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親子の会話
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ジュリラン王国での交流会もレオナルドの言う通りオリヴィアの完璧な仮面装着により何事もなく終わりを迎える頃、ジュリラン王国国王が倒れたという知らせが王宮を駆け巡った。
急ぎ駆けつけるラインハルトとステファニー、そしてオリヴィアとアレクセイは国王の私室で心配そうに父である国王を見つめていた。
やがてゆっくりと瞼を開いた国王の様子を確認すると側近らは安堵しすぐに各方面への調整に走り出した。部屋には子どもたちとアレクセイ。アレクセイは1人静かに部屋を出ると扉の前で腰を下ろした。
『父上。具合はどうです?』
ラインハルトの言葉に国王は静かに頷くとステファニー、オリヴィアをゆっくり見つめ穏やかに笑った。
3人にとってこの穏やかな視線は初めてのものである。行く末を悟るかのように不安が襲う。
『お父様。』
ステファニーの言葉に国王は
『ステファニー、お前は昔から頑張り過ぎるので案じておった。期待を背に頑張るお前を何故王子で生まれて来なかったかと悔やんだ時もあったな…だが紆余曲折今があるのだ。
私はアランの人柄に惚れた。ならば必ずやアランの良さをお前も分かるはずだと思ってな。…良かった。この縁で私の罪が消し去られる訳ではないがお前の幸せが何より嬉しいのだ。頑張り屋のステファニー、私は知っておるぞ。』
ステファニーの手を握る父親の手がシワだらけなのをステファニーは初めて知った。ステファニーはその手を強く握り返した。
国王はその手をオリヴィアに移した。
『オリヴィア、お前は母親に良く似ている。昔から苦手な分野からは逃げ回っておったな。どんくさいくせに逃げ足だけは早いのだ。
困った末娘に私はハラハラしたものだ。気弱な面もあるがかなりの頑固者。とんだ気弱なジャジャ馬の貰い手などあるわけもないと心を痛めておったがアレクセイ殿下との縁でお前が、皇后陛下とはな。不思議なものだ。今はただただ殿下にお伝えしたい。返品不可であるとな…』
オリヴィアは暖かい父親の手を握り何度も頷いた。
父親は全てお見通しなのだ。
最後に国王はラインハルトに視線を流すと
『ラインハルト、これからはお前が国王となるのだ。この国の行く末はお前の力1つ。私は何も心配などしておらん。自慢の息子であり私の誇りである。
後は妃だ。ワタシが生きて居られる間に孫の顔は…無理やもしれんがせめて妃の顔は見たかったぞ。』
ラインハルトは父親の遺言とも取れる言葉を噛み締め大きく頷いた。
3人は父親はいないものだと思って生きて来た。それが王族として生まれた使命でもある。その国王が父親として子どもたちを見てくれていた事に驚きながらも嬉しさが溢れて共に涙を流した。
3人が父親の遺言を胸に部屋を出て行った後
アレクセイは1人国王の部屋へと入った。
ニヤリと笑う国王に
『いつからそんな役者になったの?』
アレクセイの言葉に国王は
『殿下も人が悪い。盗み聞きですか?』
アレクセイは呆れた様に
『あの雰囲気では私は同席できないよ。だから席を外した。だけど事が事なら大変だ。外で控えていたのだけど…だんだん国王の思惑が感じられて散歩していたよ…ってか長くない?』
国王は苦笑いをしながら
『長い年月だ。ようやく本音を語れる状況になってきたからな。後はラインハルトだけだよ。何とかならんのか?』
アレクセイを息子のように見る国王にアレクセイは
『んな事、貴方が心配しなくても大丈夫だよ。ラインハルトの人気はこの国だけでなく大陸までに広がっているじゃない?』
国王は嬉しそうに
『まあ、私の息子だからな…。』
アレクセイは呆れた様に国王を見る。
『で?病状は?』
『まあ、ラインハルトの婚儀までは頑張りたいけどな…』
…あんたの思いは聞いてないしな?
