目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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49 小僧の話

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「フレデリク殿下、優勝おめでとうございます」

「ありがとう」

 今日もフレデリクは、ローサを寮から学院まで送っていた。

「そう言えば、あーくんも観戦していたんですよ」

「気付いていたよ。ローサさんの隣に座っていたよね」

「そうです。あーくんはきっと、私がレティシアにあーくんの名前をアリストロさんって伝えたから、怒って出てきたんだと思います。ほんと、地獄耳で怒りん坊ですよねー」

 ローサは口を尖らせた。

「ローサさん……悪魔さんと仲良しなのは知っているが、あまり信用をしてはいけないよ。彼は悪魔だ。私達人間とは考え方が違いすぎる」

「私、あーくんと仲良しではありませんよ。顔を会わせたら、いつもケンカばかりですもの」

 フレデリクは何かを言いたそうな顔をしたが、口をつぐんだ。

「あっ、あとフレデリク殿下の事を茶色の小僧で、レイの事を白銀の小僧と呼ぶ事にしたそうですよ」

「そうなんだ。分かりやすくていいね」

「ふふ。やっぱりフレデリク殿下は気にしていないじゃない」

「ん? それってどう言う……」

「いえ、何でもありません。オホホホ」

「そうか。白銀と言えば、レイの髪の色は珍しいな」

「えっ! そうなんですか?」

 ローサは驚いた顔をした。

「うん。髪の毛の色は、黒と茶色系と金色系と銀色系があるんだけど、銀色は中々生まれないんだ」

「中々生まれない? ファンタジーの世界なのに?」

「ファンタジー?」

「あっ、いえ、何でもありません」

 フレデリクは、首を傾げてから続きを話し始めた。

「そう。銀色なんだけど……銀色の髪の毛人が、それ以外の髪の毛の色をした人間と結婚をすると、銀色の髪の毛の子どもは生まれにくいんだ」

「それは、全く生まれないのですか?」

「いや、稀に生まれる事もあるが、確率がかなり低い」

「それでは、銀色の髪の毛の人間は、どんどん減っていきますね」

「そうだ。遠い西の国のフェナンテス王国でしか、中々会えないかもしれないな。まあ……この国ではレイがいるからすぐに会えるけど」

 ローサは初めて聞く名前に首を傾げた。
 ローサフェミリアの記憶を探ってみると、授業で国がある場所と国の名前だけ習った事がある事が分かった。

「フェナンテス王国の人間は、ほとんどの人が銀色の髪の毛をしているのですか?」

「いや、主に王族貴や族だけだ。王族や貴族は特権階級を好むだろう? 見た目にもこだわり、銀色の髪の毛の人間同士で結婚を繰り返したんだ」

「ああ、なるほど。だから、フェナンテス王国では、銀色の髪の毛の人間に会いやすいのですね」

「そうだ。フェナンテス王国以外にも銀色の髪の毛の人間はいるが、レイ程綺麗な銀色は珍しい。レイはフェナンテス王国出身なのかもしれないな」

「そうしたら、レイは貴族の家の出身ですか?」

「もしかしたら、そうかもしれない。ただ、この間は農家と言っていたから……何とも言えないな」

「そうでしたね」

 教室にたどり着いたので、ローサとフレデリクは分かれた。
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