目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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57 記憶は見れても……

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 ローサは、ミリウェイン会長に会う機会を得ることが出来ずに過ごしていた。

「はあ……わざわざ先輩の学年に行ってまで聞く事ではないしな……」

「何を聞きたいの?」

「えっ、エミール? 私、何か言ってた?」

「ええ。先輩が聞くとか言っていたわ」

「う、うん。何でもないわ」

「そう。それよりどうするの? ダンスパーティー」

 エミールは気にする事なく、次の話題に話を変えた。

「ダンスパーティー?」

「あら、聞いていなかったの? 学院で開かれるダンスパーティーよ」

「へぇー、そういうのがあるのね」

「そうよ。それで、私はケネスにエスコートをしてもらうんだけど、ローサはどうする?」

「エスコート……どうしよう」

 ローサは、こんな事ならもう少し婚活を頑張っておけば良かった。と思った。

「ローサなら、誰かに誘われるんじゃないかしら?」

「誰かって、誰?」

「さ、さあー? それに、エスコート無しでも会場に入れるわよ」

「そうなの? 良かったわ」

 嬉しそうに笑ったローサ。

「ローサ、パートナーが決まったら絶対に教えてね」

「うん。もしかしたら、一人で行く事になるかもしれないけれど……」

「それはないから大丈夫!」

「そう? 分かった、ありがとう」

 ローサは、レイだったら簡単に引き受けてくれそうなのに、学院に通ってない事が残念だと思った。

「ダンスパーティーって、何をするの?」

「社交界の小さな感じと思えば大丈夫よ」

「ああ、社交界ね……………………社交界!?」

「どうしたのよ。急に……」

 エミールは不思議そうな顔をした。

「社交界って、ダンスを踊るわよね?」

「ええ、そうよ。学院のは、ダンスパーティーって名前が付いている訳だし……踊るわよ」

「ダンス……ダンス……」

「大丈夫よ。ローサは公爵令嬢なんだから、教育を受けて来たでしょ?」

「え、ええ、もちろんよ」

 ローサは心の中で、ローサちゃんがね。と付け足した。
 困った事に、ローサフェミリアの記憶を見る事は出来るが、記憶を見れた所でローサが踊れるかは別だ。

「ちなみに、ダンスパーティーでダンスを踊らないとか出来るのかしら?」

「一応授業の一環だからね。それは難しいかもしれないわよ」

「そ、そうよね。社交界に参加をした時の為の勉強よね」

「そうそう」

「エミール、ローサ、そろそろいいかな?」

 二人で話していると、ケネスがやってきた。

「ローサ、じゃあそろそろ帰るわね。明日ね」

「ええ。また明日」

 エミールとケネスが帰ると、丁度そこへ来たルーカスがローサに話掛けた。

「ローサ、あのさ……今の話、少し聞こえていて」

「ダンスパーティーの話?」

「そう。それなんだけど、良かったら俺と……俺と……」

「俺と……?」

「俺と…………俺がパートナーになってやるって」

「まあ、いいの? ルーカスありがとう」

 ローサはルーカスの両手を自分の両手で包み、ぶんぶんと上下に振る。

「あ、ああ」

 ルーカスの頬が緩む。

「あっ、ダンスが下手くそなんだけど、それでもいいかな?」

「公爵令嬢なのに?」

「運動は少し苦手で……」

 少しどころか、全く踊れない。

「そうか。俺は運動が得意だからリードをするよ」

「ルーカス、ありがとう!」

 笑顔になったローサを見て、口元が緩んでしょうがないルーカス。

 ローサはこのままルーカスにダンスを教えて貰おうかな。と考え、ふと止まる。

 私がダンスを全く踊れなければ怪しまれるよね?
 まず、家族には絶対にバレてはいけない。家族はローサちゃんが踊れる事を知っているから危険だ。
 そしてエミール達も私が全く踊れなければ、絶対にあれ? となると思う。
 そうするとフレデリク殿下かレイにしか練習相手をお願い出来ない。
 しかし、レイも私と一緒で踊れないだろう。それに次の演目の練習でしばらく忙しいと言っていた。
 よし! 今日の帰りにフレデリク殿下にお願いをしよう。

 ローサが結論にたどり着いた所で、フレデリクがやってきた。

「ローサさん、待たせたね」

「いいえ、大丈夫です。じゃあルーカス、よろしくね」

「あ、ああ。明日な」

 ローサはフレデリクと歩き出した。
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