44 / 123
43 異世界チートと小娘
しおりを挟む
寮の自分の部屋に入ったローサは、すぐにあーくんを呼んだ。
「あーくんいる? いるなら出てきて」
「何か用か、小娘」
「小娘じゃなくてローサよ」
「小娘で十分だ」
ローサはむすっとした顔をした。
「で、何の用だ?」
「私にはチートはないの?」
「は?」
「だから、異世界チートよ!」
ローサはキラキラとした瞳で、あーくんを見つめた。
「小娘、何の話をしている」
「悠二くんをレイノス様の中に入れたのは、あーくんでしょう?」
「そうだが」
「ふふ、やっぱり。悠二くんはね、こっちの世界で大成功をしているのよ。きっとチートを使ったのよ。異世界チート! 私にはないの? あるなら、教えて」
「小娘……寝言は寝て言え!」
ローサはまた、むすっとした顔をした。
「寝言じゃないわよ。こっちは、真面目に聞いてるの」
「白銀の小僧が成功をしたのは、向こうの世界で努力をしたからだろうが」
「えっ……じゃあ、チートじゃない?」
「そうだ。このすっとこどっこいが!」
「えー! じゃあ、私にはチートが無い」
「小娘だけじゃなく、白銀の小僧にもチートは無いぞ。成功をしたのは、小僧の実力と、たまたま綺麗な顔立ちの人間の器が空いていただけだ」
「そんなー」
ローサはあからさまに落ち込んだ。
「本当に騒がしい小娘だ」
「ふー。白銀の小僧ってレイの事よね?」
「そうだ。茶色の小僧と区別をする為に、そう呼ぶ事にした」
「茶色の小僧ってフレデリク殿下?」
「そうだ」
「そう。分かりやすくていいわね」
「お前は……はぁ。さっき小娘が嫌だと言ったのに、小僧は良いのか?」
あーくんは小さくため息をついた。
「んー、フレデリク殿下が気にしていなさそうだから」
「そうか。要するにどうでもいいと」
「うん。そう言う事」
ローサはニカッと笑った。
あーくんは、小娘に恋愛ごっこを要求した事自体が、間違っていたかもしれないと思い始めた。
「小娘」
「何?」
「もう、お前には恋愛ごっこは期待しない」
「あらそう。良かった」
ローサはにっこり笑った。
「だから、体を張って私を楽しませろ」
「……体を張る? どじょうすくいとか?」
「一発芸は求めていない」
「……そう」
「まあ、良い。元々その計画もあった」
「ねえ、いったい何をするの?」
「小娘は何もしなくて良い」
「そう! なーんだ良かった」
ローサは嬉しそうに笑った。
「くっくっくッ」
「何だか分からないけど、あーくんも楽しそうね」
「ああ、実に愉快だ。小娘、死んだ人間を追いかけるには、どうしたらいいと思う?」
「んー、レイみたいに自分も死ぬとか?」
「そうだ。そう言う行動を取る人間は
何故そうすると思う?」
「……好きな人の側にいたいから?」
「ああ、白銀の小僧はそうだったな。白銀の小僧はな。くっくっくッ」
「あーくん、何がおかしいの?」
「いや、何でもない」
「そろそろ、失礼する。今、ローサフェミリアと佐々木が男女の修羅場だ。見に行かなければ、くっくっくッ」
「あーくんは忙しいのね。所で、何で佐々木さんだけ苗字……」
ローサは首を傾げた。
「佐々木は三十手前だからな」
「あっ、なるほど」
「では失礼する」
あーくんはローサの前から一瞬で消えた。
「あーくんいる? いるなら出てきて」
「何か用か、小娘」
「小娘じゃなくてローサよ」
「小娘で十分だ」
ローサはむすっとした顔をした。
「で、何の用だ?」
「私にはチートはないの?」
「は?」
「だから、異世界チートよ!」
ローサはキラキラとした瞳で、あーくんを見つめた。
「小娘、何の話をしている」
「悠二くんをレイノス様の中に入れたのは、あーくんでしょう?」
「そうだが」
「ふふ、やっぱり。悠二くんはね、こっちの世界で大成功をしているのよ。きっとチートを使ったのよ。異世界チート! 私にはないの? あるなら、教えて」
「小娘……寝言は寝て言え!」
ローサはまた、むすっとした顔をした。
「寝言じゃないわよ。こっちは、真面目に聞いてるの」
「白銀の小僧が成功をしたのは、向こうの世界で努力をしたからだろうが」
「えっ……じゃあ、チートじゃない?」
「そうだ。このすっとこどっこいが!」
「えー! じゃあ、私にはチートが無い」
「小娘だけじゃなく、白銀の小僧にもチートは無いぞ。成功をしたのは、小僧の実力と、たまたま綺麗な顔立ちの人間の器が空いていただけだ」
「そんなー」
ローサはあからさまに落ち込んだ。
「本当に騒がしい小娘だ」
「ふー。白銀の小僧ってレイの事よね?」
「そうだ。茶色の小僧と区別をする為に、そう呼ぶ事にした」
「茶色の小僧ってフレデリク殿下?」
「そうだ」
「そう。分かりやすくていいわね」
「お前は……はぁ。さっき小娘が嫌だと言ったのに、小僧は良いのか?」
あーくんは小さくため息をついた。
「んー、フレデリク殿下が気にしていなさそうだから」
「そうか。要するにどうでもいいと」
「うん。そう言う事」
ローサはニカッと笑った。
あーくんは、小娘に恋愛ごっこを要求した事自体が、間違っていたかもしれないと思い始めた。
「小娘」
「何?」
「もう、お前には恋愛ごっこは期待しない」
「あらそう。良かった」
ローサはにっこり笑った。
「だから、体を張って私を楽しませろ」
「……体を張る? どじょうすくいとか?」
「一発芸は求めていない」
「……そう」
「まあ、良い。元々その計画もあった」
「ねえ、いったい何をするの?」
「小娘は何もしなくて良い」
「そう! なーんだ良かった」
ローサは嬉しそうに笑った。
「くっくっくッ」
「何だか分からないけど、あーくんも楽しそうね」
「ああ、実に愉快だ。小娘、死んだ人間を追いかけるには、どうしたらいいと思う?」
「んー、レイみたいに自分も死ぬとか?」
「そうだ。そう言う行動を取る人間は
何故そうすると思う?」
「……好きな人の側にいたいから?」
「ああ、白銀の小僧はそうだったな。白銀の小僧はな。くっくっくッ」
「あーくん、何がおかしいの?」
「いや、何でもない」
「そろそろ、失礼する。今、ローサフェミリアと佐々木が男女の修羅場だ。見に行かなければ、くっくっくッ」
「あーくんは忙しいのね。所で、何で佐々木さんだけ苗字……」
ローサは首を傾げた。
「佐々木は三十手前だからな」
「あっ、なるほど」
「では失礼する」
あーくんはローサの前から一瞬で消えた。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる