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南帝国での夜会
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カイザルとフランシスを歓迎する夜会は綺羅びやかな南帝国の皇宮で執り行われた。
2人の登場に一斉に注がれる視線。
1人は前大帝国第2王子。相変わらずの無愛想ながらそれでも一定のファンは付いている。久々に見るカイザルは色気も増し真っ黒な髪にシルバーグレーの瞳に吸い込まれそうになる令嬢たち。
もう1人は幻の姫、マリラン王国第1王女のフランシスである。王女とは思えぬ風格…。まるでデビュタントを迎える前の少女のような雰囲気に会場はざわめきついた。
王女という近寄り難いオーラは無く、天真爛漫に破顔させる笑顔に殿方らは好感を抱き、令嬢らは眉をひそめている。
カイザルは久々の再会に珍しく楽しそうに話し込んでいるのを横目にフランシスは会場の雰囲気を楽しんでいた。
そこへ北帝国お妃選びから早々に音を上げたステファニーが王女の威厳を放ちながらフランシスの元へとやって来た。
『あら、王女。まだ北帝国にいらしたの?』
フランシスはステファニーを見ると破顔させ
『ステファニー様。お久しぶりです!』
『なあに?マリラン王国は富裕国と聞いてましたが?』
ステファニーはフランシスのドレスを上から下まで見ながら隣の隣国の王女へと話を向けた。
『まあ、このような質素なドレスはここの令嬢でも来ませんわよ?』
2人は北帝国の令嬢らの華やかなドレスに視線を送りながら話し込んでいた。
『そうですか?シンプルながらこちらは、実は…』
『実はなに?勿体付けないで言いなさいよ!』
相変わらずのステファニーにフランシスはにっこり微笑み
『北帝国のモンタナ王国の特産であるシルクなのです!そしてこの花はなんと生花を加工した北帝国ならではの技術の賜なのですよ?皆の思いを纏っておりますので心強いのです!』
…。
少しの沈黙の後、2人の王女は顔を見合わせ笑い出した。
『アハハハ!自国の民の作ったドレスを身に纏う皇后になられるの?』
『なんとまぁ、幻の姫君だけあって考えも珍しいのね~』
楽しそうな2人を前に、よくわからないがフランシスも楽しそうに笑い出した。
…?
いじめる方もいじめられる方が気がついてない事ほどマヌケな物はない。2人は顔をプイっと背けるとおしりを振りながらフランシスの前から姿を消した。
…どうしたのかしら?
フランシスは1人バルコニーへ出て夜風に当たった。大きく深呼吸をすると体に取り込まれる新鮮な空気が美味しい。
『マリラン王女』
フランシスは振り返り声の主を見るも
…確か…?えっとお名前なんだっけ?
フランシスはニコリと笑うと膝を深く折った。
『流石だね、フランシス王女。』
エマニュエルの言葉になんの事?とでも言いだけなフランシスはとりあえずにっこり笑ってエマニュエルを見た。
『王女の縁談はまだ先の事と聞き及んでおりましたが?』
エマニュエルはにこやかにフランシスの隣で微笑むと
『そうなのです。兄が立太子したもので、急ぎ嫁に出される事になりまして』
『そうですか?では、何故北帝国へ?』
『さあ?何でしょうね?こればかりはご縁ですからね』
『今からでも遅くはありませんよ?』
『は?』
エマニュエルの言葉にフランシスは目を点にすると
『王女も北帝国での生活は大変でしょう?慣れ親しんだ南での生活の方が良いに決まってる。』
エマニュエルの笑顔にフランシスは背中がゾクゾクした。
『失礼ながら、皇后陛下は?まだご挨拶もしておりませんの。』
エマニュエルはフランシスから視線を外すと
『離宮での生活を好んでいてね。こういった表舞台には出てこないんだ。』
…つまり幽閉?じゃないわよね?
