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94 久しぶりの学院
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首の跡が消えた次の日、ローサはフレデリクと学院に向かった。
「フレデリク殿下。ありがとうございました。跡がなくなりました」
「綺麗に消えたね」
フレデリクはローサの首を触った。
「ふふふ。くすぐったいです」
「ごめん。あまりにも綺麗だったから」
「まあ。……あと、しばらく公爵家から学院に通う事になりました。お父様がしばらく寮からは通わないようにと、口うるさく言ってくるんです」
「オルブライト公爵は、ローサさんの事が心配なんだよ」
「はい。分かってはいるのですが……」
不満そうな顔のローサ。
「あっ、教室に着いたね。放課後に悪魔さんと話したいんだけど、空き教室に呼んでくれる?」
「分かりました」
ローサの返事を聞くとフレデリクは自分の教室に向かった。
「ローサ! 心配したのよ!」
ローサが振り返ると後ろにいたのはエミールだ。珍しく教室にレティシアもいた。
「ローサ、大丈夫?」
「二人とも心配かけてごめんね。私は元気だから大丈夫よ」
ほっとした顔をした二人。
「ごめんなさい。私がファンクラブなんかに誘ったから……」
「レティシアのせいではないわ。所でファンクラブはどうなったの?」
「もちろん。解散よ!」
「そう。なんだか残念だけど、しょうがないわね」
「ええ」
レティシアが自分の教室に戻ると、ケネスとルーカスがローサの所に来た。
ローサはみんなに心配をかけてしまったなと思い、杏奈の方の自分の家族は今頃泣いているかな? と思ったが、よく考えたらローサちゃんが杏奈をやってるから大丈夫だった事を思い出した。
そして放課後になった。
ローサとフレデリクは空き教室に来た。
「あーくんいる?」
「何か用か?」
あーくんはすぐにローサ達の前に現れた。
「フレデリク殿下が話があるんだって」
「ふん。茶色の小僧、なんだ?」
「何故彼女を殺した人間を連れて来たのですか?」
「もちろん娯楽の為に決まっているだろう」
フレデリクはしばらくあーくんを無言で見つめてから話し始めた。
「……一歩間違えればローサさんは死んでいました」
「だろうな」
「悪魔さんは、ローサさんが死んでもいいんですか」
「茶色の小僧。私に何を期待している。私は悪魔だぞ」
「ですが、あなたは……ミリウェイン子爵令嬢に、ローサさんがどの人間になったのかを教えなかった」
「だからなんだ」
「いえ。なんでもありません」
「小僧、話が終わったなら帰るぞ」
「待って下さい」
フレデリクは慌てて、あーくんを引き止めた。
「なんだ」
「ローサさんは、まだ命を狙われていますか?」
「さー? 狙われているかもしれないし、狙われていないかもしれない」
「それはどう言う事ですか」
「分からない。と言う事だ」
「……そうですか。ローサさんはまた命を狙われるかもしれないと言う事ですね?」
「しらん」
あーくんは興味がなさそうに答えた。
「いったい誰がなんの為に……」
フレデリクは俯き、呟いた。
「それは、小僧にしか分からないのではないか?」
「それは、どう言う意味ですか?」
「ふん、自分で考えろ。じゃあな」
そう言うと、あーくんはローサ達の目の前から消えた。
「自分で考えろとは……」
ローサは不安げにフレデリクを見た。
「話さなければいけない事がある」
フレデリクは、拘置所でミリウェイン子爵令嬢と話した内容を伝えた。
「では、犯人の目的はローサちゃんが亡くなる事で、得られる何かなのですね」
「ローサフェミリアだけではない。ローサさんもだ。犯人はオルブライト公爵令嬢の中身が変わった事を知っているようだが、ローサさんの命を狙った」
「……そうですね」
ローサは怯えた顔をした。
「大丈夫。私が守るから」
フレデリクはローサを抱きしめた。
ローサはフレデリクの腕の中で安心した。
ローサを抱きしめいるフレデリクの顔は険しく、犯人について考えていた。
ローサさんとローサフェミリアが亡くなる事で犯人は何が得られるのだろうか?
私にしか分からない? いったいどう言う事だ。
犯人は身近な人物と言う事か?
