルカインはフレデリクが亡くなると、一番に疑われるのは自分だろう。と考えた。
それに、アルカインと言う男は弟を殺せる程の度胸は無かった。
その事により、フレデリクの弱点。ローサフェミリア・オルブライトを狙う事にした。
死神には、自然な死に方とフレデリクが出来るだけ傷つく殺し方を依頼した所、このような形となった。
一度は成功したと思われたが、悪魔のいたずらであえなく失敗をした。
途方に暮れるアルカイン。
アルカインはもう一度、死神と契約をするのだろうか?
久しぶり帰ってみれば、弟に笑顔で迎え入れられ、オルブライト公爵令嬢は生きていた。
どういう事だ? 私は騙されたのか?
「おい、死神。話がある」
アルカインの呼び出しで、死神はすぐに現れた。
「はい。次の依頼でしょうか?」
「違う! オルブライト公爵令嬢が生きていた。どういう事だ?」
「悪魔のいたずらですね」
「ふざけているのか」
アルカインは大きな声を上げた。
「いいえ。私との契約完了後に悪魔がいたずらをしたのです」
「オルブライト公爵令嬢は生き返ったと言う事か?」
「いいえ。この世界に身体だけ残ったのです」
「どういう事だ。分かるように説明をしろ」
「ですから、オルブライト公爵令嬢は一度亡くなったのですが、悪魔のいたずらにより別の世界で生きています。空っぽになったオルブライト公爵令嬢の体には、別の世界で亡くなった人間が現在入っております。オルブライト公爵令嬢は一度亡くなっているので、契約は完了しました」
死神は契約完了を強く言った。
「なるほど……では、今日私が会った令嬢は別の人間と言う事だな」
「そうなりますね」
「では、この事実を弟に伝えれば……」
「いえ、もうすでに知っております」
「何? オルブライト公爵令嬢が亡くなった事を知ってなお、いつも通りに過ごせているのか」
「そういう事になりますね」
「くそ。弟の弱点はオルブライト公爵令嬢だと思ったのだが……私の検討違いだったか……」
「さて、それはどうでしょうね」
引き続き契約をしたい死神は、提案を始めた。
「弟君は婚約破棄をした直後、大変落ち込まれていたようでしたが……」
「ふむ。しかし、今は意欲的だ。日常生活もままならない程に落ち込んで、そのまま落ちる所まで落ちて欲しいのだが」
「そうですねー。オルブライト公爵令嬢の中に入っている人間を中々好いているように見えますね。それが心の支えになっているのかと」
「それは、好意を持っていると言う事か?」
「好意、そうですね。恋と言うよりも守るべき対象でしょうか」
「なるほど。とにかく、オルブライト公爵令嬢はフレデリクにとってまだ、特別な存在と言う事だな?」
死神は少し考えた。
「…………まあ、そう言う事になりますね。殺しますか? お手伝いしますよ」
「いや、まだ良い。もう少し様子を見よう。無駄に寿命を縮ませたくはない」
「……そうですか。残念ですね。では、また依頼をお待ちしております」
そう言うと、死神はすっと消えた。
「くそッッ! 残りの寿命を半分も使ったと言うのに」
アルカインの苛立ちは、死神と話しても収まらなかった。
アルカインが生まれる少し前、王妃が中々懐妊せず、現在の王は側室のビアンカを迎え入れた。
そうして生まれた子どもがアルカイン。
アルカインの誕生は多くの人々に祝福された。しかし、それは長くは続かなかった。
一年後にフレデリクが生まれたからである。
王宮の中ではどっちを未来の王にするかで揉めたが、幼きアルカインとフレデリクは仲良く育った。
現在の王は、より優秀な方を未来の王太子にと言ったが、二人共十分な実力を持っていた。
当時の王が引退をした事により、現在の王が王となった。
そして、王太子をどちらにするのか話し合いが盛んになっていった。
だんだんと「王妃の子どもを未来の王に」と言う声が増えてくる。
王が一番愛していたのは王妃だから。
王は王妃との間に出来た子どもを王太子にしたかったが、口には出さなかった。
また、王妃との間に子どもが中々できずに嫁いで来てもらって、生まれたアルカインに対する後ろめたさもあった。
いつまで経っても王太子を決められない国王。いっその事、王政廃止にしようかと迷う事数年。
しかし、身近にいた者達は国王の本心に気づき、王の機嫌を取る行動に出た。
その行動は過剰になっていき、アルカインの耳にも入るようになっていった。
「王太子はフレデリク殿下で決まりだろうな」
「今のうちにフレデリク殿下にお近きになっておこう」
王となる為に生まれきたアルカインは、フレデリクの存在でその立場を脅かされる。
そして、アルカインはフレデリク失脚を目論むようになった。
死神との出会いはたまたまだった。ただ、アルカインが一番契約をしてくれそうな人間だったから、死神に付け込まれただけ。
アルカインはフレデリクが亡くなると、一番に疑われるのは自分だろう。と考えた。
それに、アルカインと言う男は弟を殺せる程の度胸は無かった。
その事により、フレデリクの弱点。ローサフェミリア・オルブライトを狙う事にした。
死神には、自然な死に方とフレデリクが出来るだけ傷つく殺し方を依頼した所、このような形となった。
一度は成功したと思われたが、悪魔のいたずらであえなく失敗をした。
途方に暮れるアルカイン。
アルカインはもう一度、死神と契約をするのだろうか?
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