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敵だらけじゃないかしら…
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ヴィクトリアは今日もまたバルコニーに出て夜空を見上げながら小説の中の相関図を頭に描いていた。
我が国メープル王国の王太子であるアレクセイ。その側近がいつも鋭い眼差しを向けてくるレイモンド。
まだあどけなさが残るアナスタージアは側妃。
この3人はいつも一緒に居る為に扱いは楽である。問題はそれ以外。何せヴィクトリアの記憶にある名前と本人を一致させるのが困難を極めている。
…だって小説を読んでたんだから、顔まで知らないし。
頭を悩ますヴィクトリア。
ルシャード・バーナディン。ヴィクトリアに婚約者を奪われたステファニーの義理の兄。この男にはさぞや恨まれているであろう。ヴィクトリアは日々この国で宰相を務めるバーナディン公爵家の跡取り息子ルシャード・バーナディンを探していた。探していると言ってもいざ目の前にしても何も出来ることは無い。小説の中のヴィクトリアがしでかした事とはいえ、関係ないとは思えないヴィクトリアである。
こうして長い夜が更けていくのがヴィクトリア日常であった。
『レイ、ヴィクトリアの動きはどうだ?まだ記憶喪失中なのか?』
アレクセイが実務の手を止めレイモンドを見上げると
『あぁ絶賛継続中だよ。ってかいつまで続けるつもりだ?あの女狐。』
レイモンドは怒りを顕に徐ろにソファに沈んだ。
『でも妃殿下は執務を再開されもはや私の出番は無さそうですわ。』
アナスタージアは小さく微笑むと少し俯いた。
『いやいつまで保つか…すぐにアナスタージアにはこれまで通り執務をお願いすることになるさ。それまではゆっくりしているといいよ。』
アレクセイは優しく微笑むとアナスタジアの肩をポンポンと叩いた。
そんな事を言われている事とは知らず新生ヴィクトリアは今日も執務に励んでいた。
『レオン、どうしてマーサ伯爵家への支援金がこれほど多額なの?』
ヴィクトリアは帳簿を眺めながらレオンに視線を向けるとレオンは今更ながら呆れた様子で
『どうしてと言われましても…マーサ伯爵家は妃殿下のご実家ですからね。』
『私の実家というだけでこれほど多額な金額が毎月動くの?』
…。
黙りこくるレオンに対して尚も
『特別な働きも見られないし打ち切っちゃったらいいじゃい?』
…打ち切っちゃったらってねえ。
不思議そうにヴィクトリアを見るレオン。
『こんな所に流れるくらいならもっと有意義に使うべきよ。ほら、先日話した小さく貧しい領地ながら懸命に働く者に使われるべきだわ。そもそも私が妃になった事で生まれた予算でしょう?ならば私の意向が受け入れられるべきじゃい?』
『…。そう言われましてもマーサ伯爵家が黙ってはいませんよ。』
キョトンとするヴィクトリアにレオンは
『それに殿下が何と言われるか…妃殿下の一存では…』
それを聞き終えるまでもなくヴィクトリアは席を立つと
『行くわよ。』
執務室を後にした。急いで後を追うレオンは己の発言を責めた。
何故ならヴィクトリアが向かった先は王太子執務室であったからだ。
…勘弁してくれよ。
レオンの思い虚しくその扉は開かれた。
招かねざる客を迎えた王太子執務室では先ずレイモンドが立ち上がると
『何用でしたか?前触れを頂きませんと…』
レイモンドはアレクセイと目配せをすると
『申し訳ありません。すぐに済みますから。』
アレクセイの表情を見てレイモンドはヴィクトリアをソファへ促した。
アレクセイはソファに腰を下ろすと
『で?なにかな?』
ヴィクトリアは記憶の中のアレクセイを思い起こすと
…ヴィクトリアに御執心だったのよね?
