目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

文字の大きさ
52 / 123

51 二度目の契約

しおりを挟む
 剣の大会の後、アルカインは死神を呼び寄せていた。

「おい、死神。いるか?」

「はい。ご用でしょうか?」

「やはりオルブライト公爵令嬢は、フレデリクにとって特別な女性なのだな?」

「先日の剣の大会を見る限り、そうでしょうね」

「……やはりそうか」

 アルカインは口元に手を当て、悩む仕草をした。

「寿命の心配でしょうか?」

「ああ。人を殺すには残りの寿命の半分だったな……」

「ええ、まあ。殺す依頼でしたら契約成立後に半分頂きますね。ふふふ。殺す依頼でしたらね」

「どう言う意味だ? 私はオルブライト公爵令嬢を消したいのだが」

「これはただの世間話ですが……とある所にオルブライト公爵令嬢を殺したい程憎んでいる人間が、いるのですって」

「ほお。彼女は人に殺される程、憎まれるような人間には見えないのだが……」

「そのオルブライト公爵令嬢を殺そうとしているあなた様がよく言えますね」

 アルカインは、気まずそうにした。

「それでですね。その人物が殺したい人は、本来のオルブライト公爵令嬢ではなく中に入った人物なんです。ですが残念な事にまだ、オルブライト公爵令嬢の中に杏奈と言う人間が入っている事をその人物は知りません」

「ほお、なるほど。ではその人間にオルブライト公爵令嬢の中には、杏奈と言う人間が入っている事を伝えればいいのだな?」

「そうです。ですが伝えた所で行動に移すかどうかは運次第ですね」

「なるほど……」

「寿命10年分頂ければ、私が伝えて来ましょう!」

 この死神は人間の寿命を食事とする。
 死神はアルカインと再び契約をしたくて必死になった。

 アルカインは考える仕草をした。

 自分の寿命が七十歳まであるとして、今は十九歳だ。
 計算がややこしくなるので二十歳として考え、元々残り五十年あった寿命が二十五年になった。
 そうなると、四十五歳まで生きられる事となる。
 そこからさらに十年引くと、三十五歳だ。
 これはさすがに短すぎる。

「さすがに寿命の使いすぎだ。十年は多すぎる」

「……そうですか。では、五年でどうでしょう?」

 アルカインは自分が四十歳になる頃の自分の父親の年齢を考えた。
 陛下は現在四十四歳だ。自分は今十九歳だから、自分が四十歳になる頃には六十五歳だ。
 祖父の時を思い出すと、あと五年もすれば引退をするだろう……長くても十年だな。となると、私は十五年か十年は王になれる。

「分かった。五年だな。契約をしよう」

「かしこまりました。契約内容ですが、オルブライト公爵令嬢の中に杏奈と言う人間が入っている事を伝える。でよろしいでしょうか?」

「ああ。ちなみにその人間は誰なのだ?」

「それはですね……杏奈と言う人間を、前の世界で殺した人物です」

「何? まさか、一度殺した人物の後を追いかけて来たのか?」

 アルカインは驚いた顔をした。

「そうです。ですがどの人間に杏奈が入っているのかは、まだ知らないようです」

「……そうか。それも、悪魔のいたずらなのか?」

「そうです。好奇心旺盛の悪魔のようですね」

「そうか」

「では、そろそろ失礼します」

「ああ。頼んだ」

 この後死神は、杏奈を殺した人物に接触をした。

「へぇー。オルブライト公爵令嬢があの子なのね……」

 死神から杏奈が誰の中に入っているのかを聞いた人物は、不気味な笑みを浮かべた。

「けれど……私、今忙しいからな。ねえ、この世界でも人を殺したら捕まるのでしょう?」

「法律によって裁かれますね」

「……そう。本来あの子を殺し足りなくて追って来たのだけれども……他にやりたい事が出来てしまったのよ。あの子がまた違反をしなければ、生かしておいてあげるわ」

 杏奈を殺した人物は、そう言うと真っ赤口元に笑みを浮かべた。

「全く……本人を直接……こんな……」

 死神はぶつぶつとつぶやきながら、杏奈を殺した人物のもとから去って行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。

山田 バルス
恋愛
 結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。  また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。  大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。  かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。  国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。  スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。  ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。  後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。  翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。  価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

処理中です...