たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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フランツ帝国へ

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フランツ帝国はジュリラン大王国とアナリス大王国の決定後、速やかに皇太子妃と側妃の披露会を行った。

大陸から挙ってお祝いに駆け付ける各国らを招いて盛大2執り行われた。もちろんアナリス大王国からもアレクセイとオリヴィアが参列している。複雑な面持ちでいるオリヴィアだが、公式の場においてはそんな顔をしていられない。アナリス大王国王太子妃として威厳溢れる対応を遠く壇上からフィリップ皇太子は目を細めながら眺めていた。 

豪華絢爛の会場に、勝るとも劣らぬ色とりどりのドレス、奏でられる音楽は帝国自慢の雅楽団。オリヴィアは息の詰まる思いを吐き出す様にバルコニーへ出た。冷たい風が、心地よく吹く季節。オリヴィアは大きく息吸い込んだ。


『オリヴィア。』


オリヴィアが振り返ると美しく着飾るステファニーが居た。


『お姉様、お美しいですわ!』

笑顔で応えるオリヴィアに


『相変わらず空気の読めない子ね。』


オリヴィアは苦笑いをしながら


『帝国での暮らしはいかがですか?』


ステファニーは軽く笑い


『まぁまぁかしら。でもアナリス王女はたいした事は無いわ。あれなら正妃の交代も時間の問題よね。』


…。お姉様。こんな時まで。


『貴女も呑気に構えていては泣く羽目になるわよ?そもそもアレクセイ殿下が貴女を手放さないのは既に執務を担っているから。貴女を信用していないのね。他の国へ嫁いだら機密が漏れる事を恐れているのよ。本当失礼な奴よ。オリヴィアはこれでもジュリラン大王国の王族なのに。』



…。そんな事分かってるわ。


『お姉様、今宵の主役がこんな所にいつまでもいらしたらいけませんわ。そろそろお戻り下さい。』


『貴女にいわれなくても分かってるわ。私に指図をしないでちょうだい。』


『ステファニー』


オリヴィアの後ろから声が掛かるとステファニーは笑顔を咲かせ


『殿下!』


オリヴィアは後ろの相手を察知すると思わず顔を歪ませ逃げ出したくなる…がそうもいかない。王太子妃の仮面を装着し振り返ると


『ご無沙汰しております、本日はおめでとうございます。』


オリヴィアは笑顔でカーテシーを披露する。


氷の皇太子はオリヴィアを凝視するとステファニーが

『殿下、妹は殿下に憧れております故、そんなに見つめていては姉として妹の運命を呪いますわ!』


…え?

オリヴィアは驚きのあまりに目をパチクリさせる。

…お姉様、何を考えていらっしゃる?


フィリップ皇太子はニヤリと口元だけで笑うとオリヴィアを再度凝視する。


…試されてるわ。


オリヴィアは淑女の笑みを浮かべ


『お姉様、御冗談を。あまり度が過ぎるのは迷惑ですよ』 


思いもよらぬ返しにステファニーは怪訝そうな表情を向けるもオリヴィアはそれをもろともせずに踵を返して会場へ戻って行った。



心臓がバクバクと音を立て息をするのも忘れる程になったオリヴィアは目の前の色とりどりのドレスがぐるぐると回り出し次第に視野が真っ黒になった。


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