目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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100 プロポーズ

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 ローサは久しぶりのダンスだったが、間違える事なく踊っていた。

「久しぶりだけど、上手に踊れているね」

「ふふ。フレデリク先生のおかげですわ」

「あっ……」

「どうかしました?」

「フレデリク先生って呼び方、ちょっといいかも」

「……」

 ダンスが終わるとローサは、壁の方へ歩き出そうとした。

「ローサさん、待って」

 ローサは振り返り、首を傾げた。
 フレデリクはローサの目の前に立つと、跪いた。

「ローサフェミリア・オルブライト公爵令嬢」

「はい」

「私と結婚して下さい。二度と婚約破棄は致しません」

 ローサは戸惑った。

 私がフレデリク殿下と結婚?
 王子妃? だから無理だって。
 だけど、ここで断ったら恥をかかせるわよね……首を刎ねよ! だわ。

「……よろしくお願いします」

 ローサの顔は隠せない程に引きつっていた。
 フレデリクは大きなダイヤモンドが付いた指輪を取り出し、それをそっとローサの左手の薬指にはめた。

「婚約指輪? どうして……」

「レイから聞いたんだ。ローサさんの国の事」

「そうだったのですね。ありがとうございます」

 ローサは嬉しそうに指輪を見つめた。
 近くで二人を見ていた人達から、おめでとうなどの声がかけられた。

 フレデリクは、これだけ大勢の人の前でローサさんから結婚の返事を貰えば、オルブライト公爵は反対出来ないだろうと考えていた。

「ローサさん。そろそろここから離れようか」

「ええ。注目され過ぎて少し恥ずかしいです」

 ローサとフレデリクは誰もいないテラスに来た。

「ローサさんは嫌か?」

「えっ……」

「私と結婚するの」

 フレデリクはローサの目の前に立ち、真剣な顔をした。

「……嫌ではないです」

 ローサはフレデリクから目を逸らした。

「では、どうして……嫌そうにするんだ。今だって私の目を見ようとしない」

 フレデリクはローサの後ろにあった柵に両手をつき、ローサを腕の中に閉じ込めた。

「……それは」

「私の事が嫌いになった? それとも飽きた?」

「そんな事はありません」

「じゃあ、好き?」

「好きですよ」

 恥ずかしそうに答えたローサをフレデリクはぎゅっと抱きしめた。

「……良かった。嫌われたかと思った」

「不安にさせてごめんなさい。でも……私には王子妃は務まらないと思うのです」

「どうして?」

「今の私は、ローサちゃんの記憶を見てそれなりに振る舞う事がやっとなんです。出来れば家を継がない次男、三男の方とかと結婚する方がいいと思うんです」

 フレデリクは難しい顔をした。

「それなら私と結婚をするのが一番じゃないか? 私はローサさんの事情を知っているし、何かあってもフォローが出来る。それに、ローサフェミリアは王子妃教育を途中までしか受けていないから、続きはローサさんが受ければいい。久しぶりだから復習からしっかり行うように伝えておくよ」

「え? えっと……はい」

 ローサは、確かに結婚相手に杏奈を伝えるのはリスクがあると思った。
 しかし、結婚相手に一生隠し続けるのも難しいだろうとも思った。

「他に不安な事は?」

「えっ?」

「私と結婚する事で、不安な事は他にある?」

「いえ、今の所は……」

「では問題ないな。ローサさん、私と結婚をしてくれるか?」

「……はい。よろしくお願いします」

 ローサは簡単に丸め込まれた。

 戸惑いながらも返事をしたローサを見たフレデリクは、幸せそうに笑ってからローサにキスをした。
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