『婚約破棄から始まる物語』へ転生したってか?【完】

mako

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仲違いする山賊

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「頭、何だかやべぇ気がする。ちゃっちゃとバラしてずらかりましょうぜ。」


…この男、鋭いわ。出来る男だわ。


この場に於いてヴィクトリアは素直に感心している。


「だいたいただの令嬢じゃねえぜ。この女。普通なら泣き叫ぶんじゃね?」


「いや、ただの田舎の没落令嬢なんてこんなもんじゃねえ?」


「面白え女じゃねえか?」


好き勝手に話す男らを眺めていた頭であろう男が鋭い嗅覚を発揮するかのように


「静まれ。」


流石は頭。男の一言で辺りは静まり返ると遠くから馬がかけてくる音が近づいてくる。


「早馬だな。静かにしてろよ」


頭はヴィクトリアの首元にナイフを突きつけ警戒を強めた。


「早馬なんてお前たちを助ける暇なんてないんだから無駄な抵抗はするなよ?」


早馬が過ぎ去る音に耳を傾けていると以外にもその足音がこちらに向かってきている。

流石に山賊らはヴィクトリアたちを囲む様に砦を作ると上から駆け下りてくるアレクセイとレイモンドの姿をヴィクトリアは捉えた。


…な、なんで殿下なの?って2人って何?


期待を裏切る光景にヴィクトリアはレオンの顔を浮かべ


…ったく使えないわね。


ヴィクトリアはがっくりと肩を落とした。




「そこまでだ!」


聞いたこともない大きな声を張り上げるのはアレクセイ。


…殿下、こんな所で何してるのよ。


助けに来た者への言葉ではなかろう。ヴィクトリアは白馬の王子様への期待は皆無である。



山賊らはヴィクトリアらを突き放すと各々剣を突き出すとアレクセイとレイモンドはその輪の中で背中を合わせ剣を構えた。


…格好だけは様になってるわ。


ここにきても安定のヴィクトリア。ヴィクトリアは侍女らを背に後ろに下がった。


ヴィクトリアが見つめる中情勢は以外にもヴィクトリアを裏切っている。次々に倒れ込む山賊らを飛び越え2人は頭であろう男とあのキレる男の前まで追い詰めていた。


「…!」


ヴィクトリアはあまりの光景に驚き目を見開いている。レイモンドはヴィクトリアを横目に


「妃殿下、間抜け面してますよ!」


相変わらず平常運転のレイモンドの言葉に頭は


「妃殿下?」


キレる男は納得の表情でニヤリと口角を上げると素早くヴィクトリアを抱え込むように人質とした。


…やはり出来る男ね。山賊にしておくのは惜しいわ。

ヴィクトリアはまじまじと男を見上げるとアレクセイは


「ヴィ動くな。」

それだけの言うと一気に男を剣で斬りつけた。


動くなと言われたヴィクトリアであったが動くなんて出来るはずもない。恐ろしい経験からその場でカチンコチンに固まっていたかと思えばその場に腰を抜かして倒れ込んだ。


そうしているうちに王宮騎士団長らが一斉に現れると


「殿下!」


総勢何人だろうかヴィクトリアも見たことの無い数の騎士たちが到着するとその中にレオンの姿もあった。


「妃殿下、ご無事でしたか!」



ヴィクトリアは声もなく頷くとその場で意識を手放した。


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