アレクセイはため息を付き
『まだまだ大丈夫そうだ。返品は予定にないけど、国王はいつからオリヴィアを私にと目論んでいたわけ?』
アレクセイは徐ろに国王の前に腰を下ろした。
『怒っておるのか?』
『まさか、感謝しかないよ。ただ気になるし、貴方の手のひらに転がされてたなんて少し癪に障るからね?』
国王は大きく笑うと、しまった!と口を覆った。
『だってステファニーの何だけ?アラン・ランドルト?素晴らしいよ。あれだけ人が変わるなんてさ。』
国王は嬉しそうに
『ステファニーは元々あんな子だった。波乱の情勢の中権力に固執していく様は私の焦りと比例していたよ。真剣に王子であればと考えてたからな。あれは全て私の責任だからね。彼女の背負っているものを解き放つ男を探してたさ。適任だろ?』
得意気になる国王にアレクセイはため息を1つつくと
『そもそも貴方の責任なのでしょう?で?オリヴィアの件は?』
頭を巡らせる国王をじっと待つアレクセイに
『オリヴィアがまだ5、6歳の頃かな?』
『は?』
『いやいや君にと企んだのはもっと後だよ?オリヴィアはね、本当に努力のしない子でね。あれは天性の力だけで生きているんだ。ある意味本当に王女なの。だからこそ絶対的な王にと考えていたら、君と出会う事になり白羽の矢が当たったってわけだ。』
…。
『だから私は君に対しての先見の明もあったって事だよね?』
国王は好き勝手を嬉しそうに語る。アレクセイは思わず
『まだまだ生きるよね?』
国王は今度こそ豪快に笑った。
…うるさいよ。
アレクセイは踵を返すと片手を挙げて部屋を出て行った。
…何が遺言だよ。
急ぎ駆けつけるラインハルトとステファニー、そしてオリヴィアとアレクセイは国王の私室で心配そうに父である国王を見つめていた。
やがてゆっくりと瞼を開いた国王の様子を確認すると側近らは安堵しすぐに各方面への調整に走り出した。部屋には子どもたちとアレクセイ。アレクセイは1人静かに部屋を出ると扉の前で腰を下ろした。
『父上。具合はどうです?』
ラインハルトの言葉に国王は静かに頷くとステファニー、オリヴィアをゆっくり見つめ穏やかに笑った。
3人にとってこの穏やかな視線は初めてのものである。行く末を悟るかのように不安が襲う。
『お父様。』
ステファニーの言葉に国王は
『ステファニー、お前は昔から頑張り過ぎるので案じておった。期待を背に頑張るお前を何故王子で生まれて来なかったかと悔やんだ時もあったな…だが紆余曲折今があるのだ。
私はアランの人柄に惚れた。ならば必ずやアランの良さをお前も分かるはずだと思ってな。…良かった。この縁で私の罪が消し去られる訳ではないがお前の幸せが何より嬉しいのだ。頑張り屋のステファニー、私は知っておるぞ。』
ステファニーの手を握る父親の手がシワだらけなのをステファニーは初めて知った。ステファニーはその手を強く握り返した。
国王はその手をオリヴィアに移した。
『オリヴィア、お前は母親に良く似ている。昔から苦手な分野からは逃げ回っておったな。どんくさいくせに逃げ足だけは早いのだ。
困った末娘に私はハラハラしたものだ。気弱な面もあるがかなりの頑固者。とんだ気弱なジャジャ馬の貰い手などあるわけもないと心を痛めておったがアレクセイ殿下との縁でお前が、皇后陛下とはな。不思議なものだ。今はただただ殿下にお伝えしたい。返品不可であるとな…』
オリヴィアは暖かい父親の手を握り何度も頷いた。
父親は全てお見通しなのだ。
最後に国王はラインハルトに視線を流すと
『ラインハルト、これからはお前が国王となるのだ。この国の行く末はお前の力1つ。私は何も心配などしておらん。自慢の息子であり私の誇りである。
後は妃だ。ワタシが生きて居られる間に孫の顔は…無理やもしれんがせめて妃の顔は見たかったぞ。』
ラインハルトは父親の遺言とも取れる言葉を噛み締め大きく頷いた。
3人は父親はいないものだと思って生きて来た。それが王族として生まれた使命でもある。その国王が父親として子どもたちを見てくれていた事に驚きながらも嬉しさが溢れて共に涙を流した。
3人が父親の遺言を胸に部屋を出て行った後
アレクセイは1人国王の部屋へと入った。
ニヤリと笑う国王に
『いつからそんな役者になったの?』
アレクセイの言葉に国王は
『殿下も人が悪い。盗み聞きですか?』
アレクセイは呆れた様に
『あの雰囲気では私は同席できないよ。だから席を外した。だけど事が事なら大変だ。外で控えていたのだけど…だんだん国王の思惑が感じられて散歩していたよ…ってか長くない?』
国王は苦笑いをしながら
『長い年月だ。ようやく本音を語れる状況になってきたからな。後はラインハルトだけだよ。何とかならんのか?』
アレクセイを息子のように見る国王にアレクセイは
『んな事、貴方が心配しなくても大丈夫だよ。ラインハルトの人気はこの国だけでなく大陸までに広がっているじゃない?』
国王は嬉しそうに
『まあ、私の息子だからな…。』
アレクセイは呆れた様に国王を見る。
『で?病状は?』
『まあ、ラインハルトの婚儀までは頑張りたいけどな…』
…あんたの思いは聞いてないしな?
アレクセイはため息を付き
『まだまだ大丈夫そうだ。返品は予定にないけど、国王はいつからオリヴィアを私にと目論んでいたわけ?』
アレクセイは徐ろに国王の前に腰を下ろした。
『怒っておるのか?』
『まさか、感謝しかないよ。ただ気になるし、貴方の手のひらに転がされてたなんて少し癪に障るからね?』
国王は大きく笑うと、しまった!と口を覆った。
『だってステファニーの何だけ?アラン・ランドルト?素晴らしいよ。あれだけ人が変わるなんてさ。』
国王は嬉しそうに
『ステファニーは元々あんな子だった。波乱の情勢の中権力に固執していく様は私の焦りと比例していたよ。真剣に王子であればと考えてたからな。あれは全て私の責任だからね。彼女の背負っているものを解き放つ男を探してたさ。適任だろ?』
得意気になる国王にアレクセイはため息を1つつくと
『そもそも貴方の責任なのでしょう?で?オリヴィアの件は?』
頭を巡らせる国王をじっと待つアレクセイに
『オリヴィアがまだ5、6歳の頃かな?』
『は?』
『いやいや君にと企んだのはもっと後だよ?オリヴィアはね、本当に努力のしない子でね。あれは天性の力だけで生きているんだ。ある意味本当に王女なの。だからこそ絶対的な王にと考えていたら、君と出会う事になり白羽の矢が当たったってわけだ。』
…。
『だから私は君に対しての先見の明もあったって事だよね?』
国王は好き勝手を嬉しそうに語る。アレクセイは思わず
『まだまだ生きるよね?』
国王は今度こそ豪快に笑った。
…うるさいよ。
アレクセイは踵を返すと片手を挙げて部屋を出て行った。
…何が遺言だよ。
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