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氷の帝王
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まもなくして帝国からの一行がジュリラン大王国に入った。アナリス大王国の時とは異なり国を挙げて歓迎を見せるもその熱量はすぐに冷え切る事となる。
『え?』
固まるラインハルトを他所に帝国の皇太子の側近であろう男は平然と話した。
『ですからこのジュリランから王女を1人、アナリスから王女を1人娶る事になります。』
顔色1つ変えず淡々と話す男の横に座るのはこれまた能面でも付けているかのように表情すら無い男。この男こそフランツ帝国皇太子フィリップである。相当な美男子ではあるが表情が無い分まるで彫刻のようである。
声を発する事も出来ずジュリラン大王国の3人は固まり続けている。その中で口を開いたのはまさかのオリヴィアであった。
『あの…アナリス大王国は2国から妃をお迎えになられます事をご存知なのでしょうか?』
驚いたステファニーとラインハルトであるが、オリヴィアの問は彼らもまた知りたい事である。
オリヴィアの問に答えたのは先程まで沈黙を貫いていたフィリップであった。フィリップはオリヴィアを射るように凝視すると
『無論。ここに来る前に話して了承を得ている。』
ここに来る前。ということは帝国はこのジュリラン大王国よりも先にアナリス大王国へ入っていたというのだ。その事実はステファニーだけでなくラインハルトも落胆を見せた。1人オリヴィアは頭を巡らせていた。先日アレクセイは出来るならステファニーに嫁いでもらいたいと話していたはず…。どうゆう意図があるのか?
『何か腑に落ちぬ事でもあるか。』
皇太子自らオリヴィアに問うた。
『いいえ、こちらの事ですので』
笑顔で答えた。オリヴィアにとっては目の前のフランツ帝国よりも、己の嫁ぎ先のアナリス大王国が気に掛かるのは当然である。
『ところで我が国に嫁がれる王女は…』
側近の言葉にラインハルトは急ぎ
『大変失礼を致しました。こちらジュリラン大王国第1王女ステファニーです。』
ラインハルトの紹介によりステファニーは立ち上がると見事なカーテシーを披露した。
皇太子はそれを見て納得の頷きをしたかと思うとすぐにオリヴィアに視線を投げて
『なるほどな…。』
感心するようにオリヴィアを眺めた。
『微力ながら必ずや帝国の力になるよう尽力致します。』
ステファニーの言葉に側近は
『ではジュリラン大王国のステファニー様とアナリス大王国王女であるイザベラ様とで帝国に嫁いで頂きどちらかが正妃として、もうひと方には側妃としてお迎えさせて頂きます。』
事務的なまるで申し送りのような言い方ではあるがなんとも残酷な話をしているのだ。
…。
『その、どうやって正妃を決められるのですか?』
ラインハルトの問に皇太子はニヤリと笑い
『さあ、どうしようか…』
素敵な笑みを浮かべた。
『え?』
固まるラインハルトを他所に帝国の皇太子の側近であろう男は平然と話した。
『ですからこのジュリランから王女を1人、アナリスから王女を1人娶る事になります。』
顔色1つ変えず淡々と話す男の横に座るのはこれまた能面でも付けているかのように表情すら無い男。この男こそフランツ帝国皇太子フィリップである。相当な美男子ではあるが表情が無い分まるで彫刻のようである。
声を発する事も出来ずジュリラン大王国の3人は固まり続けている。その中で口を開いたのはまさかのオリヴィアであった。
『あの…アナリス大王国は2国から妃をお迎えになられます事をご存知なのでしょうか?』
驚いたステファニーとラインハルトであるが、オリヴィアの問は彼らもまた知りたい事である。
オリヴィアの問に答えたのは先程まで沈黙を貫いていたフィリップであった。フィリップはオリヴィアを射るように凝視すると
『無論。ここに来る前に話して了承を得ている。』
ここに来る前。ということは帝国はこのジュリラン大王国よりも先にアナリス大王国へ入っていたというのだ。その事実はステファニーだけでなくラインハルトも落胆を見せた。1人オリヴィアは頭を巡らせていた。先日アレクセイは出来るならステファニーに嫁いでもらいたいと話していたはず…。どうゆう意図があるのか?
『何か腑に落ちぬ事でもあるか。』
皇太子自らオリヴィアに問うた。
『いいえ、こちらの事ですので』
笑顔で答えた。オリヴィアにとっては目の前のフランツ帝国よりも、己の嫁ぎ先のアナリス大王国が気に掛かるのは当然である。
『ところで我が国に嫁がれる王女は…』
側近の言葉にラインハルトは急ぎ
『大変失礼を致しました。こちらジュリラン大王国第1王女ステファニーです。』
ラインハルトの紹介によりステファニーは立ち上がると見事なカーテシーを披露した。
皇太子はそれを見て納得の頷きをしたかと思うとすぐにオリヴィアに視線を投げて
『なるほどな…。』
感心するようにオリヴィアを眺めた。
『微力ながら必ずや帝国の力になるよう尽力致します。』
ステファニーの言葉に側近は
『ではジュリラン大王国のステファニー様とアナリス大王国王女であるイザベラ様とで帝国に嫁いで頂きどちらかが正妃として、もうひと方には側妃としてお迎えさせて頂きます。』
事務的なまるで申し送りのような言い方ではあるがなんとも残酷な話をしているのだ。
…。
『その、どうやって正妃を決められるのですか?』
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『さあ、どうしようか…』
素敵な笑みを浮かべた。
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