50 / 123
49 小僧の話
しおりを挟む
「フレデリク殿下、優勝おめでとうございます」
「ありがとう」
今日もフレデリクは、ローサを寮から学院まで送っていた。
「そう言えば、あーくんも観戦していたんですよ」
「気付いていたよ。ローサさんの隣に座っていたよね」
「そうです。あーくんはきっと、私がレティシアにあーくんの名前をアリストロさんって伝えたから、怒って出てきたんだと思います。ほんと、地獄耳で怒りん坊ですよねー」
ローサは口を尖らせた。
「ローサさん……悪魔さんと仲良しなのは知っているが、あまり信用をしてはいけないよ。彼は悪魔だ。私達人間とは考え方が違いすぎる」
「私、あーくんと仲良しではありませんよ。顔を会わせたら、いつもケンカばかりですもの」
フレデリクは何かを言いたそうな顔をしたが、口をつぐんだ。
「あっ、あとフレデリク殿下の事を茶色の小僧で、レイの事を白銀の小僧と呼ぶ事にしたそうですよ」
「そうなんだ。分かりやすくていいね」
「ふふ。やっぱりフレデリク殿下は気にしていないじゃない」
「ん? それってどう言う……」
「いえ、何でもありません。オホホホ」
「そうか。白銀と言えば、レイの髪の色は珍しいな」
「えっ! そうなんですか?」
ローサは驚いた顔をした。
「うん。髪の毛の色は、黒と茶色系と金色系と銀色系があるんだけど、銀色は中々生まれないんだ」
「中々生まれない? ファンタジーの世界なのに?」
「ファンタジー?」
「あっ、いえ、何でもありません」
フレデリクは、首を傾げてから続きを話し始めた。
「そう。銀色なんだけど……銀色の髪の毛人が、それ以外の髪の毛の色をした人間と結婚をすると、銀色の髪の毛の子どもは生まれにくいんだ」
「それは、全く生まれないのですか?」
「いや、稀に生まれる事もあるが、確率がかなり低い」
「それでは、銀色の髪の毛の人間は、どんどん減っていきますね」
「そうだ。遠い西の国のフェナンテス王国でしか、中々会えないかもしれないな。まあ……この国ではレイがいるからすぐに会えるけど」
ローサは初めて聞く名前に首を傾げた。
ローサフェミリアの記憶を探ってみると、授業で国がある場所と国の名前だけ習った事がある事が分かった。
「フェナンテス王国の人間は、ほとんどの人が銀色の髪の毛をしているのですか?」
「いや、主に王族貴や族だけだ。王族や貴族は特権階級を好むだろう? 見た目にもこだわり、銀色の髪の毛の人間同士で結婚を繰り返したんだ」
「ああ、なるほど。だから、フェナンテス王国では、銀色の髪の毛の人間に会いやすいのですね」
「そうだ。フェナンテス王国以外にも銀色の髪の毛の人間はいるが、レイ程綺麗な銀色は珍しい。レイはフェナンテス王国出身なのかもしれないな」
「そうしたら、レイは貴族の家の出身ですか?」
「もしかしたら、そうかもしれない。ただ、この間は農家と言っていたから……何とも言えないな」
「そうでしたね」
教室にたどり着いたので、ローサとフレデリクは分かれた。
「ありがとう」
今日もフレデリクは、ローサを寮から学院まで送っていた。
「そう言えば、あーくんも観戦していたんですよ」
「気付いていたよ。ローサさんの隣に座っていたよね」
「そうです。あーくんはきっと、私がレティシアにあーくんの名前をアリストロさんって伝えたから、怒って出てきたんだと思います。ほんと、地獄耳で怒りん坊ですよねー」
ローサは口を尖らせた。
「ローサさん……悪魔さんと仲良しなのは知っているが、あまり信用をしてはいけないよ。彼は悪魔だ。私達人間とは考え方が違いすぎる」
「私、あーくんと仲良しではありませんよ。顔を会わせたら、いつもケンカばかりですもの」
フレデリクは何かを言いたそうな顔をしたが、口をつぐんだ。
「あっ、あとフレデリク殿下の事を茶色の小僧で、レイの事を白銀の小僧と呼ぶ事にしたそうですよ」
「そうなんだ。分かりやすくていいね」
「ふふ。やっぱりフレデリク殿下は気にしていないじゃない」
「ん? それってどう言う……」
「いえ、何でもありません。オホホホ」
「そうか。白銀と言えば、レイの髪の色は珍しいな」
「えっ! そうなんですか?」
ローサは驚いた顔をした。
「うん。髪の毛の色は、黒と茶色系と金色系と銀色系があるんだけど、銀色は中々生まれないんだ」
「中々生まれない? ファンタジーの世界なのに?」
「ファンタジー?」
「あっ、いえ、何でもありません」
フレデリクは、首を傾げてから続きを話し始めた。
「そう。銀色なんだけど……銀色の髪の毛人が、それ以外の髪の毛の色をした人間と結婚をすると、銀色の髪の毛の子どもは生まれにくいんだ」
「それは、全く生まれないのですか?」
「いや、稀に生まれる事もあるが、確率がかなり低い」
「それでは、銀色の髪の毛の人間は、どんどん減っていきますね」
「そうだ。遠い西の国のフェナンテス王国でしか、中々会えないかもしれないな。まあ……この国ではレイがいるからすぐに会えるけど」
ローサは初めて聞く名前に首を傾げた。
ローサフェミリアの記憶を探ってみると、授業で国がある場所と国の名前だけ習った事がある事が分かった。
「フェナンテス王国の人間は、ほとんどの人が銀色の髪の毛をしているのですか?」
「いや、主に王族貴や族だけだ。王族や貴族は特権階級を好むだろう? 見た目にもこだわり、銀色の髪の毛の人間同士で結婚を繰り返したんだ」
「ああ、なるほど。だから、フェナンテス王国では、銀色の髪の毛の人間に会いやすいのですね」
「そうだ。フェナンテス王国以外にも銀色の髪の毛の人間はいるが、レイ程綺麗な銀色は珍しい。レイはフェナンテス王国出身なのかもしれないな」
「そうしたら、レイは貴族の家の出身ですか?」
「もしかしたら、そうかもしれない。ただ、この間は農家と言っていたから……何とも言えないな」
「そうでしたね」
教室にたどり着いたので、ローサとフレデリクは分かれた。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる