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一、海外出張
(三)
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プロジェクトの都合で、ベイエリアに来て、もう、三ヶ月近くになるだろうか。ベイエリアとは、サンフランシスコ湾岸地域のことで、地元ではこう呼ばれている。
芳野が働いていた会社は、某大手商社の系列会社でシステム開発を生業としていた。
商社を親会社としていたので、商社が立ち上げた案件や関係する案件に絡む開発案件の発注もよく請け負っていた。今回も、親会社から降って来た案件に関係するプロジェクトであった。
親会社の商社は、アメリカのあるベンチャー企業に投資していたのだが、そのベンチャー企業は、文書の画像をスキャンして文字データに起こすプログラムの特許を持っていた。そして、その特許を利用したシステムの開発を行っていたのだが、今度、日本向けにカスタマイズしようと企画して、開発を手伝ってくれる要員の手配を投資元の商社に依頼してきたのだ。但し、作業場は日本ではなく現地だった。
親会社からの発注なので、断ると言う選択肢は、なかなか採りづらかったが、普段、国内企業向けのシステム開発しか行っていないうえに、半年という長期の米国滞在を前提とする開発作業に割り振れる要員は社内ではなかなか見つからなかった。何人かの社員に打診したが、一、二週間ならともかく半年ともなると皆尻込みをして難色を示してきたらしい。で、芳野のもとにお鉢が回って来たというわけだった。
まず、直属の上司であるプロジェクトリーダから打診を受けた。芳野は、この時、はっきりと断りの言葉を口にせず、曖昧に言葉を濁したが、これがいけなかったのか、数日後に、今度は部長がやって来て、半ば、強制的な物言いで海外出張に行くことを強く勧めてきた。上司と部下の関係なので、業務命令となれば行かざるを得ないのだが、いきなり、その形を採らなかったのは、後々のトラブルの防止のために、まず、形だけでも、直接、社員の意志を確認して了承を取った形にしてからということだったのかもしれない。
ただ、このときに芳野が言われたのは、単に、アメリカでシステム開発を手伝ってくれということだけで、業務内容や作業場所など、詳しいことは一切説明されなかった。
芳野は、本当のところを言えば、行きたくはなかったのだが、しかし、この時、芳野は、運悪く、どのプロジェクトにも配属されていないフリーの状態で、しかも、外国語学部を出ていて英語の読み書きはそこそこできることは上司も認識していて、更に、これが一番の理由かもしれないが、三十半ばにもなるのに未だ独身で身軽な身であったのだ。
芳野は、部長に説得されて、角を立てずに断れる理由も思い浮かばず、結局、海外行きを了承することになった。
芳野が働いていた会社は、某大手商社の系列会社でシステム開発を生業としていた。
商社を親会社としていたので、商社が立ち上げた案件や関係する案件に絡む開発案件の発注もよく請け負っていた。今回も、親会社から降って来た案件に関係するプロジェクトであった。
親会社の商社は、アメリカのあるベンチャー企業に投資していたのだが、そのベンチャー企業は、文書の画像をスキャンして文字データに起こすプログラムの特許を持っていた。そして、その特許を利用したシステムの開発を行っていたのだが、今度、日本向けにカスタマイズしようと企画して、開発を手伝ってくれる要員の手配を投資元の商社に依頼してきたのだ。但し、作業場は日本ではなく現地だった。
親会社からの発注なので、断ると言う選択肢は、なかなか採りづらかったが、普段、国内企業向けのシステム開発しか行っていないうえに、半年という長期の米国滞在を前提とする開発作業に割り振れる要員は社内ではなかなか見つからなかった。何人かの社員に打診したが、一、二週間ならともかく半年ともなると皆尻込みをして難色を示してきたらしい。で、芳野のもとにお鉢が回って来たというわけだった。
まず、直属の上司であるプロジェクトリーダから打診を受けた。芳野は、この時、はっきりと断りの言葉を口にせず、曖昧に言葉を濁したが、これがいけなかったのか、数日後に、今度は部長がやって来て、半ば、強制的な物言いで海外出張に行くことを強く勧めてきた。上司と部下の関係なので、業務命令となれば行かざるを得ないのだが、いきなり、その形を採らなかったのは、後々のトラブルの防止のために、まず、形だけでも、直接、社員の意志を確認して了承を取った形にしてからということだったのかもしれない。
ただ、このときに芳野が言われたのは、単に、アメリカでシステム開発を手伝ってくれということだけで、業務内容や作業場所など、詳しいことは一切説明されなかった。
芳野は、本当のところを言えば、行きたくはなかったのだが、しかし、この時、芳野は、運悪く、どのプロジェクトにも配属されていないフリーの状態で、しかも、外国語学部を出ていて英語の読み書きはそこそこできることは上司も認識していて、更に、これが一番の理由かもしれないが、三十半ばにもなるのに未だ独身で身軽な身であったのだ。
芳野は、部長に説得されて、角を立てずに断れる理由も思い浮かばず、結局、海外行きを了承することになった。
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