目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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番外編

4 既婚者とはさようなら

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 月曜日。初めての出勤はローサフェミリアにとってわくわくの連続だった。
 しかし仕事でミスをし、すっかりブルーになった彼女は、行きとは異なり帰りの満員電車でぐったりとしていた。

 ローサフェミリアが仕事に少しなれた頃、杏奈が会う約束をしていた井上と言う男に会う日となった。

「井上さん……既婚者。妻子持ち……この国は一夫多妻制なのかしら……?」

 ローサフェミリアは杏奈の記憶を探るが、そんな事はない事が分かった。

「うーん? 若い女性は男の人に貢いで貰うのがこの国の習慣みたいね。だから、杏奈さんは色々な男性と定期的に会っているのだわ。あっ! でも既婚者は危険だから、三ヶ月以上は会ってはいけない……? うん? だったら、未婚の男性に貢いで貰えば良いのでは?」

 ローサフェミリアは、さっそく井上と言う男とさようならをする事にした。

 ローサフェミリアは、今井上と食事をしている。

「杏奈ちゃん。これ……杏奈ちゃんが欲しがっていた靴」

「まあ。ありがとうございます」

 ローサフェミリアは受け取っていいのかしら? と思ったが、最後なのでありがたく頂戴した。

 食事の後は解散なので、駅の方に歩いて行こうとするローサフェミリア。

「杏奈ちゃん、今日はこっちに行こう」

「えっ? はい」

 少し戸惑った顔をしたローサフェミリアだったが、最後なのでついて行く事にした。

「あの……ここは……?」

「今夜は杏奈ちゃんと一晩ゆっくり過ごそうと思って」

 井上が連れて来た場所はホテルだった。
 焦るローサフェミリアは、必死に杏奈の記憶を探った。

 ホテルに連れ込まれないように、うまく断る。
 交渉が成立しない場合は、急所を蹴って逃げる事。

「井上さん、ごめんなさい。今日は井上さんとお別れしようと思ったの。奥様に申し訳なくて……」

 だいぶお嬢様言葉が抜けてきたローサフェミリア。

「妻は気づいていないから大丈夫だ。さあ、行こう」

「でも、私……そう言うのはちょっと……」

「私が君にいったいいくら使ったと思っているんだ」

 豹変する井上。

「えっ?」

 ローサフェミリアは杏奈の記憶を見た。
 お父様が私にいつも使っている金額よりずっと少ないわ。
 せっかくなので、最近ドラマを観て覚えた言葉を使う事にした。

「はした金よ」

「はし? なっ、私がどれだけ使ったと思って! とにかく、一緒に来い」

 井上はローサフェミリアの腕を掴もうとするが、かわされ急所を蹴られた。

「いで!」

「井上さん永遠にさようなら。お元気で」

 ローサフェミリアは痛くて動けない井上に向って、笑顔で手を振り去って行った。

 家に帰ったローサフェミリアは貰った靴を開けてみる。
 靴底が赤くてヒールが高い靴だった。

「この靴で歩いたら足が痛くなりそうね……」

 こうして、井上から貰った靴はお蔵入りとなった。
 ローサフェミリアは杏奈が後でお金に変える為にこの靴を欲しがった事に、気づいていなかった。

 それからローサフェミリアは、既婚者の知人男性と片っ端からさようならをした。
 その男性達は皆、杏奈が欲しいと言っていた物を持って来ていたので、ローサフェミリアは最後なのでありがたく頂戴した。

 今ローサフェミリアの身近な男性は、佐々木と悠二と亮太と和哉になった。
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