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お説教大歓迎

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『貴女は仮にも王太子妃ですが?』
テオドールがこちらを睨みつけている。

『はい。その通りです』

ってかさ、何で主が執事に睨みつけられてんの?

『あそこでカインが出ていかなければどうなっていた事か‥』

『お代金はお支払いします‥』

『当たり前です。全く貴女は』

そんな時、戻ってきたカインは
『お代の事は気になさらずに、殿下が支払われるそうですので!』

爽やかにに戻ってきた爽やかな青年だと思ったが、お前、殿下に話したの~?使えない‥カイン。


まだまだ続くテオドールのお説教中もカインを睨み続ける私にカインはニッコリ微笑む‥

この微笑み、どっかで見たわ。
‥アルフレッド殿下!こいつも誰にでも優しい王子かよ。


自室に戻り1人になると忘れていたものが蘇る。
東国の人質であるべきなのか、西国のスパイであるべきなのか。

両国を天秤に掛けている自分に気付いた。そう、西国が私とクラウディア様を天秤に掛けた様に。結局は同じ。私も西国の人間になのだ。心を清めたくなり部屋を出て、かつての皇帝の絵姿が掛けられている広間へ向かう。

暗い王宮に響く足音。静まり返る王宮にかつての皇帝は凛と立つ。オリビア帝国は確かにあった。そして私にも流れているオリビアの血。触れられる距離にあるそれに手を伸ばす事は憚られる。
伸ばした手を誰か掴み、それに手を置く。

驚いて振り返ると、そこにはまるで絵姿からそのまま出てきた様な、ハインリッヒ殿下が居た。

『何をしている?夜は冷えるぞ』

私の手を取り部屋に戻る。
その背中は大きく西国など、太刀打ち出来ないであろう。全てを話せば戦争になる。だからってこの手を離す事は何故か出来ない。

この国に来て痛感している。西国との差。この国は控え目に言っても、素晴らしい。今日の市場でもそう。西国しか知らない私に沢山の感動を与えてくれる。この国を押し退けて西国が帝国に成り代わるなど所詮は夢物語なのであろう。

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