では、ローサさんが殺されかけた話を聞いて、心配する振りをして裏では笑っていたり、死ななかった事を悔しがっていると言う事だろうか……。
「フレデリク殿下。ありがとうございました。跡がなくなりました」
「綺麗に消えたね」
フレデリクはローサの首を触った。
「ふふふ。くすぐったいです」
「ごめん。あまりにも綺麗だったから」
「まあ。……あと、しばらく公爵家から学院に通う事になりました。お父様がしばらく寮からは通わないようにと、口うるさく言ってくるんです」
「オルブライト公爵は、ローサさんの事が心配なんだよ」
「はい。分かってはいるのですが……」
不満そうな顔のローサ。
「あっ、教室に着いたね。放課後に悪魔さんと話したいんだけど、空き教室に呼んでくれる?」
「分かりました」
ローサの返事を聞くとフレデリクは自分の教室に向かった。
「ローサ! 心配したのよ!」
ローサが振り返ると後ろにいたのはエミールだ。珍しく教室にレティシアもいた。
「ローサ、大丈夫?」
「二人とも心配かけてごめんね。私は元気だから大丈夫よ」
ほっとした顔をした二人。
「ごめんなさい。私がファンクラブなんかに誘ったから……」
「レティシアのせいではないわ。所でファンクラブはどうなったの?」
「もちろん。解散よ!」
「そう。なんだか残念だけど、しょうがないわね」
「ええ」
レティシアが自分の教室に戻ると、ケネスとルーカスがローサの所に来た。
ローサはみんなに心配をかけてしまったなと思い、杏奈の方の自分の家族は今頃泣いているかな? と思ったが、よく考えたらローサちゃんが杏奈をやってるから大丈夫だった事を思い出した。
そして放課後になった。
ローサとフレデリクは空き教室に来た。
「あーくんいる?」
「何か用か?」
あーくんはすぐにローサ達の前に現れた。
「フレデリク殿下が話があるんだって」
「ふん。茶色の小僧、なんだ?」
「何故彼女を殺した人間を連れて来たのですか?」
「もちろん娯楽の為に決まっているだろう」
フレデリクはしばらくあーくんを無言で見つめてから話し始めた。
「……一歩間違えればローサさんは死んでいました」
「だろうな」
「悪魔さんは、ローサさんが死んでもいいんですか」
「茶色の小僧。私に何を期待している。私は悪魔だぞ」
「ですが、あなたは……ミリウェイン子爵令嬢に、ローサさんがどの人間になったのかを教えなかった」
「だからなんだ」
「いえ。なんでもありません」
「小僧、話が終わったなら帰るぞ」
「待って下さい」
フレデリクは慌てて、あーくんを引き止めた。
「なんだ」
「ローサさんは、まだ命を狙われていますか?」
「さー? 狙われているかもしれないし、狙われていないかもしれない」
「それはどう言う事ですか」
「分からない。と言う事だ」
「……そうですか。ローサさんはまた命を狙われるかもしれないと言う事ですね?」
「しらん」
あーくんは興味がなさそうに答えた。
「いったい誰がなんの為に……」
フレデリクは俯き、呟いた。
「それは、小僧にしか分からないのではないか?」
「それは、どう言う意味ですか?」
「ふん、自分で考えろ。じゃあな」
そう言うと、あーくんはローサ達の目の前から消えた。
「自分で考えろとは……」
ローサは不安げにフレデリクを見た。
「話さなければいけない事がある」
フレデリクは、拘置所でミリウェイン子爵令嬢と話した内容を伝えた。
「では、犯人の目的はローサちゃんが亡くなる事で、得られる何かなのですね」
「ローサフェミリアだけではない。ローサさんもだ。犯人はオルブライト公爵令嬢の中身が変わった事を知っているようだが、ローサさんの命を狙った」
「……そうですね」
ローサは怯えた顔をした。
「大丈夫。私が守るから」
フレデリクはローサを抱きしめた。
ローサはフレデリクの腕の中で安心した。
ローサを抱きしめいるフレデリクの顔は険しく、犯人について考えていた。
ローサさんとローサフェミリアが亡くなる事で犯人は何が得られるのだろうか?
私にしか分からない? いったいどう言う事だ。
犯人は身近な人物と言う事か?
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