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第3章 白亜の大神殿
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残された大神官は菓子を無造作に手に取ると口に放り込んだ。
「うん、うまい! 君もどう?」
「あ、はぁ、いただきます……」
威厳も何もない、まるで子供のような表情を見せる大神官に勧められるまま、高級そうな菓子を受け取った。
大神官は菓子を食べ終わると茶をすすり、声を潜めた。
「実は代々の大神官たちに申し渡されている命令がある」
「……?」
「邪神復活、あるいは勇者復活に関する兆候があれば、すぐに王宮に上申しなくてはならない」
「え……?」
ティナは目を瞬いた。
「これが本当に勇者の剣ならば、勇者の復活の兆候と言える」
「ゆ……!」
声を上げそうになったティナの口に、大神官は慌てて菓子を詰め込んだ。
「もごご……」
「しぃ! このことはまだ内密に。君だって得体のしれない連中につけ狙われたりするのは嫌だろう?」
「うぐぅ……」
確かにそうだ、これが本当に勇者の剣だというのならば、それを扱えるティナの位置づけは難しいものとなる。本当に勇者なのか? あるいは、この剣はただの怪しげな魔剣という可能性もある。いずれにせよ、覚醒前の勇者の命を狙って、あるいは高い値段で売れそうなアイテムを狙って、犯罪者が寄り付いてくる恐れもある。そんな面倒は避けられるものならば避けておきたい。
ティナは口に放り込まれた菓子をゆるゆると噛み下した。
「本物なんですか……?」
大神官は肩をすくめた。
「よくわからない。ただのアーティファクトなら、手に入れてラッキー!くらいで済むんだがなあ……」
「軽いですね?」
「えぇ? それ以外に言いようがないだろ? 本来ならそんなアイテムはダンジョン深層に潜ったり、死ぬほど面倒な思いをしてドラゴンでも倒すほか、手に入らないからなあ」
「うぅん、まあ、そうかもしれませんが」とティナも認めた。
「とりあえず、確かめようと思う」
「……?」
「勇者と旅したパーティーメンバーが存命だからな」と言って彼は複雑な表情をちらりと見せた。「……城下の治療院に私を監視しているエルフがいる。そいつなら、隠れ里にいる父に連絡を取れるはずだ。君の剣を見てもらおうと思う」
「……なるほど」
「君も気を付けた方がいい。ただでさえ、派手な代物だからな!」と言って立ち上がると、彼は何か思いついたように付け加えた。「ああ、ちょっと、ここで待っていてくれないか?」
「は? え?」
ティナが聞き返そうとするのを後目に、大神官は足早に応接室を出て行ってしまった。残されたティナはテーブルに置かれたままになっている剣を見下ろした。
「ねえ、あんた、何者なの? 本当にそんな、大層な物なの?」
剣は応えずに微かな唸りを放っている。
直に大神官が応接室に戻ってきた。手には使い込まれた剣が握られている。彼が若かったころのものなのだろうか、刀身はやや短めで長身な大神官には少し短い印象だ。
「その剣は手入れをしない限り、ただの撲殺武器だ! 羊皮紙を全部剥がしてから、研いでやる必要があるだろう。これを使うといい」
大神官はティナにその剣を手渡した。
「母の形見だ」
「え! そんな大切な物……」
「母もパーティーメンバーだったんだよ。この剣の持ち主を護るためなら」と魔剣を示し、「きっと喜んで働いてくれる。だから護身用に使ってくれ」
そこまで言われてしまえば断りにくい。剣が見せた夢の中で、エルフ男性と共にいた気の強そうな女戦士が、どうやらキースの母親らしい。ティナは大神官から剣を受け取った。
「ありがとうございます……」
大神官はにっこりと笑った。
「うん、うまい! 君もどう?」
「あ、はぁ、いただきます……」
威厳も何もない、まるで子供のような表情を見せる大神官に勧められるまま、高級そうな菓子を受け取った。
大神官は菓子を食べ終わると茶をすすり、声を潜めた。
「実は代々の大神官たちに申し渡されている命令がある」
「……?」
「邪神復活、あるいは勇者復活に関する兆候があれば、すぐに王宮に上申しなくてはならない」
「え……?」
ティナは目を瞬いた。
「これが本当に勇者の剣ならば、勇者の復活の兆候と言える」
「ゆ……!」
声を上げそうになったティナの口に、大神官は慌てて菓子を詰め込んだ。
「もごご……」
「しぃ! このことはまだ内密に。君だって得体のしれない連中につけ狙われたりするのは嫌だろう?」
「うぐぅ……」
確かにそうだ、これが本当に勇者の剣だというのならば、それを扱えるティナの位置づけは難しいものとなる。本当に勇者なのか? あるいは、この剣はただの怪しげな魔剣という可能性もある。いずれにせよ、覚醒前の勇者の命を狙って、あるいは高い値段で売れそうなアイテムを狙って、犯罪者が寄り付いてくる恐れもある。そんな面倒は避けられるものならば避けておきたい。
ティナは口に放り込まれた菓子をゆるゆると噛み下した。
「本物なんですか……?」
大神官は肩をすくめた。
「よくわからない。ただのアーティファクトなら、手に入れてラッキー!くらいで済むんだがなあ……」
「軽いですね?」
「えぇ? それ以外に言いようがないだろ? 本来ならそんなアイテムはダンジョン深層に潜ったり、死ぬほど面倒な思いをしてドラゴンでも倒すほか、手に入らないからなあ」
「うぅん、まあ、そうかもしれませんが」とティナも認めた。
「とりあえず、確かめようと思う」
「……?」
「勇者と旅したパーティーメンバーが存命だからな」と言って彼は複雑な表情をちらりと見せた。「……城下の治療院に私を監視しているエルフがいる。そいつなら、隠れ里にいる父に連絡を取れるはずだ。君の剣を見てもらおうと思う」
「……なるほど」
「君も気を付けた方がいい。ただでさえ、派手な代物だからな!」と言って立ち上がると、彼は何か思いついたように付け加えた。「ああ、ちょっと、ここで待っていてくれないか?」
「は? え?」
ティナが聞き返そうとするのを後目に、大神官は足早に応接室を出て行ってしまった。残されたティナはテーブルに置かれたままになっている剣を見下ろした。
「ねえ、あんた、何者なの? 本当にそんな、大層な物なの?」
剣は応えずに微かな唸りを放っている。
直に大神官が応接室に戻ってきた。手には使い込まれた剣が握られている。彼が若かったころのものなのだろうか、刀身はやや短めで長身な大神官には少し短い印象だ。
「その剣は手入れをしない限り、ただの撲殺武器だ! 羊皮紙を全部剥がしてから、研いでやる必要があるだろう。これを使うといい」
大神官はティナにその剣を手渡した。
「母の形見だ」
「え! そんな大切な物……」
「母もパーティーメンバーだったんだよ。この剣の持ち主を護るためなら」と魔剣を示し、「きっと喜んで働いてくれる。だから護身用に使ってくれ」
そこまで言われてしまえば断りにくい。剣が見せた夢の中で、エルフ男性と共にいた気の強そうな女戦士が、どうやらキースの母親らしい。ティナは大神官から剣を受け取った。
「ありがとうございます……」
大神官はにっこりと笑った。
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