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招かねざる客
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ハインリッヒがアルフレッドに適切な処罰を求めて帰国してから、3ヶ月がたった頃、アルフレッドがオブライアン公爵と共に東国にやってきた。
『ご無沙汰しております』
アルフレッド殿下とオブライアン公爵が礼を取る。
ハインリッヒはしばらく二人を眺めてから、静かに言葉を発した。
『よい』
顔を上げた二人は、ニヤリと口角を上げる。
『アルフレッド殿下、私は早々に手を打てと申したはずだが?』
怪訝そうに問う。
『状況が少々変わりまして‥』
嫌な笑みを浮かべアルフレッドが答える。
『ほう‥で?』
『実はですね』
同じく薄気味悪い笑顔のオブライアン公爵が口を開くと遮るように、
『発言を許可しておらんが』
悔しそうに口を一文字に結び公爵はうつむいた。
アルフレッドが続ける。
『実はですね、公爵を処罰する為こちらでも様々な調査を行いました所に面白い事実が発覚しましたのでまずはご報告をと‥』
『勿体振るな‥』
『ご存知かとは存じますが、西国国王すなわち私の父上でございますが父には元々婚約者がおりました。それが私とリデュの様に東国の要求により切り離されたと言うわけです。政略結婚を理解はしているものの、愛し合う二人は結ばれ、婚約者は私の父の子種を腹にたっぷり注ぎ、東国に入ったのです。』
『ほう‥』
『そして見事に子を宿し、東国王子として発表したのです。そう、その時の子供こそが貴方でございます。貴方は東国陛下のお子では無く、私の父の子。いわゆる私の兄上となります。しかし貴方の母親は西国候爵令嬢、後に東国王妃となられたお方。我が国からすれば、貴方は庶子です。王位継承権はない。お分かりですか?貴方は私の家臣でもあります。』
『‥愚かな。愚かなとは思っておったがここまでとはな。ならばそれをどう証明する?』
待ってましたの如くオブライアン公爵が口を開く。
『証明など必要ありますでしょうか?東国は何より血を大事にしておられる。この話が漏れれば真意よりも噂が先走るでしょうな。して、帝国復活際に西国の庶子が皇帝になることを許すでありましょうか?もはや生粋の王太子はアルフレッド殿下のみにございます。』
『‥私を脅すというのか?』
氷の表情のハインリッヒに対し
『いえ、ご忠告に過ぎません』
笑顔で答えるアルフレッド。
『では、どうでしょう?王妃に問うてみては』
ニヤリと笑うオブライアン公爵。
これは相当の不敬である。不敬罪として二人の身柄を拘束しても良い案件。しかしハインリッヒはそうはしなかった。
『では、母上をお呼びするとなれば私の父上とやらの西国国王もを召喚する。』
厳しい口調で続けるハインリッヒ。
『お前達の話は理解した。故に問う。仮にお前達の話が真実とした場合、西国は東国を騙していた事となる。それも王位継承に関わる事だ。我が国では極刑となるが、その責任はまさか候爵令嬢のみとは行かぬ。西国としてどのように責任を取るつもりだ?』
‥答えられぬアルフレッドに代わりオブライアン公爵が
『我が国の最高責任者が判断いたします。』
『ほう、アルフレッド殿下は父親の首を持ってここに来たと言う事だな?』
‥
静まり返る空気。
『西国国王をすぐに召喚せよ。同時に東国陛下より王命を発令する様手配しろ!』
響き渡る声。
ハインリッヒの言葉と同時に側近が部屋を飛び出した。
『ご無沙汰しております』
アルフレッド殿下とオブライアン公爵が礼を取る。
ハインリッヒはしばらく二人を眺めてから、静かに言葉を発した。
『よい』
顔を上げた二人は、ニヤリと口角を上げる。
『アルフレッド殿下、私は早々に手を打てと申したはずだが?』
怪訝そうに問う。
『状況が少々変わりまして‥』
嫌な笑みを浮かべアルフレッドが答える。
『ほう‥で?』
『実はですね』
同じく薄気味悪い笑顔のオブライアン公爵が口を開くと遮るように、
『発言を許可しておらんが』
悔しそうに口を一文字に結び公爵はうつむいた。
アルフレッドが続ける。
『実はですね、公爵を処罰する為こちらでも様々な調査を行いました所に面白い事実が発覚しましたのでまずはご報告をと‥』
『勿体振るな‥』
『ご存知かとは存じますが、西国国王すなわち私の父上でございますが父には元々婚約者がおりました。それが私とリデュの様に東国の要求により切り離されたと言うわけです。政略結婚を理解はしているものの、愛し合う二人は結ばれ、婚約者は私の父の子種を腹にたっぷり注ぎ、東国に入ったのです。』
『ほう‥』
『そして見事に子を宿し、東国王子として発表したのです。そう、その時の子供こそが貴方でございます。貴方は東国陛下のお子では無く、私の父の子。いわゆる私の兄上となります。しかし貴方の母親は西国候爵令嬢、後に東国王妃となられたお方。我が国からすれば、貴方は庶子です。王位継承権はない。お分かりですか?貴方は私の家臣でもあります。』
『‥愚かな。愚かなとは思っておったがここまでとはな。ならばそれをどう証明する?』
待ってましたの如くオブライアン公爵が口を開く。
『証明など必要ありますでしょうか?東国は何より血を大事にしておられる。この話が漏れれば真意よりも噂が先走るでしょうな。して、帝国復活際に西国の庶子が皇帝になることを許すでありましょうか?もはや生粋の王太子はアルフレッド殿下のみにございます。』
『‥私を脅すというのか?』
氷の表情のハインリッヒに対し
『いえ、ご忠告に過ぎません』
笑顔で答えるアルフレッド。
『では、どうでしょう?王妃に問うてみては』
ニヤリと笑うオブライアン公爵。
これは相当の不敬である。不敬罪として二人の身柄を拘束しても良い案件。しかしハインリッヒはそうはしなかった。
『では、母上をお呼びするとなれば私の父上とやらの西国国王もを召喚する。』
厳しい口調で続けるハインリッヒ。
『お前達の話は理解した。故に問う。仮にお前達の話が真実とした場合、西国は東国を騙していた事となる。それも王位継承に関わる事だ。我が国では極刑となるが、その責任はまさか候爵令嬢のみとは行かぬ。西国としてどのように責任を取るつもりだ?』
‥答えられぬアルフレッドに代わりオブライアン公爵が
『我が国の最高責任者が判断いたします。』
『ほう、アルフレッド殿下は父親の首を持ってここに来たと言う事だな?』
‥
静まり返る空気。
『西国国王をすぐに召喚せよ。同時に東国陛下より王命を発令する様手配しろ!』
響き渡る声。
ハインリッヒの言葉と同時に側近が部屋を飛び出した。
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