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41 初デートはドタバタ

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 フレデリクはローサの手を引いて機嫌良く歩く。
 ローサさんとの初デートだ。と、フレデリクは気合いを入れた。

「ローサさん、ここはどうかな?」

「ええ、丁度喉が乾いていたの」

 フレデリクはローサを街のカフェに連れて来た。

 席に座る時にローサと手が離れ、名残惜しそうにするフレデリク。
 ローサはフレデリクと手を繋いでいても、離れても特に何も思う事は無いようで、いつもと変わらない様子だ。

 フレデリクはローサの様子を見て、自分が全く男として意識されていない事に気づく。

 残念な事に、男に貢がせる事を考えて行動をしていた昔の彼女は、軽く手を繋いだくらいでは何とも思わない。
 ローサにとって男性との軽い接触は、プレゼントを貰う為の手段……前払いのようなものだ。

 しかしローサになってからは、父や母に言えば欲しい物は手に入ったので、男性に媚びを売る必要がなくなり、毎日穏やかに過ごしている。

「まあ、美味しい」

「喜んで貰えて良かったよ」

 ローサの笑顔につられてフレデリクも笑った。

「ローサさん、こっちの世界に慣れてきた?」

「ええ、お陰様で」

「そうか、それは良かった」

「そう言えば護衛の件なんですけど、特に何も起こらないので、そろそろ大丈夫ではないでしょうか?」

「…………いや、悪魔さんは敵はすぐには行動を起こさないと言っていた。まだ様子を見た方が良いだろう」

「そうですか。私は大丈夫なので無理はなさらないで下さいね」

「ああ、ありがとう」

 フレデリクはこのまま護衛を理由に側にいるのは難しいかもしれない。と思い始めた。
 しかし、彼女が命を狙われているのは事実で、しばらくの間は護衛が必要だろうとも思った。
 どちらにせよ、悪魔さんに安全が確保されたのか聞く必要があるだろう。

「なあ、ローサフェミリア・オルブライト公爵令嬢だろ?」

 突然現れたフードを深く被った人物。
 声を聞く限り、男だろう。

「え、えっと」

 突然の事にローサはおろおろとした。
 フレデリクは咄嗟に、ローサとフードの男の間に入った。

「いきなりなんなんだ。必要以上に彼女に近づかないで貰えますか?」

 やっと護衛らしい事をしたフレデリク。

「君さ、彼女の何? 俺、彼女に聞きたい事があるんだけど、どいてくれない?」

「君には関係ないだろ。不審な人物を近づける訳にはいかない」

 睨み合う二人。
 ローサはフレデリクの後ろに隠れた。

 フードの男はローサがフレデリクの後ろに隠れたのを見て、慌てて声を掛けた。

「杏奈! 杏奈なんだろう?」

「えっ!」

 ローサはフレデリクの後ろから顔を出して、フードの男をじっと見つめた。

「やっぱり、杏奈なんだな。俺だよ俺!」

「この世界にも、オレオレ詐欺はあるのね」

「そうじゃないって、俺だよ杏奈。悠二。杏奈を追いかけて来たんだ」

 ローサは目を見開いた。
 フレデリクは自分も悪魔さんに頼んで、ローサフェミリアを追いかけていたら、この男のようになっていたのだろうか? と考えていた。
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