『まぁ、残念です。』
『だからね?表舞台で私を支えてくれる妃が必要となるわけ。マリラン王女が支えてくれるなら皇后としての椅子を用意するよ?』
…えっと。この人何を言ってるのかしら?頭を整理させて欲しいわ。
『あの、私はカイザル殿下の婚約者ですが?あいにく私は1つの椅子にしか座れませんわ(笑)』
…逃げろ
フランシスは楽しそうに笑いながらバルコニーを後にしようとしたその時エマニュエルがフランシスの腕をガッチリと握り止めた。
『よくお考えになられた方がよろしいかと思いますが?』
フランシスは一瞬真顔になるも、すぐにいつものように微笑むと
『はい、ご忠告ありがとうございます!』
それだけ言うとエマニュエルの手を振り払い会場に戻って行った。
…危ない危ない。危険だわ。あの男。
2人の登場に一斉に注がれる視線。
1人は前大帝国第2王子。相変わらずの無愛想ながらそれでも一定のファンは付いている。久々に見るカイザルは色気も増し真っ黒な髪にシルバーグレーの瞳に吸い込まれそうになる令嬢たち。
もう1人は幻の姫、マリラン王国第1王女のフランシスである。王女とは思えぬ風格…。まるでデビュタントを迎える前の少女のような雰囲気に会場はざわめきついた。
王女という近寄り難いオーラは無く、天真爛漫に破顔させる笑顔に殿方らは好感を抱き、令嬢らは眉をひそめている。
カイザルは久々の再会に珍しく楽しそうに話し込んでいるのを横目にフランシスは会場の雰囲気を楽しんでいた。
そこへ北帝国お妃選びから早々に音を上げたステファニーが王女の威厳を放ちながらフランシスの元へとやって来た。
『あら、王女。まだ北帝国にいらしたの?』
フランシスはステファニーを見ると破顔させ
『ステファニー様。お久しぶりです!』
『なあに?マリラン王国は富裕国と聞いてましたが?』
ステファニーはフランシスのドレスを上から下まで見ながら隣の隣国の王女へと話を向けた。
『まあ、このような質素なドレスはここの令嬢でも来ませんわよ?』
2人は北帝国の令嬢らの華やかなドレスに視線を送りながら話し込んでいた。
『そうですか?シンプルながらこちらは、実は…』
『実はなに?勿体付けないで言いなさいよ!』
相変わらずのステファニーにフランシスはにっこり微笑み
『北帝国のモンタナ王国の特産であるシルクなのです!そしてこの花はなんと生花を加工した北帝国ならではの技術の賜なのですよ?皆の思いを纏っておりますので心強いのです!』
…。
少しの沈黙の後、2人の王女は顔を見合わせ笑い出した。
『アハハハ!自国の民の作ったドレスを身に纏う皇后になられるの?』
『なんとまぁ、幻の姫君だけあって考えも珍しいのね~』
楽しそうな2人を前に、よくわからないがフランシスも楽しそうに笑い出した。
…?
いじめる方もいじめられる方が気がついてない事ほどマヌケな物はない。2人は顔をプイっと背けるとおしりを振りながらフランシスの前から姿を消した。
…どうしたのかしら?
フランシスは1人バルコニーへ出て夜風に当たった。大きく深呼吸をすると体に取り込まれる新鮮な空気が美味しい。
『マリラン王女』
フランシスは振り返り声の主を見るも
…確か…?えっとお名前なんだっけ?
フランシスはニコリと笑うと膝を深く折った。
『流石だね、フランシス王女。』
エマニュエルの言葉になんの事?とでも言いだけなフランシスはとりあえずにっこり笑ってエマニュエルを見た。
『王女の縁談はまだ先の事と聞き及んでおりましたが?』
エマニュエルはにこやかにフランシスの隣で微笑むと
『そうなのです。兄が立太子したもので、急ぎ嫁に出される事になりまして』
『そうですか?では、何故北帝国へ?』
『さあ?何でしょうね?こればかりはご縁ですからね』
『今からでも遅くはありませんよ?』
『は?』
エマニュエルの言葉にフランシスは目を点にすると
『王女も北帝国での生活は大変でしょう?慣れ親しんだ南での生活の方が良いに決まってる。』
エマニュエルの笑顔にフランシスは背中がゾクゾクした。
『失礼ながら、皇后陛下は?まだご挨拶もしておりませんの。』
エマニュエルはフランシスから視線を外すと
『離宮での生活を好んでいてね。こういった表舞台には出てこないんだ。』
…つまり幽閉?じゃないわよね?
『まぁ、残念です。』
『だからね?表舞台で私を支えてくれる妃が必要となるわけ。マリラン王女が支えてくれるなら皇后としての椅子を用意するよ?』
…えっと。この人何を言ってるのかしら?頭を整理させて欲しいわ。
『あの、私はカイザル殿下の婚約者ですが?あいにく私は1つの椅子にしか座れませんわ(笑)』
…逃げろ
フランシスは楽しそうに笑いながらバルコニーを後にしようとしたその時エマニュエルがフランシスの腕をガッチリと握り止めた。
『よくお考えになられた方がよろしいかと思いますが?』
フランシスは一瞬真顔になるも、すぐにいつものように微笑むと
『はい、ご忠告ありがとうございます!』
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