半信半疑になりながらも
『単刀直入に申します。マーサ伯爵家への支援金を打ち切りたいと思いまして。』
レイモンドとアレクセイは怪訝そうに顔を合わせた。
『妃殿下、妃殿下へのご実家への支援金を打ち切るとは?』
『特段何の働きもしていない伯爵家への支援金など必要あります?』
…。
『君のご実家だろ?』
『それが?』
…。
レイモンドとアレクセイは尽く打ち返されるヴィクトリアからの返球に戸惑いを見せていた。
「その分他に回したい所がありますの。」
にっこりと微笑むヴィクトリアの視線に不覚にも2人は顔を赤らめたのであった。
我が国メープル王国の王太子であるアレクセイ。その側近がいつも鋭い眼差しを向けてくるレイモンド。
まだあどけなさが残るアナスタージアは側妃。
この3人はいつも一緒に居る為に扱いは楽である。問題はそれ以外。何せヴィクトリアの記憶にある名前と本人を一致させるのが困難を極めている。
…だって小説を読んでたんだから、顔まで知らないし。
頭を悩ますヴィクトリア。
ルシャード・バーナディン。ヴィクトリアに婚約者を奪われたステファニーの義理の兄。この男にはさぞや恨まれているであろう。ヴィクトリアは日々この国で宰相を務めるバーナディン公爵家の跡取り息子ルシャード・バーナディンを探していた。探していると言ってもいざ目の前にしても何も出来ることは無い。小説の中のヴィクトリアがしでかした事とはいえ、関係ないとは思えないヴィクトリアである。
こうして長い夜が更けていくのがヴィクトリア日常であった。
『レイ、ヴィクトリアの動きはどうだ?まだ記憶喪失中なのか?』
アレクセイが実務の手を止めレイモンドを見上げると
『あぁ絶賛継続中だよ。ってかいつまで続けるつもりだ?あの女狐。』
レイモンドは怒りを顕に徐ろにソファに沈んだ。
『でも妃殿下は執務を再開されもはや私の出番は無さそうですわ。』
アナスタージアは小さく微笑むと少し俯いた。
『いやいつまで保つか…すぐにアナスタージアにはこれまで通り執務をお願いすることになるさ。それまではゆっくりしているといいよ。』
アレクセイは優しく微笑むとアナスタジアの肩をポンポンと叩いた。
そんな事を言われている事とは知らず新生ヴィクトリアは今日も執務に励んでいた。
『レオン、どうしてマーサ伯爵家への支援金がこれほど多額なの?』
ヴィクトリアは帳簿を眺めながらレオンに視線を向けるとレオンは今更ながら呆れた様子で
『どうしてと言われましても…マーサ伯爵家は妃殿下のご実家ですからね。』
『私の実家というだけでこれほど多額な金額が毎月動くの?』
…。
黙りこくるレオンに対して尚も
『特別な働きも見られないし打ち切っちゃったらいいじゃい?』
…打ち切っちゃったらってねえ。
不思議そうにヴィクトリアを見るレオン。
『こんな所に流れるくらいならもっと有意義に使うべきよ。ほら、先日話した小さく貧しい領地ながら懸命に働く者に使われるべきだわ。そもそも私が妃になった事で生まれた予算でしょう?ならば私の意向が受け入れられるべきじゃい?』
『…。そう言われましてもマーサ伯爵家が黙ってはいませんよ。』
キョトンとするヴィクトリアにレオンは
『それに殿下が何と言われるか…妃殿下の一存では…』
それを聞き終えるまでもなくヴィクトリアは席を立つと
『行くわよ。』
執務室を後にした。急いで後を追うレオンは己の発言を責めた。
何故ならヴィクトリアが向かった先は王太子執務室であったからだ。
…勘弁してくれよ。
レオンの思い虚しくその扉は開かれた。
招かねざる客を迎えた王太子執務室では先ずレイモンドが立ち上がると
『何用でしたか?前触れを頂きませんと…』
レイモンドはアレクセイと目配せをすると
『申し訳ありません。すぐに済みますから。』
アレクセイの表情を見てレイモンドはヴィクトリアをソファへ促した。
アレクセイはソファに腰を下ろすと
『で?なにかな?』
ヴィクトリアは記憶の中のアレクセイを思い起こすと
…ヴィクトリアに御執心だったのよね?
半信半疑になりながらも
『単刀直入に申します。マーサ伯爵家への支援金を打ち切りたいと思いまして。』
レイモンドとアレクセイは怪訝そうに顔を合わせた。
『妃殿下、妃殿下へのご実家への支援金を打ち切るとは?』
『特段何の働きもしていない伯爵家への支援金など必要あります?』
…。
『君のご実家だろ?』
『それが?』
…。
レイモンドとアレクセイは尽く打ち返されるヴィクトリアからの返球に戸惑いを見せていた。
「その分他に回したい所がありますの。」
にっこりと微笑むヴィクトリアの視線に不覚にも2人は顔を赤らめたのであった。
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