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88 衝動的犯行
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ほっとした顔の三人。
「ローサ。ズレてないか?」
「あっ、ここが少しはみ出してるよ」
ローサは、レイの髪の毛をカツラの中に押し込んだ。
するとそこへ、ドスドスと足音を鳴らしてやって来た人物がいた。
「見たわよオルブライト公爵令嬢! あなたレイノス様にも手を出したのね!」
いきなり現れたのはミリウェイン会長だ。
「えっ、会長。レイとはただの友人です」
「レイですって。ずいぶん仲が良いのね」
ミリウェイン会長はローサを睨みつけた。
「友人ですので」
「入会する時に言ったわよね。レイノス様を独り占めしないって。一緒に出掛けて、触れ合って……他のファンの子達はどう思うのかしら?」
「……申し訳ありません」
「ローサさんは謝る必要ないよ。ミリウェイン子爵令嬢、少し言い過ぎではないだろうか?」
「殿下。彼女は入会の手続きの際にレイノス様と個人的に仲良くしない事を約束しました。違反したのはオルブライト公爵令嬢です」
「確かにそうだが……」
真面目なフレデリクは言い返せなくなった。
「おい。さっきから聞いていればなんなんだよ。入会だの、違反だのって。ローサが俺と会ってるのは、俺がローサの事を好きだからだ。赤の他人が人の交友関係に口出すんじゃねえよ」
怒った顔をして言ったレイ。
「好き? レイノス様がオルブライト公爵令嬢を……ふふ。ふふふ。あはははは」
急に笑いだしたミリウェイン会長をレイは気味が悪いと思った。
「そう。あなたは、一度だけではなく二度も……」
ぶつぶつとつぶやきながらミリウェイン会長はローサに近づいて行った。
「ねぇ。オルブライト公爵令嬢……やっぱり、あなたの事を追いかけ来て良かったわ。あの時、満たされなかった理由が今分かったわ。だって、あなたは何度生まれ変わっても同じ事をするんだもの。悠二様もレイノス様もみんなのもの。あなた一人のものにしてはいけないの。ふふふ。みんなの代わりに私が裁いてあげるわ」
ミリウェイン会長は不気味に笑った。
身の危険を感じたローサは一歩下がるが、次の瞬間にミリウェイン会長に両手で首を締められた。
「ローサさん!」
「ローサ!」
一瞬驚いて固まったフレデリクとレイが、慌ててローサを助けてようと手を伸ばす。
二人よりも速く動いたドウバナちゃんは、ミリウェイン会長の頭にかぶりつき投げ飛ばした。
ローサはふらついて倒れた。
フレデリクが地面に着くぎりぎりの所でローサを抱きしめた。
一歩遅れてローサの所に来たレイ。
「ゲホッッ。ゲホゲホ」
「ローサさん大丈夫か?」
「ローサ……俺のせいで……」
「だいじょ……ぶ。レイ。大丈夫だから。ゲホッッ」
少し離れていた所で護衛をしていたアイン・エバンズがミリウェイン会長を拘束した。
フレデリクは近くに居たアンソニーに、街を巡回している騎士団を数名呼ぶように声を掛ける。
アンソニーは、はっとした顔をして応援を呼びに向かった。
「私がまたお前を処刑してやる! みんなのものに手を出した罪を償え!」
ミリウェイン会長の言葉を聞いたローサはカタカタと震えた。
「あなた……まさか、悠二くんのファンの人……」
「俺のファン? おい、どう言う事だ」
レイは、うつ伏せで両腕を拘束されているミリウェイン会長の髪の毛を掴んで顔を上げさせた。
そして、ミリウェイン会長の真っ赤な口元を見た。
「俺……?」
動揺した顔のミリウェイン会長。
「お前も死んでこっちの世界に来たのか? お前は赤いチーズケーキなのか?」
「どうしてその名前を……」
「お前が杏奈を殺したのか?」
