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告白
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その夜、いつもの通りにリデュアンネの待つ部屋にハインリッヒは訪れた。
穏やかな表情のハインリッヒはリデュアンネに問う。
『心が軽くなったであろうか?』
静かに頷くリデュアンネに
『では、私の心も吐き出してもよいか?』
あれ程の苦しみから救ってくれたハインリッヒのお願いに困惑しながらも首を縦にふる。
『私でよろしければ』
どれだけの時間だろうか、沈黙の後ハインリッヒはこう告げた。
『私は東国王太子ではない‥』
‥冗談を言ってる風にも見えない。
『と言いますと?どなたか王太子でございましょうか?』
『いや、正確には居ない。というか私。』
『殿下、話がみえません。』
『母上と西国国王が元々婚約者同士なのは聞いたよね?』
『はい。』
『母上は婚約者である、今の西国国王とは政略結婚ながら本当に愛していた。二人は誰よりもかつての皇帝、かつての栄光を誇るオリビア帝国の復活を願っていらっしゃった。そこで秘密裏に手をまわし、行く行くは二人で成し遂げるべく動いておられた。そんな中、その動きに感づいた連中がいたのだ。帝国が復活すれば困る輩だ。』
『‥貴族ね。』
『2つの国があればポジションも2つあるがそれが一つとなれば、今までの様に好き勝手はできまい。まして敗戦国とされている西国には分が悪いといった所か。そこで当時の王太子の婚約者に母上よりメリットのある他国の王女が充てがわれた。それがアルフレッドの母親だね。』
『私の時と酷似しているわ』
『そんな二人は最後の抵抗を試みた。二人の志を継ぐ子どもを東国王太子とすること。同じ志を持って生まれてくる事を願って。
母上は東国に向かう前日、婚約者と愛し合い子種と共に東国に入ったのだ。
しかし、血を重んじる東国王太子は西国からのお飾りの王太子妃には興味を示さないのを危惧した2人は敢えて、お飾りの王太子妃は1年の白い結婚の後、国に戻り再び結ばれるという約束を風聴したのさ。
そうするとバカにされたと感じる王太子は白い結婚を阻止するため初夜の一回だけ母上を抱き、二度と母上の元へ渡る事は無かったのだ』
『そんな‥』
『で、母上は思惑通り見事に子を宿したのだ』
『‥でもそれでは、殿下が東国王太子ではないと言い切れないのではないですか?』
『それでもそれに賭けるしか無かった。少しでも愛する人との子どもという可能性があるのならば‥そして子どもが授からなかった場合は運命に抗わずお飾りの王太子妃として離宮で暮らす覚悟があったのさ。その話しを初めて聞いた時にはね、私はどちらの子でも構わないと思ってたよ。母上の意志を継げるならば、しかし初めて西国国王とアルフレッドが我が国へ訪れた際確信したよ。幼いアルフレッドは今より私にそっくりであった。私がアルフレッドと真逆な印象があるとすれば、その時からだろうね。』
どんな言葉を紡げばよいのか、逡巡させているリデュアンネにハインリッヒは真っ直ぐ見つめてこう言った。
『気を使わせるつもりはない。ただリデュアンネに知ってもらいたかっただけだから。この事は誰一人知らない。母上と私とリデュアンネだけだ。』
『テオも?』
『あぁ、兄上も知らない。リデュアンネだけだ』
リデュアンネは素直に嬉しかった。
西国からのお飾りだと嫁いだ先でこのように人から扱われるなんて想像もしていなかった。
『わかりました。殿下が西国の王子でも東国の王太子でも平民でも構いませんわ。私が付いてますからご安心を。市場での物売り得意ですから、お任せ下さい!』
『そっか。頼りになる妻だね。』
と言い手を絡ませた。絡ませた手は離れる事なく朝を迎えた。
穏やかな表情のハインリッヒはリデュアンネに問う。
『心が軽くなったであろうか?』
静かに頷くリデュアンネに
『では、私の心も吐き出してもよいか?』
あれ程の苦しみから救ってくれたハインリッヒのお願いに困惑しながらも首を縦にふる。
『私でよろしければ』
どれだけの時間だろうか、沈黙の後ハインリッヒはこう告げた。
『私は東国王太子ではない‥』
‥冗談を言ってる風にも見えない。
『と言いますと?どなたか王太子でございましょうか?』
『いや、正確には居ない。というか私。』
『殿下、話がみえません。』
『母上と西国国王が元々婚約者同士なのは聞いたよね?』
『はい。』
『母上は婚約者である、今の西国国王とは政略結婚ながら本当に愛していた。二人は誰よりもかつての皇帝、かつての栄光を誇るオリビア帝国の復活を願っていらっしゃった。そこで秘密裏に手をまわし、行く行くは二人で成し遂げるべく動いておられた。そんな中、その動きに感づいた連中がいたのだ。帝国が復活すれば困る輩だ。』
『‥貴族ね。』
『2つの国があればポジションも2つあるがそれが一つとなれば、今までの様に好き勝手はできまい。まして敗戦国とされている西国には分が悪いといった所か。そこで当時の王太子の婚約者に母上よりメリットのある他国の王女が充てがわれた。それがアルフレッドの母親だね。』
『私の時と酷似しているわ』
『そんな二人は最後の抵抗を試みた。二人の志を継ぐ子どもを東国王太子とすること。同じ志を持って生まれてくる事を願って。
母上は東国に向かう前日、婚約者と愛し合い子種と共に東国に入ったのだ。
しかし、血を重んじる東国王太子は西国からのお飾りの王太子妃には興味を示さないのを危惧した2人は敢えて、お飾りの王太子妃は1年の白い結婚の後、国に戻り再び結ばれるという約束を風聴したのさ。
そうするとバカにされたと感じる王太子は白い結婚を阻止するため初夜の一回だけ母上を抱き、二度と母上の元へ渡る事は無かったのだ』
『そんな‥』
『で、母上は思惑通り見事に子を宿したのだ』
『‥でもそれでは、殿下が東国王太子ではないと言い切れないのではないですか?』
『それでもそれに賭けるしか無かった。少しでも愛する人との子どもという可能性があるのならば‥そして子どもが授からなかった場合は運命に抗わずお飾りの王太子妃として離宮で暮らす覚悟があったのさ。その話しを初めて聞いた時にはね、私はどちらの子でも構わないと思ってたよ。母上の意志を継げるならば、しかし初めて西国国王とアルフレッドが我が国へ訪れた際確信したよ。幼いアルフレッドは今より私にそっくりであった。私がアルフレッドと真逆な印象があるとすれば、その時からだろうね。』
どんな言葉を紡げばよいのか、逡巡させているリデュアンネにハインリッヒは真っ直ぐ見つめてこう言った。
『気を使わせるつもりはない。ただリデュアンネに知ってもらいたかっただけだから。この事は誰一人知らない。母上と私とリデュアンネだけだ。』
『テオも?』
『あぁ、兄上も知らない。リデュアンネだけだ』
リデュアンネは素直に嬉しかった。
西国からのお飾りだと嫁いだ先でこのように人から扱われるなんて想像もしていなかった。
『わかりました。殿下が西国の王子でも東国の王太子でも平民でも構いませんわ。私が付いてますからご安心を。市場での物売り得意ですから、お任せ下さい!』
『そっか。頼りになる妻だね。』
と言い手を絡ませた。絡ませた手は離れる事なく朝を迎えた。
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