目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

文字の大きさ
104 / 123

103 王子妃教育

しおりを挟む
 フレデリクとの婚約が決まったローサは、王子妃教育が始まった。
 毎日放課後に王宮に行って王子妃教育を受けてから寮に帰るのは大変だったので、学院が無い休日に王宮に行っていた。

「オルブライト公爵令嬢……他の方々は騙せても私の事は騙せませんわ」

 ローサはマイヤール夫人を驚いた顔で見た。

「動きが全てぎこちないです。これでは他国の王族貴族の方々に笑われてしまいますわ」

 うわー。ばれている。学院に居たのは若い子達だから誤魔化せたけど、ご婦人方はやはり気づくか。お母様にも時々注意をされていたものね。

「はい」

「少しお休みし過ぎたようですね。気が緩み過ぎでございます」

「……はい」

 それから、厳しい妃教育が続いた。
 ローサは、ローサフェミリアの記憶が見れたので、立ち振る舞い以外はそれなりにこなせていた。

「はぁー」

 ローサは休憩時間に王宮の中庭で一人座っていた。

「ローサさん?」

 ローサが振り向くとフレデリクが居た。

「フレデリク殿下……」

「大丈夫? 顔色が悪いけど」

 フレデリクはローサの顔を覗き込んだ。

「大丈夫ですよ」

 ローサはぎこちなく微笑んだ。

「…………妃教育は順調って聞いたけど、無理していない?」

「大丈夫ですよ」

「ローサさん。本当の事を言って」

 フレデリクはローサの隣に座って、ローサの手を握った。

「……少し大変です。休日が無いのは辛いですね」

「そうか。私がローサさんが卒業をしたらすぐに結婚をしたいと言ったからだね。時間が無いから……ごめん」

「いえ。フレデリク殿下は悪くありません。私の要領が悪いだけで」

「そんな事は無いよ。マイヤール夫人はローサさんの事を褒めていたよ」

「本当ですか?」

 あの厳しいマイヤール夫人が? と、ローサは驚いた顔をした。

「ああ。ローサさんはとても頑張っているよ」

「ふふ。ありがとうございます」

 ローサは嬉しそうに笑った。

「だけど……このまま卒業まで休日が無いのも無理があるな」

 フレデリクは険しい顔をした。

「大丈夫ですよ。三年くらいですので」

 ローサは自分で言った事だか、三年間も休日無しはさすがに辛いと思った。

「いや……それは私が大丈夫ではないな」

「えっ」

「その……ローサさんとデートとかしたいし」

 顔を少し赤らめて、ローサの頬を触ったフレデリク。

「まあ! ふふ。三年間デートはお預けですね」

「それはさすがに……ローサさんは意地悪だな」

「ふふ。事実ですので」

 フレデリクは困った顔をしてから、はっとした顔をした。

「そうか! ここに住めばいいんだ」

「はっ?」

「だから、ローサさんも王宮に一緒に住むんだよ。それで学院から帰ってから、毎日王子妃教育を受ければいい。そうすれば学院が休みの日に休日を取れるよ」

「確かにそうですが……それは難しいのでは?」

「大丈夫。私に任せて!」

 そう言うとフレデリクは慌てた様子で、王宮の中に入って行った。

 ローサは結婚前に王宮に住むなんて無理だろうと思っていたので、特に気に留める事なく続きの休憩時間をのんびりと過ごした。

 しかし、数日後にはローサは王宮に住んでいた。
 ローサの父オスカーからは、あっさりと許可が下りた。
 最近のオスカーは、この間までの勢いが無く、すんなりと許可をしてくれた。
 しかし、王宮に住むと聞き、さらに落ち込んだのは言うまでもない。

「ローサさん。王宮に住むなら寮より安全だね。護衛もしやすくなったし、休日も作れたし、いい事ばかりだな」

 今、ローサ達は馬車で学院に向っていた。
 ローサの隣には大変ご機嫌なフレデリクが座っている。

「ええ。そうですね」

 最初は緊張した王宮暮らしだが、フレデリクの家族に暖かく迎え入れられ、ローサは安心して過ごしていた。

 一人納得していないのはアルカイン。
 自分の婚約者よりも先に、ローサが王宮に住むのが面白くないのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。

山田 バルス
恋愛
 結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。  また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。  大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。  かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。  国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。  スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。  ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。  後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。  翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。  価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

処理中です...