「……レイノス様は悠二様?」
目を大きく見開き、驚いた顔をしたミリウェイン会長。
「ローサ。ズレてないか?」
「あっ、ここが少しはみ出してるよ」
ローサは、レイの髪の毛をカツラの中に押し込んだ。
するとそこへ、ドスドスと足音を鳴らしてやって来た人物がいた。
「見たわよオルブライト公爵令嬢! あなたレイノス様にも手を出したのね!」
いきなり現れたのはミリウェイン会長だ。
「えっ、会長。レイとはただの友人です」
「レイですって。ずいぶん仲が良いのね」
ミリウェイン会長はローサを睨みつけた。
「友人ですので」
「入会する時に言ったわよね。レイノス様を独り占めしないって。一緒に出掛けて、触れ合って……他のファンの子達はどう思うのかしら?」
「……申し訳ありません」
「ローサさんは謝る必要ないよ。ミリウェイン子爵令嬢、少し言い過ぎではないだろうか?」
「殿下。彼女は入会の手続きの際にレイノス様と個人的に仲良くしない事を約束しました。違反したのはオルブライト公爵令嬢です」
「確かにそうだが……」
真面目なフレデリクは言い返せなくなった。
「おい。さっきから聞いていればなんなんだよ。入会だの、違反だのって。ローサが俺と会ってるのは、俺がローサの事を好きだからだ。赤の他人が人の交友関係に口出すんじゃねえよ」
怒った顔をして言ったレイ。
「好き? レイノス様がオルブライト公爵令嬢を……ふふ。ふふふ。あはははは」
急に笑いだしたミリウェイン会長をレイは気味が悪いと思った。
「そう。あなたは、一度だけではなく二度も……」
ぶつぶつとつぶやきながらミリウェイン会長はローサに近づいて行った。
「ねぇ。オルブライト公爵令嬢……やっぱり、あなたの事を追いかけ来て良かったわ。あの時、満たされなかった理由が今分かったわ。だって、あなたは何度生まれ変わっても同じ事をするんだもの。悠二様もレイノス様もみんなのもの。あなた一人のものにしてはいけないの。ふふふ。みんなの代わりに私が裁いてあげるわ」
ミリウェイン会長は不気味に笑った。
身の危険を感じたローサは一歩下がるが、次の瞬間にミリウェイン会長に両手で首を締められた。
「ローサさん!」
「ローサ!」
一瞬驚いて固まったフレデリクとレイが、慌ててローサを助けてようと手を伸ばす。
二人よりも速く動いたドウバナちゃんは、ミリウェイン会長の頭にかぶりつき投げ飛ばした。
ローサはふらついて倒れた。
フレデリクが地面に着くぎりぎりの所でローサを抱きしめた。
一歩遅れてローサの所に来たレイ。
「ゲホッッ。ゲホゲホ」
「ローサさん大丈夫か?」
「ローサ……俺のせいで……」
「だいじょ……ぶ。レイ。大丈夫だから。ゲホッッ」
少し離れていた所で護衛をしていたアイン・エバンズがミリウェイン会長を拘束した。
フレデリクは近くに居たアンソニーに、街を巡回している騎士団を数名呼ぶように声を掛ける。
アンソニーは、はっとした顔をして応援を呼びに向かった。
「私がまたお前を処刑してやる! みんなのものに手を出した罪を償え!」
ミリウェイン会長の言葉を聞いたローサはカタカタと震えた。
「あなた……まさか、悠二くんのファンの人……」
「俺のファン? おい、どう言う事だ」
レイは、うつ伏せで両腕を拘束されているミリウェイン会長の髪の毛を掴んで顔を上げさせた。
そして、ミリウェイン会長の真っ赤な口元を見た。
「俺……?」
動揺した顔のミリウェイン会長。
「お前も死んでこっちの世界に来たのか? お前は赤いチーズケーキなのか?」
「どうしてその名前を……」
「お前が杏奈を殺したのか?」
「……レイノス様は悠二様?」
目を大きく見開き、驚いた顔をしたミリウェイン会長。
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