たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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王女から候爵夫人へ

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ステファニーが候爵家に入るとアランと2人で教会へ出向き誓いを立て候爵家に戻ると、候爵と夫人が王都から離れる準備をしていた。

驚くステファニーにアランは


『流石に王女がこの家に入るんだから父も母も恐れ多いみたいでね。私が後を継ぎ2人は領地に戻る事になったんだ。まあ、早かれ遅かれこうなるんだから気にする事はないですよ。』


何だか追い出す形になった事にステファニーは困惑を覚えた。


見送る2人にステファニーは素直に頭を下げた。


『義お父様、義お母様申し訳ありません。私のせいで。』


王女が頭を下げた姿を初めて見る2人は驚きながらも


『いやいや私達もそろそろゆっくりしたかったのです。そのような事を仰らず。』


ステファニーは2人を見据えると


『私はこちらに嫁いだ身。不本意かも知れませんが私はお二人の義理の娘。お言葉は崩して頂きたいと思います…。』



アランは驚きながらもステファニーから両親へと視線を流した。候爵は一息ついて


『わかった…』


そう答えるのが精一杯であり2人は馬車に乗り込んだ。




ステファニーは候爵家を執事であるセバスチャンに案内されながら色々な事を問うた。流石は王族で執務をこなしていただけありステファニーはいとも簡単に理解をし初日から候爵家を切り盛りする力を見せた。

ただ、ステファニーは未だ未経験な事がある。それがこれから行われるであろう初夜である。


ステファニーは何でも完璧に熟せる力を持つがそれは全てたゆまぬ努力の成果である。どちらかと言うとオリヴィアは天然のまま突き進むタイプであるがステファニーは陰ながら努力を重ねるタイプだ。故に未経験のものは落第点である事が多い事を自分自身理解している。


…困ったわね


ステファニーは侍女に着せられた夜着を眺めながら頭を抱えていた。もちろん王女であるのでそれなりに学びはあったが、実践が無い。


…あの役立たずが!

かつての夫を心の中で罵っているとガチャリと扉が開かれたステファニーは思わず飛び上がった。

その姿にアランは小さく笑うとガウンの紐を締めながらソファへ腰を下ろした。


『先に言っておくね、ステファニー。世継ぎの事は気にすることは無い。』


…?


『私には兄弟は居ない。』


…だからこそ必要よね?



『だからグタグタ文句を言われる事も無い』


…は?


『まぁ、養子縁組という手もあるし』



…。


『さあ、今日は疲れたね。明日も早いから寝ようか?』


…。


アランはベッドに入るや否や直ぐに寝息を立てだした。


…ウソでしょう?






ステファニーは、はいそうですかと眠れる訳がない。


…要は他の男の使い捨ては嫌なのよね。


納得するかのようにベッドに入るとアランからは少し離れ目を閉じる。それでもステファニーは王女としてのプライドは誰よも高い。


…今、私の出来る事。


頭を悩ませ自分の居場所を探した。




翌朝のステファニーは迷いが無くなり、尚も一層美しくなっていた。


…完璧な候爵夫人だわ!


ステファニーの出来る事。ここに来た意味。ここで共に戦う仲間を守る事。今まで培ってきた全てをここに還元する事。それがここに居る全ての者にステファニーを認めされる術なのだ。


ステファニーは朝早くに起き上がると身支度を済ませ食堂に向かう。途中ステファニー付きな侍女らは驚き声を上げた。


『お、奥さま!お支度は私にはどもが!』


ステファニーは笑顔で答える。


『外出の際は腕を奮ってもらうわよ?普段は時間が勿体無いもの。これで十分よ?』


ワンピース姿ををクルリと回って披露すると、1人の侍女が


『奥さま、ま、眉毛がありません』


申し訳なさそうに言う侍女にステファニーは目を見開き


『わ、忘れてたわ!ごめんなさいすぐに書いて!』


顔を出すも侍女は


『すぐにペンを持ってまいりますので!』


走り去っていく後ろ姿に


『食事しているから来てね!』


大きな声を掛けると侍女らを従え食堂に向かった。


食堂に入ると既にアランが食事を始めていた。
ステファニーはハッとし後ろの侍女に小声で声を掛けた。


『貴方、名は?』


侍女はキョトンとするも


『パトリシアと申します。』


『パトリシア、眉毛が無いけど失礼かしら?』


首を傾げるパトリシア。二人のやり取りをしている前方から


『おはよう。先に頂いているよ~』


アランが、声を掛けてきた。流石に無視は出来ないステファニーは若干俯き加減で


『おはようございます。』


慌てて席につくも顔を上げられずに居た。そこへ先程の侍女がに空気も読まず駆け込んできて


『奥さま!お待たせしました!』


ペンを片手にステファニーに近づく。その様子を不思議そうに眺めるアランを横目に王女は覚悟を決めるのである。



…ここは男らしくいくわよ?


ステファニーは紛れもなく女であるがステファニーはドンと侍女に顔を出した。侍女は慣れた手付きで眉毛を整えると


『はい、出来ました。美しいです。』


にっこり笑うとステファニーに鏡を手渡した。鏡を覗き込むステファニーは映り込む後方のアランが微笑んでいるのを確認し何故か顔が赤くなった。



…よし。


ステファニーは再度立ち上がるとアランに


『おはようございます。先程はまだ候爵夫人ではなかったので…』


2度目の挨拶にアランは2度頷くと


『そうか、わかったわかった。キレイだね。』


微笑みながらステファニーを眺めていた。



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